Just Because!と月がきれい 似て非なるもの
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Just Because!と月がきれい 似て非なるもの

2018-01-06 15:58
    2017年秋のオリジナルアニメの「Just Because!」と、春アニメの「月がきれい」。
    同じジャンルでありつつ対照的でもあったこの作品について適当に纏めてみました。













    ※激しくネタバレを含みますので、是非両作品を視聴してから読んでください。
    又、両作品を比較したいだけでJust Because!を批難する意図はない事をご理解願います。





    ○両作品の類似点1:現実の日常を描いた作品
    両作品の特徴と言えば、とことんファンタジー要素や異能設定をとことん排除している点。
    特殊エフェクトの演出も特に使われず、たまに変顔が出てきますがアニメ特有の記号的な顔の描き方(><←こんなんとか)すら出てきません。スポコンものだとリアル路線で行くケースもありますが、この手のものでそういった要素が一切出てこないのは稀なのではないでしょうか(秒速5センチメートルも現実路線だけど、種子島に転勤は割とファンタジー)。それだけ内容が絞られる為、脚本の引き出しの多さと構成能力が求められる事になります。
    声優の演技のトーンもより現実よりでキャピキャピしい声はなく、会話もリアリティが出るように調整されています。月がきれいでは「日常会話ではもっと短い言葉で通じる」と言う事で限界まで台詞は内容が把握される範囲内に短くされ、プレスコ方式(声優の演技に作画の方を合わせる)が採用されています。
    両親等家族が出てくるのも特徴的です。恋愛ものだと往々にしてせいぜい障害物として出てき終わる事も珍しくないので、親の暖かさや協力が描かれるのは珍しいのではないでしょうか。
    内容も淡々としており、派手に事件とかが起きたりもしませんし、アニメ特有の突拍子もない行動を取る人物も基本出て来ません(補導された写真部員ならいたけど)。

    又、大衆受けを意識したのか、深夜アニメでありがちなハーレム展開やお色気シーンはほぼ出てきません。男主人公には男の友達がいて、ヒロインには女友達や部活等の知人がいてその中での立ち位置に振り回されたり助けられたりするようになっています。
    言い方としては品がないし最低だけど、よくある女の子の胸の大きさを比較してディスるシーンは男に置き換えればちんkの大きさを比較して小さいと卑下するようなものなので大衆受けを狙うなら避けて然るべきですが。1クールに数十本アニメが製作される中、こんなシーンが仮にあったら円盤購入以前に切られてもおかしくはないでしょう。
    例えば萌えアニメ筆頭に挙がるであろう「ご注文はうさぎですか」、2期ではお色気シーンが大幅に減少しましたが、2期でありつつ円盤売上は1期をも上回る勢いになっており、劇場版まで製作されました。女子受けの目安になるであろうDVDも上がり調子な所を見ると、PTAがとか女性保護団体()がとか以前に唐突に不要なお色気シーンを出して作品を安っぽくしてしまうのは想像以上にリスクを伴うのではと思います。

    月がきれいではスタッフが会議を重ね設定が非常に細かく設定されており、主人公らの人物設定からそれぞれの家族の年収を想定し、そこから親の職種や妻が何をしているか等まで決められ、人物の性格から部屋の備品まで緻密に決められています。
    調べてないので分りませんが、ジャスビコもそれなりに設定が検討されていると思われます(少なくとも主要人物の家族構成は描写されている)。EDで見られる怒涛の協力ラッシュからして、お店に移動手段やカメラにコンビニで買う飲み物等、相当に力が入っています。それだけ大衆向けを配慮出来たと言う事でしょう。


    この他今時のリアリティを出す為に、両作品ともスマホとLINEをフル活用してます。
    月がきれいはEDのやり取りが伏線になっている等、極めて重要な意味を持つ存在になっています。そもそもLINEがなければ出会いすら無かったかもしれないくらいです。
    ジャスビコでもLINE描写が多々登場しますが、月がきれいが重要性に合わせてLINE描写を非常に凝ったものになっている(実在するマニアックなスタンプに、手打ち時は画面が揺れるけどスタンプ押す時は揺れない、文字やスタンプが出るタイミングや効果音)と比較すると、あっさりとした表現になっています。気になったのは移動中とかにLINEを使っていて背景に文字が表示されるシーン。歩きスマホは危険なのもありますが、視聴者側の意識が文字を読む事と画面上で起こっている事に分散されて非常に見難くなります。終盤は月がきれいを参考にしたのか見易くなるように改善されたようにも見受けられます。



    ○両作品の類似点2:現実に存在する風景
    2点目の特徴と言えば、聖地巡礼を意識してか舞台を実在する場所に設定し丁寧に再現している所です。
    ジャスビコでは神奈川県湘南を、月がきれいは埼玉県川越市を物語の中心として展開し、実在する場所や公共物に催しが登場します。一見同じですが、ジャスビコはお店等の箱物を中心に再現し、月がきれいは背景を丁寧に再現しつつ縁結び風鈴や川越祭等イベントを中心に再現しているように思えます。
    特に川越祭は小太郎の人物像に大きく関わる項目であり、物語の深みを増しています。ここの作画は圧巻です。





    ○両作品の相違点1:「高校の3か月」と「中学の1年」
    ジャンルは類似していますが、相異なる点もあります。
    分かりやすいのが年齢設定で、ジャスビコは高校3年のラスト3か月を、月がきれいは中学3年の1年間(厳密にはそのずっと先もだけど)が描かれています。
    月がきれいは中学3年生と言う設定をリアルに表現されています。立花大輔が言う通り、中学生はお金ないから遊びに行けないし何も出来ない様が描写されています。中学生ってあくまで「子ども」なので制約も多いです。金銭感覚が顕著で、飲食店で食べる為の千円貰って金持ち、角山出版に向かう500円が高い等々リアリティを出しています(角山出版の喜多村は口が悪いだけで正論なんだよ、モチーフとは違うんです)。
    一方のジャスビコは高校生と言う事で、話し合う時は喫茶店に行ったり、打ち上げにカラオケに行ったりもします。高校3年と言う事で、予備校に通い勉強詰めの進学組と就職組の違い等々、より将来の事を現実的に考えている描写がされています。

    受験に関しても、夏目が泉の事を意識して上叡(上智大学の略称がSophia<叡智>だから上叡)に志望校を替え、泉は上叡に推薦が決まっているにも関わらず、夏目を意識して何となくでランク下の翠山学院の受験します。高校受験なら複数高校受験するのは難しいし現実的に考えて保護者の了承が求められるので、受験料をお年玉でカバーして受験まで出来るのは高校生だからこそ、と言えるし高校生だと「将来の事は自分で決めれば良い」という空気になるの多少は分かります(告白すらしてない女の子の為にランク落とすのはどうかとはなりますが)。この辺りは高校生だからこそ出来る選択で、中学生だと小太郎くらいの決断力が無ければ簡単には出来ません。
    何で上叡を推薦で受かった泉が翠山に落ちるのか、と言う意見もありますが、推薦決まって後は3学期を神奈川で過ごすだけと思ってた人が唐突に別の大学を受験だと落ちるのもあるかなと思います(指定校推薦だと内心点と面接だけで判定とかだった気がするので秋までは受験勉強をしていたとは言ってたけど本当は受験勉強を全然してない可能性もあるし)。


    ○両作品の相違点2:恋愛もの
    両作品とも恋愛ものです。が、その過程は全然違うものになります。
    月がきれいは小太郎が一見冴えないように見えて、図書室の本棚で引いた「少くとも恋愛は、チャンスでないと思う。私はそれを、意志だと思う」に引っ張られてか、ひたすら一途に茜を引っ張っていきます。その男らしさは今時の作品では滅多にお目に掛かれず爽快感すらあり、多くの視聴者から尊敬の眼差しで見られて「ハーレムラノベ難聴主人公に手垢を煎じて飲ませたい」と思わずにはいらないくらいでした。付き合うまでではなく、付き合い出す所から恋愛までを描かれ、その恋愛もほぼ小太郎と茜の純愛に絞られ、茜のクラス仲間の恋愛はショートアニメパートを主軸に展開し、比良と千夏の恋仇は深い絆で繋がれた2人の間に割って入る事は能わずでした。

    一方のジャスビコは、Just Because(何となく)のタイトルが指し示すが如く、泉は夏目を想いつつも3年間地元を離れていた事もあり、中々距離を詰められずにいました。森川さんは相馬の事を嫌いではないものの相馬に想いを抱く夏目に遠慮していて、夏目も相馬を想いつつ受験だと何だと言い訳し、相馬も中々取っ掛かりを得られず誰も何も進展しない3年が経過していたという、もやっとした展開になっています。物語の展開もローテンポで、淡々と進行します。
    この辺りがこのタイトルを付けたスタッフのイメージした作風なのでは、と思います。
    相馬なんかは比較的熱意を込めて告白していますが(付き合う事は出来なかったけど)、主人公まで熱意を出して恋愛していると、地味目なリアル路線のイメージからずれると判断したのではないでしょうか。


    ○Just Because!のラストシーンの主観による解釈
    最終話ラストでは、大学入学後に泉と夏目が再開し、告白するシーンが描かれています。
    このシーン、前述のように今まで現実路線で描いてきたにも関わらず桜並木をかなり幻想的に演出しています。これはJust Because(何となく)の終わりだからと解釈しています。これまでは告白は後回しにしたり「なんとなく」で行動していた所が、最後にようやっと面と向かって互いに想いを伝え合い、「なんとなく」から自発的な行動に出ます(卒業式で泉が来なかったのは、LINEでなくて自分の言葉で伝えに行くべきだったと言う事か)。それを印象付けるのがこの演出なのではないでしょうか。



    この先はどうなるんですか? って思うけど、この先は「Just Because!」を外れた世界だから、その意味では別の何かなるような気もします。
    恋愛ものって告白したら終了って作品が多いけど、本当はそこからどうするかが重要な気もします。私にとっては月がきれいと多作品に、ここで1本境界線が出来るのかなと思います。スクイズも異能設定なしで恋愛が進んで主人公が肉食系だけど、色々と常識を超越しているのでパス。
    登場人物は受験の事ばっかりですが、本当は入学してから何をするかの方が重要なのです。言ったら身も蓋もないけど、大学が別になっても付き合おうと思ったら普通に付き合えるし。


    ○最後に一言
    内容的に冬アニメで良かったのでは、って思います(少女終末旅行もだけど)。
    コミケに合わせたいとかあったのでしょうか。

    ○参考サイト
    Just Because!公式サイト:
    http://justbecause.jp/
    月がきれい公式サイト
    https://tsukigakirei.jp/

    ※作品の著作権はc2017 「月がきれい」製作委員会、及びc FOA/Just Because! 製作委員会にすべて帰属しますのでご注意ください。


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