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群馬潜入!伊勢崎大王ファーム!

2018-05-18 14:13
    第二次世界大戦中
    日本軍に「藤田信雄」という戦闘機パイロットがいた!
    彼は1942年
    司令部からの命令を受け
    前人未到のアメリカ本土爆撃という
    不可能に近い任務を与えられ
    驚くべき事にその任務を成功させた!
    藤田が爆撃したポイントはオレゴン州の山林だった!
    焼夷弾で豪快に山を焼き尽くす作戦だったのだが
    夜露などで木がみっちょり湿っていたため
    戦果としては
    「ちょっとだけ森を焼いた」
    に終わった!
    ところが!
    アメリカという国は現在に至ってもなお
    後にも先にも藤田以外から本土への空襲を受けた事がない!
    つまりこれはアメリカの歴史上
    唯一の本土爆撃となったわけである!

    戦後となり高度経済成長を迎えた1962年!
    藤田は突然日本政府から呼び出された!
    赴いた料亭には時の首相・池田勇人と
    当時内閣官房長官だった大平正芳が待っていたと言う!
    藤田はそこで彼らから
    とんでもない事を伝えられた!

    「アメリカが君を探している!」

    藤田にはその理由が当然わかっていた!
    料亭で待ち受けていた国を代表する二人は
    即刻アメリカに行くよう藤田を説得した!
    つまりは
    ”君が一人で罪を償えば事は穏便に済む”
    というわけだ!
    藤田は覚悟を決めた!
    アメリカ人達の前で腹を斬って死んでみせようと
    家宝であった日本刀を持参し
    かつて爆撃したアメリカ本土へと
    再び向かって行ったのであった!

    これまでに私は
    どれほど「群馬県」を馬鹿にした事だろう!
    そもそも「遊気舎(ゆうきしゃ)」という劇団時代
    私が作品中で馬鹿にしていたのは
    大阪府は「箕面市(みのおし)」だった!
    そこは当時私が通っていた
    「大阪外国語大学」
    (現在はありがたい事に大阪大学に吸収して頂いた!)
    があった場所で
    キャンパス内においても
    マムシやニホンザルによる被害が多発するといった
    獣と人類の共存地帯だった!
    「山形」という東北の中でも忘れられがちな県から
    大都会「大阪」を目指したはずなのに
    私が行き着いた場所は
    山形でも見ないほどの寂しい土地だった!
    私はその憤りを脚本に表していたのだ!
    ところがやがて
    遊気舎が東京公演を行えるほどまで盛り上がった際
    「東京で箕面市は伝わりにくい!
     都道府県レベルで箕面市に近い
     哀れな場所はないものか?」
    と悩んでみた!
    その結果4~5分で出た結論が群馬県だったのである!
    遊気舎初の東京公演が1992年!
    以来私は26年間にわたって
    群馬県を馬鹿にしてきたのであった!

    城一郎 「どうしたものか。
         あれほど広大であった”グンマの海”が
         跡形もなく消え去ってしまうとは。」
    祐一  「何なんだその海の名前。
         ないよ群馬に海なんて。」
    城一郎 「”グンマ”とは船乗り達の言葉で
         ”この世の生き地獄”という意味。
         それぐらい船長であるお前が知らぬはずがなかろう。」
    (1997年『Piper』より)

    ローズ 「なんだここ。」
    メル  「・・・。」
    ローズ 「なんだよ伊香保グリーン牧場って。」
    メル  「絶対誰にも見つからないっすよここなら。」
    ローズ 「ここが見つからなかったよ俺は!」
    (2001年『天才脚本家』より)

    シャッフル「宵越しの怒りかよ。江戸っ子らしくねぇなぁ。」
    梶野   「群馬だよ。」
    シャッフル「ごめん。ヤな事言わせたな俺今。」
    梶野   「別にヤじゃないよ群馬!」
    シャッフル「うっそ!」
    (2005年『Shuffle』より)

    角   「なに”百万年”って!」
    伊藤  「”前橋るなぱあく”がこれからも繁栄するよう願いを込めてみた。」
    角   「込めないでそう言うの!」
    (2018年『源八橋西詰』より)

    21:00に高崎駅に到着すると
    「ちあき」が待っていた!
    一見するとかわいい女子が待ってくれたように思えるが
    群馬県は私に優しさなど見せはしない!
    「智明」という彼の名を
    私はずっと「ともあき」さんだと思っていたのだが
    ある時LINEでその本当の読み方を伝えられた時には
    思わずしりこ玉を飛ばした!
    その「ちあき」こそが
    群馬におけるワークショップ「伊勢崎大王ファーム」の仕掛人だ!
    髭にポロシャツという市の劇場職員とは思えない風貌で
    愛車はBMW!
    なかなかの遊び人である事は間違いなかった!
    伊勢崎市までのドライブ中に尋ねてみると
    やはりちあきは伊勢崎市の職員ではなく
    外部からの派遣という形で市の劇場に潜り込んでいる人物だった!
    私より10歳も年上なのに
    ちあきがとても話しやすかった理由は
    彼が「喜劇王・川下大洋」と同い年だからであろう!
    私には10歳上までが友人の範疇であり
    11歳を越えないと先輩としては敬えないようだ!

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    写真:『大王&ちあき』

    ちあきは道中の車窓からの景色を
    あれこれと説明してくれたのだが
    外は遠くに民家の明かりがぽつりぽつりと見えるだけで
    言っているような物は何も見えなかった!
    「ここが伊勢崎のメインストリートですよ!」
    と説明してくれるのだが
    それらしい景色は見当たらなかった!
    わかっている!
    どうせそんな物は無いのだ!
    そうやって私を油断させておいて
    どこかで車を急停車させ
    ネギの固いので私を打ち殺し
    積年の恨みをはらすつもりなのだ!
    そうして私の遺体をどこかの港から海へと投げ込むのだ!

    失言した!
    群馬にそんな場所はない!
    ”どこかの山にでも埋めるのだ”
    に訂正しておこう!

    ところがドイツ産ちあき号は
    どこにも停車せずホテルに到着した!
    すぐに私の命を奪う気はなさそうだ!
    ありがとうございますと心のこもらないお礼を述べ
    私はできるだけ急いで車外で出ようとした!
    しかし!
    ややっ!
    ドアは開かない!
    いくらレバーを引いてもドアが開かない!
    その瞬間にちあきは車外に飛び出した!
    やっぱりだ!
    そういう事か!
    このまま車内にこんにゃく芋から精製したガスが流れ
    私は静かに死んで行くのだ!
    私の人生は
    俗にいう「こんにゃく死」で終わるのだ!

    さようならみんな・・・。
    山形で「ママ」に会っておいて良かった・・・。
    こんなに早く
    「ごんぼちゃん」と再会する事になるとは・・・。

    そう思った時!
    かっちゃりとドアが開いた!
    外からちあきが開けたのだ!

    「すいませんねぇ!
     なんか車の調子が全体的に悪くて!
     中から開かないみたいですねぇ!」

    ちあき号は全体的にがたがただった!
    そう言えば乗車した際
    「空調をつけると車が止まる」
    といった苦情を私にぶつけていた!

    九死に一生を得てホテルにチェックインし
    自室に向かおうと乗ったエレベーターの中で
    ふと見上げると
    知らない映画の宣伝が流れていた!
    よく似たタイトルの映画を知っているが
    恐らくこれは群馬県だけで上映された
    独自の地域映画作品なのだろう!
    ロボットなのに暖かみのありそうな映画だった!

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    ワークショップ「伊勢崎大王ファーム」は
    募集開始と同時に定員の30名が埋まったそうだ!
    それは驚くほどの早さだったと言う!
    聞けば受付となった伊勢崎市境総合文化センター玄関前には
    受付前日の深夜から
    泊まり込みで並んだ者もあったらしい!
    私の首を取ろうとする恐ろしい執念のあらわれだ!
    会場に到着し
    受講生らと向かい合った時
    全員の殺気を感じた!
    それはまるでキアヌ・リーヴス主演の大傑作
    『ジョン・ウィック チャプター2』
    の如く全員が私を狙う殺し屋に見えた!

    今回のワークショップは
    これまで展開してきた独自のワークショップ
    「Royal Plant」とは違う性質のプログラムを実施してみた!
    5日間のRoyal Plantに対して
    伊勢崎大王ファームは2日間!
    その短い時間でどれほど
    「インプロビゼーション」
    つまりは即興劇の能力が上がるかを実験してみたのだ!

    「群馬の演劇はねぇ・・・
     なかなかコメディが少なくて寂しいんですよ。」

    開催前にちあきがそう嘆いた!
    仕方のない事だ!
    なにしろ私が独自に作成を進める
    「王立上毛かるた」では
    「わ」の札が

    「笑われるけど笑わない二百万」
    (絵札募集中)

    と記されている!
    私は必死の思いで
    1分間に3回笑うワークショップに挑んだ!

    会場では爆笑が続いた!
    驚いた事に
    彼らはどんどんと私の指示を受け入れ
    見る見るうちにコメディアンへと変わっていった!
    ちあきを含む劇場関係者らは
    「これが群馬か!」
    といった表情で彼らの成長ぶりに見入っていた!

    2日間のワークショップをしめくくるのは
    ふらふらになるまで遊んだその成果を
    実際に観客の前で披露するミニ・ショーだった!
    事前に私が提案したもので
    受講生らの知り合いに声をかけて
    観客として数十名に集まってもらった!
    インプロビゼーションたるもの
    観客がいなければ成立しない!

    「今この舞台に立っている3人は一体何者でしょう?」

    まずは俳優を舞台に立たせて私が観客に問う!
    すると客席からは
    いくつもの声が飛んだ!

    「バンド仲間!」
    「野球選手!」
    「忍者ショーの俳優!」

    なかなか面白いセンスを持つ観客だった!

    「ではそんなメンバーがとっても珍しい場所にいます!
     それは一体どこでしょう?」

    こうして場所を設定する事によって
    即興劇は開始される!
    大阪で行っているショー
    『インプロビアス・バスターズ』
    『IMPROMANIA』では
    ここであまりにも意外な設定が生まれ
    その時点で爆笑が沸き起こる!
    「フライパンの上!」
    「胃の中!」
    「遠心分離機の中!」
    そんな具合だ!
    ところが!
    飛び出した場所の設定に
    そこが群馬である事を痛感した!

    「海!」

    「海!」

    結局わずかな時間内に
    2回も「海」という設定で即興劇が行われた!
    「海」て・・・。
    そう!
    群馬県でうかつに”珍しい場所”などと言うものではない!
    地球の70%を覆うはずの恩恵が
    彼らには与えられていないのだ!

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    かくして私は群馬県に多くの即興コメディアンを作り出す事に
    わずか2日間で成功し
    ずいぶんと幸せな気持ちになる事ができた!
    あれ?
    感じていた殺気はどこに行ってしまったのだろう?
    終わってみると
    受講してくれた全員が
    なんだか素敵な仲間に思えてしまっていた!

    群馬なのに洒落たカフェバーを借り切って
    打ち上げパーティが盛大に行われた!
    多くの受講生達が
    私の作品のDVDやパンフレットや
    私が唯一出版した戯曲集『大王集 ver.1』を持って
    記念のサインを求めてくれた!
    私は一枚一枚丁寧にサインをした!
    そして作品に対する質問にしっかりと嘘をつかずに答え
    今後の群馬の演劇へのアドバイスなども
    誠意を持って述べた!

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    「ところで!
     せっかく2日間も髭をくるんとしてたのに
     どうして誰も私の写真を撮らないのかね?」

    と尋ねると

    「え!いいんですか?」

    と驚かれた!
    どうやら私以前に群馬を訪れたワークショップ講師らの中には
    それを嫌う者が結構いたらしい!
    ”自分が作るものは見世物だが自分は見世物ではない”
    という考えなのだろう!
    愚かな話だ!
    共に撮影した写真が大きな励みや幸福となり
    その人の人生を変える可能性がある事に気付けない
    そんな鈍感なクリエイターが
    どうして作品で他人の心など動かせようか!
    さぁ撮ろう!
    好きなだけ私と写真を撮るがいい!
    そしてそれを
    年賀状にでもTシャツにでもするがいい!

    「それでは最後に!
     大王にこの歌を捧げます!」

    誰がそう言ったのかは酔っていたので思い出せない!
    しかしどうやら彼らは打ち合わせをしたでもなく
    一斉にある歌を歌い始めた!

    ♪ざんざざざざん!
     蒟蒻畑に春が来た
     パリッと歯ごたえ旅がらす
     海がなくても水産学ぶよ
     群馬水産高等学校

    私が舞台『ダブリンの鐘つきカビ人間』の脚本で作詞し
    群馬県人の劣等感を最大限まで引き出したと言われる
    『群馬水産高等学校校歌』だった!
    ほぼ全員がこの歌を合唱した!

    「私達大王から馬鹿にされたと思った事なんて
     一回もないですよ!」

    「大王が群馬県民しかわからない事を書いてくれると
     俺たち逆に優越感を覚えるんですよ!
     俺たちにしかわからない事を書いてくれてるぞって!」

    「大王は私達も忘れてた群馬のユニークなところを
     全国に広めてくれてる群馬大使ですよ!」

    なんだか涙が出そうになった!
    私はどうやら
    初めて訪れた群馬の
    その演劇界において
    知らぬうちに英雄のような扱いを受けていたのだ!
    彼らが合唱してくれた『群馬水産高校校歌』を
    私は生涯忘れる事はないだろう!

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    (ちあきが撮影した群馬県で最も有名な風景)

    戦闘機パイロット藤田信雄がオレゴンに到着すると
    あろう事か飛行機のタラップ下には
    レッドカーペットが敷かれていた!
    『アメリカを爆撃した唯一の男』
    といった横断幕が掲げられ
    多くのアメリカ人が盛大な拍手で藤田を迎えた!
    「お帰り藤田!」
    「すごいぞゼロ戦ファイター!」
    「お前はこの街を有名にした英雄だ!」
    死を覚悟して再訪したアメリカにおいて
    予期せぬ大歓迎を受けた藤田は
    無益なサムライ魂を捨て去り
    人目をはばからず泣いたと言う!
    罪悪感ばかりを抱いていた藤田は
    知らぬ間にオレゴン州の英雄として
    讃えられ続けていたのだ!
    藤田が割腹自殺を図るつもりで持参した日本刀は
    爆撃したブルッキング市に寄贈され
    チェトコ・コミュニティ公共図書館において
    「FUJITA SWORD」と銘打たれ
    今でも展示されている!

    伊勢崎大王ファームを終え
    翌日は大阪への凱旋日だった!
    ”殺人犯の髪型をしている”と定評の高い
    新マネージャー「Brave」は
    早くも私の性格を察知し
    新幹線の最終便切符を私に手渡していた!
    朝から晩までのワークショップが2日間だったため
    私はせっかく潜入した初群馬を
    一切ひろいでいなかった!

    「車出しますよ!
     ものすごい群馬をお見せします!」

    ちあきの言葉に私の心は踊った!
    さぁ!
    次回の『ひろぐ』では私と共に
    ものすごい群馬を冒険しよう!

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