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ゲキビズ田原通信
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田原総一朗「バブルが崩壊した「崖っぷち中国」で、いま何が起きているのか?」
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中国で薄熙来(はく・きらい)被告に無期懲役の有罪判決が出た。収賄、横領、職権乱用というのがその罪状だ。だが中国国民は、この裁判が茶番だということをよく知っている。薄は結局、権力闘争に負けた。だから、どんどん罪が暴かれるのだ、と。
薄被告は、大連市長や遼寧省長、重慶市党委員会書記を歴任した。特に重慶では経済政策で成果を上げ、毛沢東をモデルとして格差是正や平等をアピール、庶民から厚い支持を受けていた。将来は主席候補の超エリートであった。
ところが、その薄に次々と疑惑が起こる。きっかけは、2011年に起きた、英国人実業家の殺人事件だ。薄の妻・谷開来が逮捕され、さらに不正蓄財、横領などのスキャンダルが報道されたのだ。薄の妻は、後に執行猶予付き死刑となっている。
この裁判を、中国の危機感の象徴だ、と僕は思っている。習近平体制は、いまだ固まっていない。というよりも、中国共産党自体が確固たる権力ではなくなっているのだ。
経済発展によって税収が増えると、「富の再分配」ができる。そんな右肩上がりの時代には、生活が豊かになるから、誰も政治に不満を持たない。日本の70~80年代がまさにそうだった。中国も最近までがそういう時代だった。
ところが、日本と同じように、中国もバブルがはじけたのだ。経済格差は広がる一方で、人びとは希望が持てなくなっている。当然、政治に不満を持つようにもなるわけだ。この不満を持つ国民を、どうなだめるか。
ひとつは、「政治の腐敗」を正すとアピールすることだ。横領、収賄は許さない。断固して取り締まる。薄は、そのスケープゴートになったといっていいだろう。ふたつめは、軍をいかにコントロールするかだ。武力を持っている軍で不満が強まると、クーデターを起こす可能性があるからだ。軍が不満を溜めないように、手厚く接する。つまり豊富な予算を与え、軍備拡張するのだ。
3つめは、言論抑圧である。先日、日本のテレビにもよく出ていた、東洋学園大学教授の朱健栄さんが、拘束されたと報じられた。中国内で違法な情報収集を行ったというスパイ容疑だと言う。朱さんだけでなく、いま中国では多くの言論人、知識人が拘束されている。批判的な意見を持つ言論人を力ずくで抑え込んでいるのだ。中国には、言論の自由がないのである。
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