3月7日に無事退院しました。みなさんには本当にご心配をおかけしました。
お見舞いや励ましのお言葉、ありがとうございました。
さて、入院中、ベッドで大人しくしていると、普段は気にも留めていなかったことが
気にかかったりする。たとえば新聞の記事だ。
いま国会で侃々諤々の議論が繰り広げられている、TPPについての記事だ。
僕はそれを読んで、いくばくかの違和感を覚えた。
TPPに反対する理由として、「震災後、循環型地域社会を目指す日本にとって」と
いうようなことが書かれていたのだ。
「循環型地域社会を目指す」といえば、たしかに響きはよい。
だが、その言葉は何を意味するのか。
いうまでもなく、地域内で食糧もエネルギーも自給自足していく、ということである。
だが、そんなことは果たして可能なのか。そもそも、そんな社会を目指したら
日本は貧しくなるだろう。
もちろん、それぞれの地域が自分の地域の農産物などを大切にすることに、僕は大賛成だ。
けれど、それは地域社会という狭い範囲の考え方である。
この記事はひとつの例にすぎない。このように口当たりのよい言葉が、
あらゆるところに見受けられる。
耳にやさしい、一見、受け容れやすそうな発言をする論者が、いまだに多くいるようだ。
現実をしっかりと見ていれば、こんな発言はできないはずだと僕は思う。
現実は甘くない。
だから、現実を見すえた議論からは、口当たりのよい言葉で言い表せるような結論が
生まれるはずがない。
気迫に満ちた議論の過程では、人心を惑わす優しげな言葉は、ふり落とされるものだ。
徹底した議論こそが、現実に即した、堅実な答えを導き出すことができる。
僕はこれからも厳しく議論を重ねていきたい。
そうして初めて、現実の厳しさに向き合える答えを出していけると思うからだ。