• 「なぜ超文学フリマなのか?」~文学フリマ・フェーズ3宣言~

    2013-04-23 02:25
    「文学フリマ」とは文学作品の展示即売会です。
    ニコニコ超会議に足を運び、このカタログを手に取っている方々には「創作文芸・評論オンリーの同人誌即売会」と言ったほうがわかりやすいかもしれません。評論家・まんが原作者として知られる大塚英志さんが発端として生まれた同人誌即売会であり、既成の文壇や文芸誌の枠にとらわれず〈文学〉を発表できる「場」を提供すること、作り手や読者が直接コミュニケートできる「場」をつくることを目的とし、プロ・アマといった垣根も取り払って、すべての人が〈文学〉の担い手となることができるイベントとして構想されました。

     ではなぜニコニコ超会議2の併催イベントとして、その文学フリマが開かれるのか?
     多くの人が疑問に思っていることでしょう。動画サイトのイベントと活字(それも“文学”と銘打った)のイベントが一緒に開かれることに意外性や違和感を感じるのはむしろ当然のことです。

     実のところ、超文学フリマの開催はほとんど偶然のようなものです。しかし、数多くの偶然が絶妙な時機で重なりあうことがあるとすれば、それはもはや必然と呼ぶべきでしょう。

     例年は東京で年二回開催していた文学フリマですが、2013年春に関しては東京での開催を行わず「初の大阪開催」を発表していました(実はこの大阪開催にいたるまでにも数多くの偶然が作用しているですが、それはまた別の話)。これは文学フリマ10年の歴史の中で初めての試みでした。
     そのタイミングでニコニコ超会議2の併催イベントの打診があったのです。例年通り東京で春開催を行っていたらおそらくお断りしていたでしょう。しかし、2013年に限って言えば、大阪に参加できない関東圏の参加者に場を提供する絶好の打診でした。

     一方でニコニコ超会議2の主催者側が文学フリマに声をかけるに至ったことにも様々な事情があったと思います。ニコニコ超会議2の開催日程が某オールジャンル同人誌即売会や某カードゲームの祭典と日程がバッティングしていたり、同じゴールデンウィーク中に某大型創作ジャンル同人即売会や某大型音系・メディアミックス同人即売会、某法人主催の都市型同人誌即売会が開催されるなど、普通の同人誌イベントはなかなか招致しづらい時期であることは明らかです(サークルも来場者もスタッフも取り合いになってしまいます)。そしてたまたま主催者側に文学フリマの参加者がいたとか、私の大学時代の先輩筋にあたる人がいたとか人間的なつながりいくつかあったことも大きな要因でしょう。
     さらにはここでは書けないような事情だっていくつかあります。

     そして私自身、文学フリマというイベントが順調に参加者数を伸ばし、抽選を行わずにすむ大きな会場へ移り、開催が安定化した代償として、参加者の固定化に見られる閉塞感が漂いつつあると感じていました。閉塞した〈文学〉、閉鎖的な〈文壇〉の外側にあたらしい市場を創ることを目的とした文学フリマ自体が、回を重ねることで閉塞に向かっているのではないか。その矛盾に目を背けてイベントを続けていくことは簡単です。しかし、「場違い」と言われようともニコニコ超会議2との併催は文学フリマに新しい風を吹き込む契機となるはずです。幕張メッセの四角いリングにあがり、ニコニコ動画のファンというまだ見ぬ相手に、自らの文学をぶつける。それは挑戦しがいのある戦いです。勝負どころは今しかない。私はそう確信しました。

     そういったあらゆる偶然の積み重ねが、「超文学フリマ」の開催を後押ししていました。私や事務局スタッフが結論を出す前に、状況が、空気が、時代が、「やれ!」と結論を出していたのです。

     また、この4月に「第十六回文学フリマin大阪」と「超文学フリマ」の月二回開催を行ったことは、文学フリマの将来にとって大きな意味を持ちます。あえて落下傘的に東京の事務局で主催した「大阪」と、もともと開かれるフェスティバルに相乗りする形で開催する「超」を通じて、今後文学フリマというイベントが東京での定期開催以外に展開していくための手法を同時にふたつ獲得することができました。この手法を両輪として、さらなる地方展開なども切り拓けると考えています。

    「超文学フリマ」は閉塞した文学と、固定化した文学フリマというイベントの壁を「越える」ための挑戦です。
     そして、ここからまた、はじまるのです。
    「開催することに意義があるイベント」だった第一段階、「開催することで新しい何かを生み出すイベント」としての第二段階を経て、文学フリマは「様々な地域へ拡散し種を蒔くイベント」として第三段階に入りました。
     ぜひ、あなたも参加してください。
    超文学フリマ
    (「ニコニコ超会議2」[2日目]併催イベント)
    開催日2013年4月28日(日)
    開催時間10:00~17:00
    会場幕張メッセ(「ニコニコ超会議2」内)
    アクセスJR京葉線「海浜幕張駅」徒歩10分
    一般入場「ニコニコ超会議2」の入場チケットが必要です。
    1日券 前売1,500円 当日2,000円
    通し券 前売2,500円
    ※購入方法はニコニコ超会議2公式サイトをご覧ください。
    参加サークル数288スペース
    主催文学フリマ事務局

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  • 文学フリマの参加費支払いのハナシ

    2013-02-13 16:12

    文学フリマの参加費支払いは特殊

    先日、「第十六回文学フリマin大阪」「超文学フリマ」の出店参加をお申込みいただいた方に参加費支払いのご案内をメールしました。
    今日はこの参加費支払いについての話を書いてみたいと思います。

    申し込み後にブース数が確定してから参加費を支払う

    文学フリマの参加費支払いは他の同人イベントに比べてかなり特殊です。
    ほとんどの同人誌イベントは申込時点で参加費支払いも完了しなければなりません。
    これには様々な理由があると思いますが、
    • 事務作業の単純化
    • 資金繰りの問題(入金が早いほうが運営は助かる)
    • 申し込みキャンセルのリスク軽減
    といった点が挙げられるでしょう。
    そして、その前提として「コミケをはじめとする主要イベントの影響で、同人イベントの参加者の間に参加費と申し込みの同時手続きが浸透している」という部分が大きいと思います。

    文学フリマの場合は、第一回立ち上げの時点でまずどれくらいの参加希望者がいるかを知る必要があったため、とりあえず申し込みを募り、それから入金を含む手続きを進めたという経緯があったと思います。
    私が事務局を引き継いだ第二回でも、基本的にその手続きの流れを踏襲しました。
    第三回以降、参加費支払いと申し込みの同時手続きを考えないこともなかったのですが、文学フリマ参加者の一定層は必ずしも「同人イベントの常識」に馴染んでいないため、申し込みに混乱をきたすぐらいなら最初の手続きはカンタンにして敷居を低くしたほうがよいだろうと考えました。
    また、回を重ねてからは抽選をしなくてはいけない時期が続きました。
    (ちなみに抽選を行ったのは東京都中小企業振興公社秋葉原庁舎で開催していた第四回~第七回までの時期。2009年に会場を大田区産業プラザPiOに移して以降 は抽選は行っていません。PiOの会場サイズで破綻する寸前に東京流通センターへ会場を変えたことにより申し込み数の増加に対応できました。)
    そうなると返金の手間よりも当落を出してから入金してもらうほうが都合がよいため、「申し込み後にブース数が確定してから参加費支払い」という手順を続けることになり、そのまま現在に至っているのです。

    支払い方法がゆうちょ銀行への振り込みのみ

    コミケやコミティアのような大きなイベントはCircle.msでのオンライン申込・決済に移行しつつありますが、中小のイベントとしては参加費の支払い方法が「銀行振り込みのみ」というのは珍しくはありません。
    (先日の「ニコニコ超会議2特番~併催イベント編~」でボーカロイドマスターの鷲見さんが「ウチはクレジットカード決済もできます!」とわざわざ強調していたのが象徴的です。)

    しかし、なぜよりによってゆうちょ銀行なんだ、と思われる方も多いでしょう。
    主な理由は2つあります。
    1. 法人格でなくとも屋号(「文学フリマ事務局」名義)での口座が開設できた
    2. 郵便振替口座がもっとも地方格差の少ない口座だった
    【1】に関しては現在は規則が厳しくなっており屋号では開設できないという話も聞きますが、事務局が申し込んだ時点では可能でした。
    逆に言えば、他の都市銀行では基本的に法人格を持たない組織名のみでの口座開設はできません。
    個人名義では絶対にダメということはありませんが、お金のやり取りをする上で口座の名義がちゃんとそのイベントの名称になっているというのはちょっとした安心になっていると思います。

    【2】に関しては、文学フリマは立ち上げ当初から地方で活動している同人雑誌の参加も想定していました。
    どんな地域でもおおむね生活圏内に郵便局はあるため、郵便貯金というのは最大公約数的な選択肢だったわけです。
    特に振替口座はお金の受け取りや送金の利用に特化した口座で、振込手数料も安く、また明細が郵送で送られてくるというメリットもあります。
    ただし郵便貯金の口座を持っていない人は基本的に郵便局に行って支払いをしなくてならないというデメリットもありました。
    実のところ参加サークル数の増大に伴い、このデメリットによる限界を感じつつあったのですが、民営化後の2009年に他行からの振り込みも可能になったため、問題は解決してしまいました。

    そんなわけで、今に至るまで文学フリマの参加費支払先口座はゆうちょ銀行になっているわけです。

  • ニコニコ超会議2特番・併催イベント編を振り返る

    2013-02-11 13:21
    さる2/4の夜に「超会議2特番~「同人とニコニコとこれから」について語る。同人系併催イベント編~」に出演しました。
    またこの番組終了後にユーザー生放送扱いの第二部でも引き続きトークしました。
    現在ではタイムシフトで視聴可能です。

    この番組に出演するにあたり、私は文学フリマの代表として「言葉の力で他の出演者を圧倒する」ことを企図していました。
    用意した原稿を読むようなマネはせず、なるべく豊富なボキャブラリーとレトリックを駆使して印象にのこるようなトークするというミッションをみずからに課して臨んだのです。
    もちろん、イベントの宣伝のためです。
    それは単に「超文学フリマ」の集客を狙っているのではなく、「第十六回文学フリマin大阪」の告知、ひいては文学フリマというイベントそのものを知らない人に印象づけることを目的としていました。
    「さすが文学フリマの人はトークのキレが違う」と見ている人に言わせてやろうと、かなり気合いを入れていたのです。
    そういった意味では、niconicoプロパーの同人イベントであるという自負とスタッフ獲得というミッションを背負い、イベントを象徴するような自作のシャツを着用して臨んだ「ニコつく」主催の八田さんと私の二人が無双状態で第一部の放送を終えたのも必然だったと言えましょう。

    なお、第一部での主な発言は下記の二つの記事に紹介されていますのでぜひご参照ください。
    ニコニコは同人文化の何を変えたのか?【超会議2特番レポ】-日刊SPA!
    ボーマス、東方、ニコつく、文学フリマ ニコニコ超会議2併催の同人イベント-週刊アスキーPLUS

    また、ざっくばらんなトークができる第二部では、文学フリマの代表という立場で「非コミックマーケット系イベントであることの強み」を打ち出す姿勢をとりました。
    一部の文学フリマ参加者の間では、「ニコニコ超会議」が“アウェイの場”であることへの不安の声があがっていましたが、そこで「いや、だからこそ有利なのだ」というメッセージを打ち出したかったのです。
    私の主な発言は以下のようなものです。
    • 文学フリマの主催である自分はこの場にいてアウェイ感がある。しかしそれは他のみなさんに内輪感があることの裏返し。
    • 同人業界はコミケが最大勢力にして頂点。一番てっぺんが一番大きいという逆ピラミッド構造になっていて、下にいくと何十、何百という中小のイベントがあるけどどんどん細くなっていく。まさにビッグサイトの建物の形が同人業界の縮図になっている。
    • スタッフもコミケ系の人脈で共通(共有)しているため、イベントがかぶると人手が足りなくなって困るという現状に問題がある。(文学フリマはコミック1の裏でも影響が少ない)
    • 本当は中小のイベントがコミケ以外の選択肢としてもっと盛り上がって、「なにもコミケだけにでなくてもいい」という風になれば、コミケの落選問題の解決に繋がっていく。そしてそれはコミックマーケット準備会にはできない解決方法。我々が頑張るしかない。
    非コミケ的なポジショントークを繰り返したわけですが、もちろんアンチというわけではありません。
    ただ、あの場で自分だけが言えることをしっかり打ち出したいと考えていました。
    また、ところどころ確信犯的に物議を醸すような発言もしておりましたので、お相手いただいたみなさんには感謝しております。

    最後の方で「同人サミットみたいなことができたらいいね」という話題が出ていましたが、そういう機会があるとおもしろいと思います。
    ぜひその際はワタクシにもお声がけいただければ幸いです(笑)。