• トナー転写でプリント基板をつくる!

    2015-11-14 23:003


     ・なんで自分で基板を作るの?

     基板CADの普及とともに、趣味の基板作製もP板.COM等の業者に依頼する方が増えているようだ。
     しかし、いくつかの業者にネットで見積もり依頼を取るとわかるが、10センチ✕15センチの基板を数枚作製するだけで、なんだかんだ7~8000円から、2万円程度掛かってしまうようだ。
     中国系の安い業者も有る様だが、納期が2~3週間平気でかかる・・、など試作品やホビーでの用途には、やや煩わしい点が多い。

     そこで、レーザープリンタで版下を作り、アイロンやラミネータで熱転写、そして自家エッチングで作製となるが・・・、この熱転写も意外とクセモノで、版下に使う用紙や熱転写の温度で、トライ&エラーを繰り返し、面倒くさくなって挫折、と言う事になってしまう人も多い様だ。

     しかし、トナー転写による基板作製は、掛かる金額が感光基板や業者外注に比べ、格段に安く済み(自分が作業するから当然だ・・)、納期も材料さえ揃ってしまえば、数時間で出来てしまう(自分でやるからね・・・)、エッチング前迄なら何度でもやり直せる等、ホビーストにとって捨てがたいメリットが有る。

     そこで、トナー転写の、一番失敗が少ない(と言うより一番、感コツの要らない)方法を紹介したい。
     

     ・成否の鍵

     筆者はトナー転写の成否の鍵を握るのは版下に使う紙の種類と転写する時の押し方、だと思っている。

     「トナー転写 基板」等でググると紙に関しては、フジフイルムの「マット仕上げファイングレード」通称”ぶどう紙”を使っている方々が多いようだ。
     コピー用紙から試して腐心した私も、”ぶどう紙”にしてから、コピー用紙と比べるとトナーとの分離が良く重宝したが・・

     ・3,4回に1回は、ブドウ紙を剥がすと細い線のトナーが持っていかれる事がある。
     ・太い配線やベタアース等の広い面積の銅箔にポツポツとアバタが起こる。

     等の失敗も多かった。
     そこで、幾つかの失敗の結果辿り着いた結論は・・

     「紙はダイソーの薄手光沢写真紙、転写はアイロンで力いっぱいグリグリ
     
     コレだ。
     手に入れ易い、何種類かの紙を試した結果、コレが一番失敗が少なく済んでいる。
     
     当方は、キャノンの一番安いプリンタ「LBP-3210」使っているが、トナーが変わって(たぶん純正品→アマゾンで2千円の再生トナー^_^;)も上手く行っているので、トナーにもさほど影響されずに済むと思う。

     ・では、やってみる

     前置きが長くなったが、写真付きで説明する。
     まず用意するものは、
     ・生基盤(事前に銅箔面のペーパーがけとアルコールでの脱脂は済ませておく)
     ・版下(パターンを印刷した紙)
     ・キッチンタイマー
     ・アイロン
     ・台(下の写真だと生基盤の下にある木端)
     ・水の入ったバケツ
     と、まぁこの辺は他の人と同じです。

     先に書いた様に版下に使う紙はこれだ!!

     ダイソーです。
     まぁ、紙厚が0.15ミリ程度の写真用光沢紙なら他の銘柄でもイケると思います(未確認^_^;)。
     では、作業に入ります。

     まず、アイロンの電源を入れて温めておきます。
     温度は「毛」です。
     170度程度になる筈です。


     KiCad等で作った、パターンを必要に応じてミラー(上下左右反転)印刷しておく。
     その際、基板外形レイヤーを使って写真のように、生基盤の四隅に合わせた外形線も印刷しておくと位置合わせがし易いだろう。
     余白は切っておいてください。

     生基盤の四隅を下の写真のように位置合わせをした後、ズレないように版下と一緒に、そぉーっと裏返す。

     版下がズレないように、指で抑えながら温めておいたアイロンを載せて体重を乗っけて、シッカリ押し付けます。
     この状態で1分ほど「ジッと」してます。
     この段階では、アイロンを動かさないでください、上から押さえるだけです。
     1分もすると、基板と版下が接着剤で貼り付けた様になっている筈です。
     そして、これからが本番だ。
     アイロンを基板全体に版画の様にグリグリ押しつけます。


     この写真だと、エラいスピードでグリグリしてるみたいですけど、体重を乗せてじっくりグリグリしてください。
     基板の隅は、アイロンの加熱部の角を擦り付ける様にグリグリしてください。
     しかし、グリグリする時間は1~2分程です。
     あまり長くやっても、意味が有りません。
     加熱している時間は、合計で3分ほど、手早くやってください。


     加熱を終えたら即座にバケツに投入して冷やします。
     すぐに手で触れられる温度になるので、フヤケた版下を剥がしてみます。 
     でも、無理やり剥がさないでください。
     版下がフヤケてないと、折角くっついたトナーも剥がれてしまうかもしれません。


     トナーの上に紙の繊維が残っていますが、指でこすると簡単に取れます。

     キレイに剥がれました。
     下の写真では分かり難いのですが、トナーの表面に写真用紙のコート層の樹脂らしきものが、薄く残って白っぽくなっています。
     コレのおかげで紙の繊維がトナーに残らずエッチングしたあと、ベタ面にポツポツアバタが発生しません。


     しかし、よく見ると配線のトナーを写真用紙の樹脂が跨いでいたり、部品穴を塞いでいたりしてます。

     コレは、爪楊枝で擦ると簡単に取れます。
     同時に修正が必要な所はレジストペンなどでレタッチしておきます。
     これらの作業をしてから、エッチングをします。

     エッチングしました。


     トナーをラッカーシンナーで拭き取ります。
     ちなみにラッカーシンナーは、GSIクレオスの丸いボトルではなく、タミヤの四角いボトルを使ったほうが、素早くトナーを溶かせます。

     拡大すると・・・
     かなり入念に時間を掛けてエッチングしても、太い配線や、ベタアース部分が、ホレボレするくらい、綺麗に残っています。
     このホレボレは、トナー転写に散々手こずった人なら、お解かり頂けると思います。


     トナー転写は、版下に使う紙が変わるだけで、かなり難易度が下がるので、挫折しそうな方は試してみてください。

     ・おまけ

     ここまで見た人の中には、「配線、ふとっ!」と思った人もいるかもしれない。
     自分の用事は音響アンプしか無いので、上記の通りなのだが、トナー転写の需要は表面実装や、マイコンの方が多いと思うので、基板の切れ端を使って、同じ方法で試してみた。
     それが下の写真だ。
     当方はマイコン等の配線は扱えないので、SSOP48ピンのフットプリントを適当にピンの上の列と下の列をつないでみた。
     配線幅は、0.254ミリだ。

     どうして良いか、よくわからなかったので下のような配線もやってみた。
     配線幅は、やはり0.254ミリ、配線間クリアランスも0.25ミリ位になった。
     アイロンでグリグリした時にトナーが滲んだのか、配線のフチがやや歪んで、危なっかしい所も有るが、断線などはしていないので、使え無い事は、無さそうだ。
     どうぞ、参考にしてください。









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  • このヘッドフォンアンプをヤフーショップで販売します。

    2015-08-13 01:07

     唐突ですがこのブログに掲載した、バランス型ヘッドフォンアンプが、身内で評判が良いので、完成品をヤフーショップで販売しようと思います。
     興味の有る方はぜひ。

     ※現在在庫が有るので即納できます。

     




     上の写真は、のっぺらぼうですが左右の別等の刻印が入ります。
     ココで確認してください。
     ・回路


     回路はこのブログで何回も作成しているバイポーラトランジスタによるエミフォロ入力回路付きの差動増幅回路+高hfeパワトラのエミッタフォロワのシンプルな回路です。
     この回路は入力のエミッタフォロワで入力インピーダンスを高くし、かつ次段の電圧増幅回路には低いインピーダンスで信号を送り込むことで、高周波特性が良く、ボリューム位置の影響を受けにくくなり、スルーレートが改善します。
     また、通常のオペアンプ回路や、いわゆるPG帰還方式に比べると帰還回路のインピーダンスが低いのでローノイズで発振等も起こりづらいです。

     ・外観
     外観は黒アルマイト加工のシンプルな外観です。
     前後パネルとボリュームつまみはヘアライン仕上です。
     ボリュームツマミと電源スイッチは、タイミング次第で少しデザインが変わるかもしれません。
     入出力ジャックは全て、XLR3ピンの2番ホットです。
     入力は、コンボジャックなので市販のTS-RCA変換プラグを使えばアンバランスも入力出来ます。
     下の段のオスはスルー出力です。
     変換、増幅一切してません。

     試作品の為、上記写真では、のっぺらぼうですが、各ジャックには左右の区別が彫刻で表記されます。
     ※文字入れ後の写真がヤフーショップ内に有ります。



     ・特性
     周波数特性

    66Ω抵抗負荷4Vpp
    3db落ち4.5MHz
    6db落ち6.6MHz


     立ち上がり、下がり速度は112ns、120ns
     ワタクシ的には0.1%以下の歪率よりも、コレが聴感に与える影響が大きいと思っております。

     歪率
     66Ω抵抗負荷4Vpp
     LPF40KHz
     検出限界約0.005%

























      16KHz・・・0.014%
    1KHz・・・0.038%
    63Hz・・・0.071%
     最大出力付近なのでこんなものだと思います。
     実用上問題のない数値です。

      33Ω負荷2Vpp

      16KHz・・・0.026%
      1KHz・・・0.024%
      63Hz・・・0.044%
     1KHzと63Hzでは66Ω負荷で高い電圧よりも、33Ω負荷で低い電圧の方が歪みが減っています。
     600Ωとか300Ωの様な高インピーダンスよりも低インピーダンスで高感度なヘッドフォンのほうが向いているかもしれません。

    残留雑音は1μV程度の非常に静かなアンプです。

     クロストーク

      16KHz・・・100db
    1KHz・・・104db
    63Hz・・・108db
     良好なクロストークです。


      追記:2015/11/19パソコンにオープンオフィスをインストールしたのでグラフを作ってみた。
     32Ω抵抗負荷、縦軸が歪率(%)、横軸が出力(W)。
     他のグラフとは違う個体を計測している。


     聴感
     音質は当ブログの他のページにも書いてあるので、改めて書くことは無いのですが、とにかくローノイズで粒立ちが良いので、音楽を聴いていて楽しいアンプです。
     DTMやモニター用に良いと思います。

     興味の有る方はこちらで
     このアンプに関する質問は メールで tamagawadenpa@gmail.com まで。





  • 作った差動ヘッドフォンアンプを測ってみた、5台め。

    2015-07-24 23:18

     ケースが一個余っているので、もう1台作ってみた。
     で、いきなり回路図。
     基本的には前回と同じ回路だが、入力回路を見直しQ3,Q4のバイアス電位を上げるためにR3,R4を680kから560kに、R7,R10の1kΩを510Ωに変更してみた。
     過大に容量の大きかった出力のコンデンサを10個から8個に減らした
     電源は前回同様スイッチング電源の15Vだ。

     バイアス電圧の調整が目的で、聴感に影響しそうな変更では、なかったのだが、後述する様に、以外に大きな変化が有った。



     で、周波数特性。

     いつも通り、信号源は50Ω、音調ボリュームは最大音量側に回しきった状態で計測。
     6db落ちの周波数が前回の7Mhzから6Mhzに下がっている。


     電圧の立ち上がり速度も前回100nsから124nsと遅くなっている。

     恐らくコレは、帰還量が減ったことに依るものと思われる。
     まぁ、どっちにしても音響アンプとしては、過剰に良い数字なので気にしないことにする。

     歪率は、・・・

     
      66Ω抵抗負荷4VPP出力時
      63Hz 0.056%
      1kHz 0.03
      16kHz 0.008

     歪率も前回と・・・
      63Hz 0.059%
      1kHz 0.032%
      16kHz 0.032%
     16kHzの歪みが減っているが他は、
    比較してそれほど変化はなかったので他の条件は割愛する。 

    つまらないので、ノイズフロアを見てみた。

     これは、測定に使っているオーディオI/Fの都合で、4VPP(1.41Vrms)から46db落とした所を0dbに合わせている。
     これ以上入力感度を上げられない。
     この状態で80db以上余裕がある。
     と、言うことは・・・

     46db+80db=126db
     4Vpp(1.41Vrms)÷126db=2μVpp(0.7μVrms)

     残留雑音は0.7μVrmsと言う事になるので、ヘッドフォンアンプとしては十分よい数字といえるだろう。
     この程度の雑音なら、32Ωか64Ωのヘッドフォンで有れば、ノイズは聞こえないのではないかと思う。
     入力にエミッタフォロワーが入っているのでもっと大きな数字になるかと思ったが、意外なほど良かった。

     聴いてみる。

     測定結果が前回と大きな変化が無かったのでそれほど期待していなかったのだが、聴いてみて驚いたのが、低音楽器の迫力が明らかに増しているのだ。
     非常に締りが良く、スネアドラムが耳障りなくらいキレが良い。
     高音楽器の粒立ちも非常に良いのでとにかく楽しい音調だ。
     恐らく、R7,R10を1kから、510Ωに変わったことによりQ3,Q4から見たインピーダンスの変化が主因と思われる。
      ならば、ココの抵抗値をもっと低くしたいところだが、この抵抗は帰還回路の一部として仕上がりゲインを決定する役目を担っているので、(ヘッドフォンアンプはあまりゲインをお大きくしたくないので・・)R14,15の値も減らさねばならなくなるが、コレは最大出力電圧を制約してしまうので、R7,10は500Ωから300Ω位が限度と思う。
     それと、あまり低くするとQ3,4が発振する恐れもある。





     ケースやら部品の在庫が片付いたのでこれで一区切りとしよう。
     もし、当ブログのヘッドフォンアンプを作ってみよう、という物好きなお方は、本回路が良いと思うよ。