つるまこ、演劇やめるってよ の伍
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つるまこ、演劇やめるってよ の伍

2018-06-17 10:14
    前回からきっちり一か月経ってしまいました。仕方ないよ、艦これのイベントが立て込んでいたのだもの。こんな需要のないもの書く余裕があると思う?思わないでしょ。
    本当に知る限り、楽しみにしている人は二人しか知らないので、その方々のために書いている演劇やめるってよ、第五弾。ようやく小屋入りです。



    確かに小屋入りギリギリまでバイトをしているのもどうなの?とは思いますが、こっちも生活かかっているわけで。チケットバックはあれど、純粋なギャランティが発生する舞台ではないので、生活費の捻出と職場の安定を考慮してその日程で組まざるを得なかったわけですわ。
    そんなこと言ったら、ソワレの本番終えて中日打ち上げを蹴って夜勤に行って、仕事明け漫画喫茶でシャワー浴びてマチソワの本番に臨むとか、今思えばバッカジャネーノ?なこともやっていましたよ。でもそれは若かったからね。四十も見えてきてそんな無茶なスケジュール組むほど冒険野郎でもないわけです。マク〇イバーでもク□コダイノレダンディーでもない。

    こちらからはオファーの段階でそのようなスケジュールになることは通知していたし、それを了承した上での招聘だったわけだから、そこらへんは汲んでくれるものだと思っていた小屋入り月曜の朝。9時に阿佐ヶ谷の劇場前に集合。
    日曜夜勤明けで発注を手早く終わらせ、8時半に退勤、阿佐ヶ谷には9時15分過ぎには到着する予定。その旨をメールで演出に送信、返信はない。あー忙しいのだろうな、と推察。
    劇場に着くと既に開場されていて、中に入るとこれから搬入の準備にかかる様子。スタッフさん達に挨拶をして、楽屋に入り荷物を降ろす。
    すると演出がやってきて「おはよう、つるまこくん仕事上がりでしょ?ちょっと寝てていいよ。」と言われる。あれ?何かあったの?この気遣い。ところがその後に続いた言葉が

    「ただスタッフさん達はこれから動くから、そんなところで寝ていたの発見されたら何事ってことになるからさ、楽屋の目立たないところに隠れて寝てて。昼くらいまでいいよ。」

    (゜Д゜;)ポカーン

    え?寝てもいいけど見つかるなってこと?その配慮要る?それなら最初から入りを昼にしてくれてもいいんじゃない?適当な理由つけてさ。
    これは後で打ち上げの席で耳にしたのだけれど、おいちゃんが遅れてきたのを見たスタッフさんが「遅刻してきたのに当たり前のように搬入作業に入ってきたからどこのスタッフかと思ったよ。」と受け止めていたそうだ。
    いやもう、主役とかどうでもいいんですけどね。一応役者なんですけどね、そこらへんのオーラのなさは自覚しているから今更なんですけれども、そういうことって一言伝えておいてもいいんじゃない?こっちだって必死に少しでも早くこようとしていたのだから。

    当然、カツーンときて搬入作業を手伝いますよね。材担いでパンチ担いで幕背負って。
    搬入が一通り終わってさてこれから仕込みに入りますよってところで流石にグロッキー。弁当どうこうより睡眠をくださいって感じで楽屋でひと眠り。

    昼休憩があっという間に過ぎ、この劇団特有の「ギミックのある装置」の作成に入る。
    通常普通の壁となるボックスの中に、折り畳みの腹筋台がセットされていて、且つ、裏からは主人公が下着泥棒をする際によじ登る簡素な階段(いうてサブロクの平台の裏を足ひっかけて登る仕様)で出来ている優れもの。
    ここの主宰さんはモモクロだかのイベントスタッフにも入っているそうなので、そういうものはお手の物らしく、大工仕事苦手なおいらは出来上がりを待って仕掛けのチェックに立ち会います。

    前述のとおりの拵えにつき、意外と危険な足場なんだけど、演出からの指示で「引っ込む時は素早く!」という追加オーダーを頂き、試行錯誤の末、ほぼ飛び降りるカタチで滑り落ちることになりました。6ステージおいらのカラダがもつか今から不安です。実際、擦り傷作ってるし。

    そんながあっての仕込み初日、当初の図面と実際の劇場の配管が違うということから、吊るし関係の修正だらけで遅々として進まず、気が付けば22時。小屋自体は夜通しいてもよいということになっているそうなので、主宰と演出は家も近いので居残り。我々は解散ということになりました。
    ただでさえ変形の舞台に降らしの幕、ギミック付きのボックス、開閉扉の向こうにボルダリングの壁、そして断崖絶壁。これだけのものを役者五人と舞監、それに当日来てくれたお手伝いさんとで作る。無謀すぎるなー、と思いながら帰宅。明日も早いのでさっさと寝ます。

    明けて火曜。10時に小屋入りして再開。何となくいくつかの工程が進んでいて、あ、やってたんだ、という感想。しかしながらそのままいた主宰はともかく演出は遅刻。

    この日が一番徒労を感じ、何というか、下準備って本当に大事なんだね、って時間を過ごすことになる。

    ギミック関連のことについては主宰を軸に先輩役者さんと舞監でやっつけることにして、残る我々は物語ラストに現れる断崖絶壁を作ることになりました。
    ここが演劇の凄いところで、新聞紙をクシャっとしたものに、ペンキハケで墨をシャッと塗ったものを合わせると、遠目から見事な岩肌に見えるわけですよ。それを板に貼り付けて断崖絶壁を作ると。勿論、おいらがよじ登るところには足場を作るわけですが。

    が、その新聞紙がまるでないという話からスタート。

    え?用意してないの?してあるけど圧倒的に足りてない?
    で、近所のスーパーからだとか、ごみ置き場探せばとか、色んな案が出てくる。
    そんなんで時間を潰した結果、演出から

    「ひとまずつるまこくんは電車に乗って、集められるだけ集めてきて。中野の○○ってスーパーと、△△ってスーパー。あとドンキとか思いつく限り回って。」

    という戦術指南。もう何が何だか。正直劇場にいるのもしんどかったので、外に出してもらえるということに飛びついてひとまず出発。中央線の阿佐ヶ谷前後の駅で降りて、ホームの新聞紙を捨てるゴミ箱を見るが入ってないし、そもそも口のところが狭くて取り出せそうにない。
    中野を回っても戦果は得られず、新宿まで出たが思い当たる節もない。
    大体、新聞紙なんて資源ゴミなんだから、そうそうタダでもらえるものと思っていないし、そこまで図太い神経してたらもうちょいおいちゃんの人生上手く立ち回れてたわな、と思う次第。

    13時を回って馴染みの思い出横丁のタバコ屋のおかあさんと新聞紙について話をした後、飯時だと思い電話をかける。飯は適当に済ませてきてくれとのこと。戦果ナシとの報告に「どうしようかー。」との返答しか得られなかったので、奥の手を切り出すことにした。

    「実家が新聞を購読しているので、貯まっていないか確認とります。あれば回収してきます。新宿からなら片道一時間半あれば行けるので、それでワンチャン……」

    「んじゃそれで。」

    実家に連絡を入れるとこないだ捨てたばかりで貯まってない、もっと早くに言いなさいとお叱りを受ける。いや、今日聞いたのよ?俺だって。
    とりあえず回収に行くからと言って西武新宿から紅蓮の矢に乗って一路川越へ。
    東上線に乗り換えてまさかの小屋入り中に帰省をするとは……なんて思っていたら、近所に掛け合って集めてきたとのメールが。何だろう、この母親の愛。

    実家に戻ると、ほらあの新聞の回収に使う紙の袋あるでしょ?立方体になるやつ。あれ二つ分が用意されてやんの。そんなに集めたの?
    で、ひとまず近況報告して一息入れて、もうこのまま戻りたくねーなー、と思う寸前で離脱することにした。
    そうしたら犬の散歩から帰ってきたおとんが「そんな重いもの持っていくならせめて川越まで送ってやろう。」と車の用意を始める。何だろう、この父親の愛。

    両親の愛情を一身に受け止め。息子は新聞紙を抱えて、来た時と同じように紅蓮の矢にまた乗って、一路阿佐ヶ谷を目指す。ありがとう、おとん、おかん。息子は無事に任務を遂行することに成功できそうです。この時点で夜の帳が下り始め、時計は17時。もう溜息しか出てこない。劇場に着いて、重い新聞の束を置いてこの一日は一体何だったのだろうと思い返す。自分、役者、だよなぁ。

    結局、その日は断崖絶壁を作るまでに至らず、22時に解散。というか、この調子で連日12時間本番まで小屋に軟禁されるのかと思うと背筋が凍る思いがする。いや、稽古するとかならいいよ。でも仕込みなんだぜ?しかもここから人手が増えることもないっていう。

    明けて水曜日。時間通りに劇場に着いたところで鍵が開いておらず、劇場前で鍵の到着を待つ。遅れて演出が到着。主宰共に遅くまで残っていたそうで。いやいやご苦労様です。
    崖以外もそれなりに進んでいるところを見ると急ピッチで作成していたのだろうな、と推測できるがまだこれで半分。今日終えないと明日はゲネやって本番だ。

    慣れない作業に戸惑いながら、断崖絶壁を作る役者御一行。一張羅のジャージにも墨がベットリ付き、なかなかに萎える。それでも今日中にどうにかせんととは思うが、作業進行は劇団サイド二人が握っているので従うしかないですな。

    あっちゃこっちゃをやっつけで作っていき、ちょっと言ってること分からないんですけど的な作業も任され、ボルダリングの壁も何とか完了。試しに登ってみたり、相方の女優は楽しそうにしてたけど、何が楽しいのか疲れ切った頭では思考できず。

    あらかたが出来てきて、何とか明日は予定通りいきそうかなぁ、なんて思っていたところに演出からの追加オーダーが入り、手直し部分が増える。ここまで来るともう執着だな、演劇に対する執念。ホントごめんなさい、既についていけません。僕らはありもので出来る芝居でいいと思っているものなので。

    案の定予定をオーバーして作業を残し、いよいよ本番の日を迎えることになりました。明日が本番であろうと、22時解散です、本当にありがとうございました。役者は耐久消耗品なんだな、と骨の髄まで思わされました。

    では本番当日、無事に幕が開くのか?いや、開かなかったら大問題なんだけど、定時開場30分押しの劇団とか散々見てきてるからどうでもいいんですけどね。自分が関わるところでそれはあってほしくないんだけど……

    ということで今日はお開き。 陸に続く、予定。→その陸へ
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