3・25巌流島・東京ドームシティ・ホール大会のマッチメイクも出揃ったところで、今週のお題は「3・25巌流島! 私はここに注目する!」にしたいと思います。いつも、月曜日担当は私・谷川貞治が務めていましたが、ザンス山田編集長の原稿があまりに面白いので、先に載せさせていただきました。それにしても、山田さんの原稿は毎回独自の理論をもち、ブレなくて面白いなぁ。
さて「3・25巌流島!私はここに注目する!」というお題ですが、私は事務局側の人間なので、皆さんに注目していただきたいところはたくさんあります。そもそも巌流島では、どんな方針でマッチメイクを組むのか、今回はその部分について説明しましょう。
1、ファンの投稿を大切にする→私がセネガル相撲やクラブマガを知ったのは、ファンの投稿からでした。たしかアニマルアキというペンネームの方の投稿だったと思います。そうしたファンの投稿に対しては、ルートがなくても当たってみることにしています。
2、闘い方の見栄えのいい選手を選ぶ→これもファンの投稿からでしたが、カポエイラのレロなんかは、初めて動画を見た瞬間から「これは素人でも驚く闘い方をする」という印象でした。技のキレる選手はプロとして、強いとか、勝つことよりも重要です。アンディ・フグやブアカーオなるかもそうですよね。そういう選手を集めるようにしています。
3、賞味期限切れの選手は選ばない→いくら名前があっても、旬を過ぎた選手は選ばないようにしています。確かに興行という意味では、ビッグネームは必要です。でも、資金的にそんな余裕のない巌流島としては、たとえ名前がなくても将来性のある選手を選んでいきたいと考えています。
4、今までプロの格闘技イベントに出てこなかったジャンルや、流派を生かすマッチメークを考える→正直に言って、今、巌流島は「競技」と呼べる段階ではありません。よって、MMAやキックボクシングというプロの格闘競技の人しか生きないリングでは意味がありません。何とかMMAやキックボクシング以外の人が輝けるルールやマッチメイクを作っていこうと考えています。それは武術を試合化するという難題や達人を生かすことにもつながっています。
5、格闘技イベントとしての安心感も必要なので、格オタも意識する→全く未知の強豪や未知の格闘技ばかり集めても、ファンは測定基準が分からなくなるし、安心感も生まれないでしょう。第1回UFCにも、ゴルドーやシャムロックが出ていたからこそ、ホイス・グレイシーが生きだのです。今回の巌流島でも、田村潔司選手やクラットvsジダを組んだのは、そんな理由からです。
6、なるべく礼儀正しい選手を選んでいく→これはやはり巌流島が武道を目指す上で重要だと考えています。正直、刺青を入れたり、インタビュー等でチンピラのように相手を挑発することを売りにする選手はあまり使いたくありません。格闘技やっていれば人格的に素晴らしい人間になれるんだということを証明する選手を積極的に起用しようと思います。
7、他の格闘技団体のマネをしない→よく格闘技団体にとっては、マッチメイクひとつとっても、他の団体のおいしいところを取ろうとするところもありますが、それはそもそも武道精神に反する気がします。よって、巌流島では、ソフトは人のマネではなく、自分たちで作るんだという気概で臨みたいと思います。
8、巌流島愛のある選手を起用する、あるいは育てる→プロなんだから、高いファイトマネーを出してくれるところを選び、試合に勝つことに専念するべきであって、団体は関係ないと思われる人がいますが、それは違います。お金のためだけに試合する選手は必ずファンにそれが伝わるし、ジャンルを引っ張るような選手にはなりません。K-1でも有名になる選手、活躍する選手は皆んなK-1愛を持っていました。選手には巌流島に対しても、そういう理解をさせることが重要だと考えています。
9、武術、武道に理解のある選手は大歓迎→格闘技のやる側も2種類あって、格闘技をスポーツと捉え、その競技で頂点を目指すタイプと、実戦になったらどうなるのか? 他の格闘技と闘ったらどうなるのか? を考えるタイプがいます。巌流島に関しては、後者の方が向いているでしょうね。闘い方の発想も幅広く考えられると思います。
10、志の高い選手はもっと大歓迎→結局、アンディ・フグやピーター・アーツ、魔裟斗といったジャンルを引っ張ってきたファイターは「志が高い」という共通点があります。グレイシーや、もっと言えば猪木さんやアリなんかそうですよね。
ざっと10個くらい挙げてみましたが、そういう目でもう一度3・25巌流島大会のマッチメイクを見直してください。所々にそういう思いが込められているかと思います。ぜひ、ご期待ください!
コメント
コメントを書くすごく考え抜かれて、まとめられていますね。とても読み応えがあります。
ファン側としての希望としては、
○日本人選手のプロテクトはやらない
○達人枠は必ず設ける
○ベテラン選手には期待の若手を当てて踏み台にさせる
○「経験あり」とか未知数なレベルではジャンルを背負わせない。厳選して失うものがある戦いでないとファンは興奮しない
○「覆面柔道家」などファンが喜ぶ趣向を凝らす
○ドゥエス対モーの様な同種対決は組まない。「打撃対組技の異種格闘技戦」を永遠のテーマの1つとする
○大会を1つの「パッケージ」と考え、同じ様な試合が無い多彩な構成にする(武藤敬司の「パッケージ理論」)
ざっと思いつく所でこんなとこですかね。
3・25のマッチメークはとてもいいです。見る前からこんなにワクワクするのは久しぶりの感覚。
早く来ないかな。期待してます!