甲子年甲子月の話をしてみよう
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甲子年甲子月の話をしてみよう

2016-10-17 01:04
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 年月日時、これを四柱と言うが、これには干支が割り振られる。
 念のため書くけれど、干支と言うのは十干と十二支の組み合わせによって得られる、60個一組の……一組の……なんと言ったら良いのだろう? 上手い言い回しが見つけられないから、仕方ない、取り敢えず「組み合わせ」とでも言っておこう。60個一組の組み合わせである。カレンダーに「きのえ ね」とか「ひのえ うま」とか書いてあるのを見たことが無いだろうか? あれである。

 東アジア圏で広く使われる暦法上の用語であり、十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)と十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)とを組み合わせて作る。10と12の最小公倍数が60なので、全60種類の干支が存在する。六十干支とか十干十二支とかいろいろな言い方をする。訓読みするならば「えと」である。

 上述の通り、干支は年月日時に割り当てられ、これは順繰りに移行していく。干支については甲乙丙丁戊己庚辛壬癸、十二支については皆御存知の通り、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の順番であって、干支はこの順番の組み合わせ通り進んでいく。
 つまり、甲の次が乙、子の次が丑だから、甲子の次は乙丑になる。以下同様にして丙寅、丁卯と進んでいき、60番目、癸亥まで来たらその次は振り出しに戻って甲子である。延々と、飛ばしたり後戻りしたりせずに古今往来この順番を維持して移行していくので、暦の情報を記述するのに便利なのである。

 さてそれでは、この干支のスタート地点はどこだろう? 干支が甲子から始まる以上、カレンダー上のどこかに甲子年甲子月甲子日甲子時が存在するはずである。
 理屈の上では甲子年は60年に一度、甲子月は5年に一度、甲子日はだいたい2カ月に一度、甲子時は5日に一度巡って来ることになる。この計算を見ると、甲子月は甲子日がある場合と無い場合とがあるわけで、そうすると概ね120年に一度はこの四柱ともに甲子のパターンが訪れるはずである。だから、干支暦の紀元はある四柱甲子日の120n年前であるはずである。

 ここまでは理屈。では実際はどうか。実はこの理屈は成り立たない。図書館にでも出かけて調べてもらえれば分かるのであるけれど、現行の干支暦において甲子年の子月は、干が丙となっていることが御理解いただけると思う。
 つまり、120年に一度巡り来るのは甲子年丙子月甲子日甲子時なのである。月の干だけが2つ進んでしまっている。大変遺憾であり、据わりが悪く、実に鬱陶しい。何とかしたい。だから今回は、これを何とかする事を考えてみたいと思うのである。

 月の干支について、まず支の方は月ごとに固定である。
 占いでよく使うのは旧暦だけれど、月の区切りは暦月ではなく節月を使うことが多い。暦月と言うのは一般的ないわゆる旧暦である。これは月の朔望周期をひと月とするものである。新月の日が一日となり、次の新月が翌月の一日になる。
 これに対し節月というのは、節気を一日とする暦法である。例えば、旧正月一日は立春日となる。立春はだいたい新暦2月4日ごろである。翌月、旧暦二月は啓蟄日で、これは新暦3月5日頃。以降同様である。
 で、ここでは特に断りが無ければ、節月を使うものと考えて頂きたい。また、新暦旧暦と書いて行くのが面倒なので、漢数字で一月二月と書いた場合は旧暦、アラビア数字で1月2月と書く場合は新暦を言っているのだとご承知願いたい。

 さて、月と支の対応であるが、一月(2月)が寅である。以降、順に割り振って行くだけである。ちょっと旧暦新暦、節気と支を表にまとめてみよう。

 旧暦 新暦 節気 支

 一月 2月 立春 寅
 二月 3月 啓蟄 卯
 三月 4月 清明 辰
 四月 5月 立夏 巳
 五月 6月 芒種 午
 六月 7月 小暑 未
 七月 8月 立秋 申
 八月 9月 白露 酉
 九月 10月 寒露 戌
 十月 11月 立冬 亥
十一月 12月 大雪 子
十二月 1月 小寒 丑

こうである。
 で、これに十干が順に配当されていくわけで、月の干支は年の干に応じて次の表のようになる。

 旧暦 新暦 節気  甲・己年 乙・庚年 丙・辛年 丁・壬年 戊・癸年

 一月 2月 立春   丙寅   戊寅   庚寅   壬寅   甲寅
 二月 3月 啓蟄   丁卯   己虎   辛卯   癸卯   乙卯
 三月 4月 清明   戊辰   庚辰   壬辰   甲辰   丙辰
 四月 5月 立夏   己巳   辛巳   癸巳   乙巳   丁巳
 五月 6月 芒種   庚午   壬午   甲午   丙午   戊午
 六月 7月 小暑   辛未   癸未   乙未   丁未   己未
 七月 8月 立秋   壬申   甲申   丙申   戊申   庚申
 八月 9月 白露   癸酉   乙酉   丁酉   己酉   辛酉
 九月 10月 寒露   甲戌   丙戌   戊戌   庚戌   壬戌
 十月 11月 立冬   乙亥   丁亥   己亥   辛亥   癸亥
十一月 12月 大雪   丙子   戊子   庚子   壬子   甲子
十二月 1月 小寒   丁丑   己丑   辛丑   癸丑   乙丑

 それで、私としては甲年の列十一月の行が丙子であることが気に喰わないのだ。なんとかしたい。
 表中から甲子の月を探すと、戊・癸年の十一月が甲子である。で、特に癸年というのは甲年の前年に当たる。つまり、子月、すなわち十一月(12月)が翌年であれば、甲年に甲子月が存在することになって、屈託が無くなるのでまことにすばらしい。四柱皆甲子が成立する。
 だからと言って、なんの根拠もなく「十一月は翌年の領分だ」と主張するのもどうかと思う。歳首の座を追われた一月も納得がいくまい。寅に噛み殺されかねん。ちょっと考えよう。

 しばらく考えていて思いついたのだけれど、十一月には冬至が存在する。冬至と言うのは実に重要なイベントである。冬の極み、最も夜の長いこの日は、太陽が復活する日でもある。この日を境に昼が長くなっていくわけで、この日に太陽が生まれ変わると詩的に考えることも可能である。太陽が生まれ変わるならば、この日から新しい年であると考えても差し支えあるまい。

 さて、冬至であるが、これは節気でなく中気である。立春から順に二十四節気を並べた時に、奇数番目のものが節気、偶数番目のものが中気である。
 一般的に、節月は節気を起点としている。今回はこれを中気起点に変えてしまおうという理屈である。これをもとにさっきの表を、中気を考慮して書き変えてみよう。年の始まりが二カ月早まる。新暦で言えば、12月の終わりごろはもう次の年と考えるのである。

 旧暦 新暦 中気  甲・己年 乙・庚年 丙・辛年 丁・壬年 戊・癸年

十一月 12月 冬至   甲子   丙子   戊子   庚子   壬子   
十二月 1月 大寒   乙丑   丁丑   己丑   辛丑   癸丑   
 一月 2月 雨水   丙寅   戊寅   庚寅   壬寅   甲寅
 二月 3月 春分   丁卯   己虎   辛卯   癸卯   乙卯
 三月 4月 穀雨   戊辰   庚辰   壬辰   甲辰   丙辰
 四月 5月 小満   己巳   辛巳   癸巳   乙巳   丁巳
 五月 6月 夏至   庚午   壬午   甲午   丙午   戊午
 六月 7月 大暑   辛未   癸未   乙未   丁未   己未
 七月 8月 処暑   壬申   甲申   丙申   戊申   庚申
 八月 9月 秋分   癸酉   乙酉   丁酉   己酉   辛酉
 九月 10月 霜降   甲戌   丙戌   戊戌   庚戌   壬戌
 十月 11月 小雪   乙亥   丁亥   己亥   辛亥   癸亥

 どうだろう。甲子年に甲子月が入って、実にしっくりくるではないか。
 さらに言えば、中気スタートの月割は、西洋占星術のサインと十二支の間に一対一対応を作る事が出来る。あちらではスタートは白羊宮で、白羊宮0度は春分点に当たる。だから、干支術と西洋占星術の間の比較、理論的統合を考える上でも、中気スタートの月割の方が据わりがよろしかろう。

 以上から、ノウエ占術部門としては年の始まりは冬至、月の始まりは中気とする暦法を主張するものである。まあ、占法によって都合のいい暦法を採用すればいいだけの話ではあるけれど。
 ひょっとしたら、この程度の事はもう誰かが提唱してるかもしれない。その場合、我々はその説を支持するものであると考えてもらいたい。

                                       十薬庵


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二月 3月 啓蟄   丁卯   己虎   辛卯   癸卯   乙卯

「己虎」←???
11ヶ月前
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