アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』第15話 私に出来ることだけを重ねて(前編)
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』第15話 私に出来ることだけを重ねて(前編)

2015-07-30 04:09
  • 4
 ニコ動で『デレアニ』15話 配信中!


 素晴らしい! 叩き落とされた上で改めて階段を昇り始めるシンデレラ、仲間と共に個性を育むというこれまでのテーマの正しさと美しさを証明する歌姫、そしてこのシンデレラ達と魔法使いとの絆……幾つものテーマが折り重なって織りなす分厚い物語。1話からの流れを背負った上で、ここからまた始まっていく、また始まって行ける!

○シンデレラガールズはここからだ!

 "御城"のてっぺんに近かったあの「私達のお城みたいな部屋」から、地下の粗末な倉庫に叩き落とされる。

まさに『灰かぶり』だ。ユニットは組んでみたけれど、アイドルデビューはしてみたけれど、CD出してライブもやってみたけれど、栄光に手が届く前にマイナス地点へ逆戻り。


 背後から落ちる光は孤独や苦悩を、後背の大きな空間は背負った責任や感情や思考の重さを物語る。構図は7話で凛と相対した時、あるいはみく達と相対した時と同じ。あの苦難を乗り越えて成長してきた彼と彼女たちだけど、今回ばかりは相手が悪い。Pの「大丈夫です」「待っていて下さい」も7話と比べて自信なさげで苦しい。凛たちとの絆は育んできたけれど、そんな凛や未央にも焦りが生まれる。時計は止まってしまった(なので会議の時間にも遅れそうになる)。

 シンデレラプロジェクトだけじゃなく、社内は誰もが苦難を背負う。Pは「普段通り落ち着いて」と言うけれど、社員たちは慌てて走り回り、『先輩組』だったはずの藍子や茜も、ブルーナポレオンも、KBYDも小梅ちゃんたちでさえも笑顔が曇る。ユッキはたぶん昨日キャッツが負けた。


 そんな彼女達やP達を励ますように、勇気づけるようにBGMとして流れる『S(mile)ing』が本当に良い……「涙はいらない 明日の笑顔願おう/もう諦めない 昨日凹んで寝込んだ自分とゆびきりして」。ここ一番で星のように人々を照らせるのはやはり卯月。

 そして、こんな暗い空気の中で、自分のためじゃなく仲間のために怒りを燃やせる未央はやはりパッション筆頭だよ。

でも、熱いけど、まあ、それを実行した所で無駄どころか状況を混乱させるだけだろう。そしてしかし、そんな未央を制止する凛の語気にも焦りからくる苛立ちが滲む。

 そんな、迷走と不安と焦りで笑顔が曇りかける中、光を差し込むのもまた彼女たち『アイドル』の役割だった。

 やはり、そんな未央や凛を光で照らせるのは卯月だ。あの7話のように、未央の持ち前の前向きさと、凛の他人を導ける力強さをもう一度引き出す。

 美城常務が否定した、「個性を引き出す一歩一歩の小さな歩み」は間違っていたのか? 1話からずっと重ね続けてきた「君が隣にいるから踏み出せる小さな一歩」というテーマは誤っていたのか? そんな不安の雲を晴らしたのは楓さんだった。

 「皆の表情が暗い時こそ、私が光り輝いて照らさなきゃ」。正しく『スター』だ。アイドルとしての責務、トップアイドルとしての責務を、軽やかに華やかに、そしてしっかりと堂々とこなしてしまう。

 倉庫に押し込められたシンデレラ。未央と同じように焦るのは他のだれでもない、みくだ。

 凄いよね。「うらやましい!」の後に続くのが「みくも常務に誘われたいにゃあ!」じゃなく「みくも美城常務にガツンと言いたい!」なんだもんね。さすがにそれはロックが過ぎるぞ前川ァ! 5話の頃から変わらないその熱さ、とてもみくらしい。

 そんなみく達も、楓さんを目標として活を入れなおす。誰に言われるでもなく、自分たちで。
 「私達にできることをしましょう」

 「目の前の仕事を一歩ずつ」新田ちゃんは本当に正しくこの14人のリーダーだ


 それにナチュラルに続けるきらりはこの14人を母性で包む。
 

 「それってロックだよね!」
 どうした、今回いちいち『ロック』の使い方がわりかし正しいぞ!


 遙かなる『階段』をもう一度。それこそ『シンデレラ』だ。彼女たちは階段を上る姿こそが美しい。
 誰かに励まされるのを待つんじゃなく、自分たちでこそ励まし合う。これこそ『アイドルマスターシンデレラガールズ』だ。

○君がいるから、小さくても一歩ずつ 掴もう『私だけの輝き』
 7話でPは言ったよね。「一緒に階段を昇りましょう」。

 叩き落とされた。だからまた昇らなきゃならない。彼女たちのために全力で動くPの姿は素晴らしい。彼女たちの笑顔のために、彼女たちの笑顔を糧として頑張れるPの姿は美しい!

 そんなPを自分たちなりに支えようとする未央たち、みく達、新田ちゃん達もまた素晴らしい! 「今やれることを一個ずつ、全部やる!」

 6話以前のPだったら、それこそ5話のように正直に丁寧に断っていたと思うのよね。それが今回はこの表情。前回「困っていた」Pを助けたように、今回もまたアイドルがPを援ける。

 最初はひどい顔だったPも、14人のアイドル達の決意と成長と思いやりと笑顔に触れていく内にドンドン血色良くなっていく。

この15人、Pとアイドルとの何にも代えがたい絆こそがアイドルマスターのアイドルマスターたる所以だと思う。

 そう、ずーっとやってきたことなんだ。

冒頭で常務に噛み付くPが言う「一人一人抱える問題は違う、感動することも傷つくことも、成長の歩みも視野の広さも背の高さも言葉遣いも皆違う、それを無視して彼女達を『総体』と扱ってしまっては彼女達の笑顔に気づけず、最終的に笑顔を奪ってしまう」というのはまさに1クール目で培ってきたテーマ。5話や6・7話、8・9・10・11話、それらを繋げてネックレスにした12話、「彼女達の悩みや感じ方や想いはそれぞれ違う、それこそが個性であり、個性を輝かせるから彼女達は成長し、更なる輝きを手にできる」という物語だ。それを否定されればいかにこの男とて激昂する。

あれは間違っていたのか? みくや未央の涙は、凛や蘭子の歩みは、新田ちゃんとアーニャの心からの触れ合いは、智絵里ちゃんの克己は、杏とかな子の頑張りは、りかみりあの思いやりときらりの成長は、全て無駄だったのか?

 そんなことはない、私は私らしいやり方でトップになったし、これからも私らしいやり方でやっていく。という背中を見せた楓さんが何より素晴らしい!

 言葉ではなくその在り方で、その背中で、その歌声でアイドル達を導くアイドル。『あこがれのアイドル』はこんなにも格好良かった。その背を追いかける未央達もまた素晴らしい!

 正面から受ける光は希望や決意、強い意思を、後背の空間は背負った信念の大きさを示す。

 「仕事に大きいも小さいもない」「あの時出会ったファンを蔑ろにしない」というのは、正しく6・7話で未央達に与えられ13話でやっと乗り越えたテーマだ。強い想いでそれを背負う。「それが私のやり方だから」を背負って階段を昇る。強く美しい。

 「今、目の前にある仕事を、今、目の前にいてくれるファンの笑顔を大切に、小さな一歩だけど『君』がいるから」「それこそが私の個性、そういう『私らしさ』で私はやっていきます」というテーマは、正しく8話~12話でシンデレラプロジェクトの一人一人に与えられたものだ。

 「ファンの人たちと一緒に」「笑顔で」「自分たちのやり方で」。 1話から13話まで、増えてきたファンも、15人で培ってきた絆も、磨いてきた個性も、歩んできた一歩一歩も、何一つ無駄じゃなかった、その一歩一歩は必ず階段の頂上へ繋がっている。あの第一話で『憧れの存在』として登場した楓さんがそれを証明してくれた。美しい。素晴らしい!

○新OPはきっと 崩壊と再生の序曲
 新OP『shine!!』、映像も含めて、物凄くストーリー性の強いOPだよね。

 そう、克己と成長と決意を見せた14人のアイドルの中で、一人どうにも不安な子、というかずっと不安だった子が一人。

 「と、とにかくがんばります!」

 未央と凛の焦りを取り除き、暗くなっていた顔を照らした『スター』卯月。その在り方は楓さんにすら通じるけど、何がこわいって、ここで「頑張ります!」としか言えないその具体性の無さが怖い。昔から「ガンバリマスロボ」と言われてきたけど、冗談抜きで『頑張る以外の事を知らない、心を失ったポンコツアンドロイド』になりそうで怖い。

 未央や凛が進める「企画を考えよう!」でも案が出てこない。いや、そもそも卯月は6話のラジオの時も、5話のユニット名決めの時も、もっと言えば1話で凛に「なんでアイドルになろうと思ったの?」と尋ねられた時も、具体的に「こうしたい」「こうなりたい」を口にできていないんだよね。「こういうアイドルになりたい!」「アイドルになってこういうことをしたい!」「アイドルとはこういうもの!」が卯月の中に無い。「アイドルってこういうものだよね!」を強く持っている(それ故に6話で一度躓いた)未央や、その未央を通じて「アイドルってこういうものなのか」を勉強してきた凛とは違って、卯月の中には具体的なアイドル像というものが無い。そりゃ13話に至っても「自分はアイドルになったんだ」と思えないさ、「こうなったらアイドルだ!」という基準が卯月の中には無いんだから。卯月は、1話でも言っていたように「アイドルになること自体に憧れている女の子」「なんだかよくわからないけどとにかくキラキラしているものに憧れているだけの女の子」だ。じゃあどうやったら卯月はアイドルになれるんだ? いや、そもそもアイドルになってしまったら卯月はその先どうするんだ? 

 『star!!』の時、卯月は自ら星を生み出した。卯月は自分の力で周りを色づかせることが出来る。7話のように、既に恒星のような力を持っていた。


でも今回の『shine!!』では、卯月の掌の中には何もない。何も持っていない。


空虚なあこがれを抱いたまま、壊れた時計の前に佇んでいるだけの少女、それが卯月だ。


 でも、そんな卯月の胸を満たすのが……ああ……あああ……

凛であり、未央だ。「小さな一歩でも君がいるから大丈夫だよ」という『star!!』の歌詞がここに繋がってくる!


 お城の部屋を、ドレスを、ガラスの靴を奪われた。でも、もう彼女達にそんなものは必要ない。


 靴がなくても、ドレスがなくても、彼女達は素足のままで駆け抜ける! 素のままで輝ける!

 「新たな光に会いに行こう」。そんな彼女達の手を取ってお城へ導くのは誰だ?
 いや、ずっとこのアニメの裏テーマだったかもしれない、「『シンデレラ』としての彼女達、『魔法使い』としてのP、じゃあ『王子様』は誰だ? ファン達? Pが兼任?」
 2クール目も始まり、クライマックスへ向けて走り始めるシンデレラ達――

 ――最後のシンデレラとは――


 私自身が王子様になることだ――!



 もう、そりゃそうだよ! そういやこの子らこういう奴だったよ! 「Pは支える人。ファンは私達が照らす相手。じゃあ王子様は、導き"合う"のは、全部自分たちでまかなう!」と言うシンデレラ。そうだった、アイマスの『団結』ってこういうもんだった。彼女達は「誰かに導かれる」のを待つんじゃなく、自分たちで「導き合う」。アイマスのこの子達ってそういう強さを持つ子たちだった。そう、この強かさこそアイドルマスターだ!

 最後に象徴的に表れるのは桜。1話で卯月が拾い上げた、卯月自身の心のように可愛く咲く花。掌に何も掴んでいなくても、心の中では既に花開いているから―「繋いだ両手は離さないで、虹色の雫ハートで掴んで」と、EDの『夢色』に繋がるのかな。

 そんな、2クール目の物語を暗示するような、オペラの序曲のようなOPでした。ダンスも、個々の表情も素晴らしいんだこれが。



 14話はスタートダッシュのための準備でしたが、15話は素晴らしいスタートダッシュの一歩目でした。次回も楽しみです。


 中編では個々のキャラクターを個別に見ていきます。


 それでは、良きアイマスライフを。

広告
×
美城常務が求めているのは、3C鑑定書付きのダイヤモンドであったり、24金以上の純金の輝きなのかな。
純然で、均質なもの。誰もが評価できる、曖昧ではないもの。

シンデレラプロジェクトが描いているのは、色とりどりの宝石箱。
まだカットの粗い原石もゴロゴロしてるし、それぞれの好みは千差万別だろう。
でも、ダイヤモンドだけが最高じゃないよね!
47ヶ月前
×
デレマスは「見つける」がひとつの重要な要素になってるから「リソースを少数精鋭にブッコミ」という常務とは相性が悪いかも。逆に、常務が765プロに入ってたらどうなってたかなあ
47ヶ月前
×
Shine!!の考察に感動しました。すごく納得です。卯月が壁を乗り越えてあのOPのように輝けるようになるのがちょっと怖いけれど待ち遠しいです。
47ヶ月前
×
強い子です。だからこそ脆そうで。そんな卯月の喜びも悲しみも受け止めたい。
47ヶ月前
コメントを書く
コメントをするには、
ログインして下さい。