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ネット社会が生んだ新格闘技「巌流島」。新たな時代はすでに始まっている。
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ネット社会が生んだ新格闘技「巌流島」。新たな時代はすでに始まっている。

2016-04-04 12:15
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今週のお題………………………………「3・25巌流島!  私はこう見た!」

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文◎柴田和則(巌流島・事務局 海外選手ブッキング担当)


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はじめまして。大武道!編集部長兼、巌流島オフィシャルサイト編集ライター兼、巌流島外国人選手ブッカーという、よくわからない役どころを担う柴田と申します。
 
3.25巌流島TDC大会では、マーカス・レロ・アウレリオ、ビターリ・クラット、アンドレ・ジダの再来日組と、ジャッキー・ゴーシュ、バラット・カンダレの初来日組のブッキングを担当しました。アフリカ勢のブッカーはご存じボビー・オロゴンさんが、未知の大陸アフリカと巌流島の架け橋となり、大活躍してくれました。
 
私のほうは直前でクラブマガ戦士のナタネル・パリシが負傷欠場し、急遽ゴーシュをブッキングし直したり、レロとジダのラテン系男子のマイペースさに振り回されたりと苦労もありましたが、みんな無事に来日してくれて、ほっと胸をなでおろしました。特に"異種格闘技"をテーマに掲げる巌流島としては、クラヴマガのゴーシュとシラットのカンダレが来日できないとなると、大会のテーマ自体がぼやけてしまうわけで、実際に来日してホテルに到着してくれるまでは気が休まらない日々でした。
 
大会当日の控え室は、ジダ、ゴーシュ、カンダレの3選手がひとつの部屋を共有し、レロとビターリは日本人選手たちと一緒に大部屋に入り、ボビーさん率いるアフリカ勢にもう一部屋という配置。
 
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第一試合に登場したレロは、あのとおりいつでもスマイルなナイスガイ。来日直前になって「巌流島の道着が見つからない。なくしちゃったみたい」と言ってきてこちらを焦らせたり(後で「よく見たらクローゼットにあったよぉ」と連絡が入る)、前日会見後に「僕のiPhoneが見つからないんだけど会場で見なかった?」といって困らせたりと(後で「よく見たらポケットに入ってたよぉ」と連絡が入る……)、どこまでもおおらかなやつなのだが、試合でいざ闘技場に立ったときの集中力はすごい。カポエイラ式の回転蹴りで相手のアゴをとらえ、漫画かよ!という次元の驚愕のKO劇を披露してくれました。太陽の子レロ。あの天性のスター性には、誰もが魅了されてしまいます。
 
第四試合で渡辺一久選手と対戦したバラット・カンダレ(インド)が、またくせ者でした。事前に動画を見て強そうだということでブッキングしたものの、いざ来日してみると、気弱でオドオドしていて、こちらと目を合わせることもなく、声はまさに蚊が鳴くように小さい。格闘技素人の私が「こいつだったら俺でも勝てるんじゃないか?」と思うほどにとんでもなく弱そうだったんです。加えて、大会直前の公開練習に青帯(空手8級!)をつけて登場し、超不格好な型を披露するものだから、関係者の間で「誰だよ、こんな弱いやつを呼んだのは?」と、ブッキング担当の私が糾弾されそうなまずい空気が漂う中で、当日を迎えたのでした……。
 
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しかし、この頼りないシラット戦士、闘技場に上がると雰囲気も動きも一変。あの一久選手をめちゃくちゃキレのあるローキックとハイキックで秒殺してしまいました。とどめのハイは「インドの達人は足が伸びるのか!?」と思わせる変則的な軌道の蹴り。試合後、セコンドに「もしかしてわざと弱いふりしてたの?」と聞くと「さぁ、どうだろう。そうかもね」と笑顔でかわされました。まるで武術家の果たし合いの世界。高まる、シラット幻想、そしてインド幻想……。どうにもつかみどころのないカンダレという男。あいつは、ただ者じゃないですよ。
 
休憩前ラストとなる試合を締めたのはアンドレ・ジダとビターリ・クラット。ジダは顔が恐くて、マフィアか任侠かというヴィジュアルですが、普段は「ジダ少年」といった雰囲気のこれまた素直なグッドボーイ。独特の色気のある選手なので着流し姿とか似合うだろうなぁと前から思っていたのですが、やはり巌流島道着の和装がよく似合っていました。
 
一方のビターリは極東ウラジオストク出身の真面目なロシア青年。謙虚で礼儀正しく、わがままを言うこともなく、メールのレスポンスもきちんとしている。日本からほど近い極東地域の人間ゆえかどうか、我々と波長が合うというか、きちんとしていて非常に仕事がしやすい。その点、地球の裏側ブラジルのジダとレロは、メールのやり取りでも返信があったりなかったりで、こちらの気を揉ませる。どこまでも気ままで自由なラテン男子なのです……。
 
そんなジダとビターリは、二人とも持ち味を出して、ヒリヒリとした緊張感のある実に高度な闘いを見せてくれました。イベントの真ん中を見事にビシッと締めてくれたこのふたり。今後もぜひ巌流島中量級の顔として、イベントを引っぱっていってほしいものです。
 
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アフリカ勢の試合はグリス・ブドゥ2、ボンギンコシ・マドンセラと大荒れの展開に。特にボンギンコシと星風の試合は、星風のラフファイトにより、乱闘寸前の事態になってしまいました……。
 
星風戦後のアフリカチームの控え室は、ボンギンコシのセコンドがカメラが回っていないところで「次は俺にあいつ(星風)とやらせてくれ!」とボビーさんにアピールするなど、ガチで殺伐とした雰囲気でした。その場でボビーさんと話し合い、さらなるトラブル回避のためアフリカ勢は閉会式に出ないことに。
 
谷川さんが言うには"実は一番キレやすい"というボビーさんですが、今回はアフリカチームのリーダーとしての責任を感じてか、冷静に事態の収拾に努めてくれました。それでもその場に居合わせた私に「(星風は)あんなやり方で勝って嬉しいの!?」と目をひんむいて力説する場面もありましたが。
 
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初来日ながらメインの大役を任されたジャッキー・ゴーシュは、レジェンドである田村潔司選手を相手に怯むことなく、終始、静かな闘志と冷静な戦略家ぶりを発揮して、名勝負を展開。見事、メインマッチを締めくくり、また、クラヴマガ代表としての幻想もしっかりと見せてくれました。本当に100点以上の仕事をしてくれたと思います。
 
イスラエルでは過去にUWFインターがテレビ放送されていて、大変な人気を博していたといいます。ゴーシュ自身、子供の頃からテレビを通してUインターで活躍する田村選手を見ており、今回の試合は自身にとってヒーローに挑む一戦だったのです。大会前にゴーシュとUインター談義をして盛りあがっていると、田村選手や高田延彦さんはもちろん、山崎一夫さん、さらには中野龍雄さんの名前まで出てきて驚かされました。「中野龍雄といえばスピンキックだよね!」と言われたときには、日本人であるこちらがそうだっけ?と戸惑うくらいでした。
 
まさかイスラエル人とUインターネタで盛りあがるだなんて想像もしていません。我々の知らないところで世界は繋がっているのだなと、改めて感じさせられました。ちなみに試合中にゴーシュが何度も繰り出したスピンキックが、中野龍雄へのオマージュであったかどうかは定かではありません(笑)。そうだとすればそれも素敵な話だなということで、あえて本人に突っこみはしませんでした。
 
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こうして終えた「巌流島・公開検証3」はまだまだ課題が山積みながらも、見所の多い大会になったと思います。特にゴーシュとカンダレのこちらの期待の上をいくパフォーマンスには素直に驚かされましたし、日本でも北米でも知られていなくても実はすごい逸材というのが、世界にはまだまだいるんだろうなぁと実感させられました。
 
ネット社会の現代は何事も可視化されていて、幻想を育みにくい時代です。ただ現代には昭和の時代とはまた性質の違う、現代ならではの幻想があるのではないかと感じています。グローバルなネットワークがあるからこそ、ゴーシュやカンダレを大会前に短期間で発掘できました。また、この2人を紹介してくれたヨーロッパのプロモーターのことは、実は私も谷川も顔さえ知りません。ネットで繋がって、顔を合わせることもなく初仕事をし、シラットやクラヴマガとのホットラインを作ってくれました。そしてご存じのとおり、彼らは本物の逸材でした。すべてがネットで始まり、ネット上で完結しているのです。
 
カポエイラのレロもファンの方がネットで見つけて、「いい選手がいる」と私たちに提案してくれ、そこから参戦に至っています。そして彼もあのとおりのとんでもない逸材でした。
 
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また、ジダにはFacebookでメッセージを送り、そこから参戦にこぎつけました。HERO'S時代のコンタクトが残っておらず、連絡が取れないとなったときに、ネット上で彼のFacebookアカウントを見つけ出し、彼とまったく面識のない私がダイレクトメッセージで参戦オファーを出す作戦でいったんです。「いま巌流島というこんなイベントをやっているんだけど出ない?」「おお、いいね!」。これで即決。そこから話を詰めて、契約書のサインまで持っていきました。
 
SNS時代ならではの仕事のやり方だと思います。現状の日本格闘技界に海外渡航費などをバブル感覚で浪費する余分な体力はありません。ジダの口説きに要したコストはゼロ。それでもちゃんとこちらの熱意を伝えれば、あのとおり最高のコンディションに仕上げてきて、最高のパフォーマンスを見せてくれる。ジダやほかの選手もみんなそうなのですが、巌流島のサムライ的な独自の世界観と演出に満足して帰国してくれたと感じています。
 
ネット社会だから幻想がないのではなく、ネットワークが世界中に広がっている現代だからこそ見つけられる幻想があるのではないでしょうか。ただ、これだけ魅力的な選手が揃えば、海外のいわゆるメジャー団体が獲得に動くケースも出てくるでしょう。世界戦略として、物量(資本)で圧倒的に優位に立つアメリカを相手に、日本はどう対抗していくべきか。これから主催者、選手、ファン、みんなで知恵を絞って、世界に対峙していければと思っています。
 


[お知らせ]
『巌流島』のオフィシャルサイトをリニューアル致しました。アドレスが変わりましたので、ご確認ください。→  ganryujima.jp
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巌流島はスタイル的に合うこの2人を呼ばない訳にはいかないでしょ!

ヨアキム・ハンセン(ノルウェー、36歳、70キロ)
メルヴィン・マヌーフ(オランダ、39歳、84キロ)

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