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ユーミンの『卒業写真』をBGMにスタートしたイベント、“ムカデ卒業式”。3月2日にHMV&BOOKS TOKYOで行われたこのイベントは、映画『ムカデ人間』シリーズ完結にともなって、『ムカデ人間』に縁のあるメンバーが最後のムカデトークを繰り広げ、同シリーズを卒業しようという趣旨だ。

登壇したのは、シリーズを日本で配給した張本人・叶井俊太郎さん、第一作目でムカデ人間の先頭を演じ三作目にも出演した北村昭博さん、これまで開催された『ムカデ人間』イベントの数々に出席している高橋ヨシキさん。シリーズ全作を収録した『ムカデ人間 完全連結ブルーレイBOX』を購入して参加券を得た観客を前に、これが最後となるムカデトークを和気あいあいと繰り広げた。

『ムカデ人間3』の予告編を観て「ウワ!えらい!」と思った

叶井:人間をつなげるっていうジャストアイデアだけで三作作ったのはほんとすごいことだよね。

高橋:一作目公開のあとに監督は「三部作にする!」と言い張ってて、僕は「アホだなぁ」って思ったんだけど(笑)。そのあと、二作目の制作発表で「二作目は12人つなげて、三作目は何百人もつなげる!」と宣言していて、その通り作ったでしょう。『ムカデ人間3』の予告編を観てちゃんと500人つながってる画がドーンと出たときに、「ウワ!えらい!」と思った(笑)。飲み屋で「人間を何百人もつなげてさあ」とか言うのは楽ですよ。でもそれを本当に実行して画にするのってえらいし、それを観られるのって幸せですよ。

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『ムカデ人間3』は一度流れかけたんですよ

北村:『ムカデ人間3』は一度流れかけたんですよ。監督とディーター・ラーザー(ハイター博士/ビル・ボス役)さんが脚本でモメて。ディーターさんの演じる予定のビル・ボスがあまりにひどすぎると(笑)。

叶井:まあたしかにひどい役だよな。

高橋:『ムカデ人間』の脚本でモメるっておかしいけど(笑)。まあひどい役だったね。ツマミ代わりに干したク○○○○食べたりとかさ(笑)。

叶井:意識不明の人間をレイプしたりね! 今後のイメージもあるから嫌だったのかなぁ。

高橋:『ムカデ人間』一作目出てる時点で“今後のイメージ”もなにもないだろ(笑)!
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叶井:『ムカデ人間2』のあと、三作目が出るまでにすごくブランクがあって、もう公開はないと思ったから、日本版の『ムカデ人間』作ろうと思ったんだよ。ヨシキさんに「脚本書いてよ」ってお願いしてさ。

高橋:そうそう。一作目のハイター博士が若いころに日本に留学してて、っていう内容だったの(笑)。

叶井:結局実現しなかったけどね(笑)。もう無事に三作目まで完成して、シリーズが完結してよかったね。

トム・シックス監督は苦労人なんですよね

北村:トム・シックス監督ってすごくこだわりが強くて、自分の作品がどう見られるかもすごく気にしてる。それでしょっちゅう人とケンカしてて。こないだオランダの俳優とTwitterでケンカして、ぼくに「アキ! こいつの悪口をTwitterに書いてくれ!」って言ってきて(笑)。「ちっさ!!」って思いましたけど(笑)。

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高橋:かっこわるいな(笑)! いやあ、トム・シックス監督は苦労人なんですよね。これまでもセンセーションを巻き起こしそうな映画を色々撮ってるんだけど、全然話題にならなくて。「もういい! 今度はムカデ人間だ!」って撮った映画が大当たりしたんですよ。

叶井:でもすごい真面目な人だよね。『ムカデ人間2』が世界中でバッシングされて、結構落ち込んだらしいじゃん(笑)。

高橋:そうそう(笑)。一作目が結構おとなしいって言われちゃったから、二作目ですごいの見せてやるぜ!とイキがって作って、上映禁止になっちゃってヘコむっていう(笑)。

叶井・北村:かわいい(笑)。

『ムカデ人間』は歴史的な作品になった

北村:一作目なんて普通の民家で撮ってたんですけど。出演者が悲鳴を上げてるから、近所の人が「とんでもない拷問が行われてるんじゃないか」と驚いてて(笑)。本当に公開されるかもわからない自主映画みたいなものだったんだけど、三作目はハリウッドの俳優を使って、ハリウッドで撮影して。現場に向かう途中、ハリウッドサインが見えてきたときに、監督が「アキ、俺たちここまできたぞ」って。僕もちょっと涙目になりましたよね。監督は「エッヘン!」って(笑)。
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高橋:それはすごくビューティフルなサクセス・ストーリーだよね。『ムカデ人間』ってもう、日本人でも外国人でも誰でも知ってる。みんな題名を知ってるし、映画自体を観てなくても、半分くらいの人はどんな内容かまで知ってるんですよ。

北村:ぼくが知り合った人間でも、「『ムカデ人間』に出てる」って言うとめちゃくちゃ驚かれる。ビビって観てない人も多いけど、でもみんな名前だけは知ってるからセレブ扱いされますよ。『サウスパーク』でもパロディやってたしね! 一種のポップカルチャーなんですよ。

高橋:歴史的な作品になりましたよね。毎年何百本もホラー映画って作られては忘れ去られていくけど、これだけ多くの人に名前だけでも広まることってない。

『ムカデ人間』が代表作なのは嬉しいこと

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北村:『ムカデ人間』に出るまでは、日本の映画にすら出ることも叶わなかった。『ムカデ人間』は初めて僕がお金もらって出させてもらった映画だし、それが代表作になってるっていうのはすごく嬉しいことですね。「あいつ『ムカデ人間』に出てたろ」とか言われるけど、それは誇りだから! 「『ムカデ人間』をナメんな」と言いたい!

叶井:もう肩書が“ムカデ人間”でいいよな! “ムカデ人間”の北村だよ!

北村:(笑)。

高橋:代表作から『ムカデ人間』をはずさないのは大事ですよ。黒歴史にしないこと。ジェームズ・キャメロンは「俺に『殺人魚フライングキラー』の話絶対すんな」とか言ってるけど(笑)。

トークを終えて

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これまで開催されたトークイベントも含めると、『ムカデ人間』について15時間は語り倒したという三人。トークの末、お三方には多くのムカデファンをつなげた功績を讃え、『ムカデ人間』卒業を祝う“3つつながった”卒業証書が贈られた。シリーズ三作の配給を終え、叶井さんは配給会社トランスフォーマーも卒業。北村さんは、トム・シックス監督の現在準備中の新作『オナニア・クラブ』に対し、「いつもオファーが来るのは撮影の直前だから、まだ出るかはわからない。でも呼ばれたら絶対に出ますよ!」とやる気を見せた。

シリーズ三作は、3月4日発売の『ムカデ人間 完全連結ブルーレイBOX』で観ることができる。また、『ムカデ人間3』単品のブルーレイ&DVDも同日発売。『ムカデ人間3』は、北村昭博さんの吹替を落合福嗣くんが務めていることも注目だ。歴史的な作品となった『ムカデ人間』を、シリーズで見届けよ!
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