「全日本2歳優駿」戦評-絶対能力で小回りコースを克服した中央勢。地方勢のタイトル奪取は遠くなったのか
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「全日本2歳優駿」戦評-絶対能力で小回りコースを克服した中央勢。地方勢のタイトル奪取は遠くなったのか

2018-12-21 15:00
    現在のダート競馬において、地方所属馬に最もチャンスのある統一GⅠは、全日本2歳優駿と考える人が多いだろう。早い段階で厳しい競馬を経験できることや、連勝街道を歩みやすいことで、強い馬が揃い切らない中央勢を打ち破るチャンスが多いことがその理由。そして今年の2歳戦線は、いつになく注目された2歳馬が数多く登場・参戦していたので、5年ぶりに地方勢が奪取できるという機運は高かったと思う。
    しかしレースでは、ハナを奪ったイグナシオドーロノーヴァレンダが絡んでいく流れ。これにイグナシオドーロは3コーナー過ぎに音を上げてしまい、ズルズル後退。これで先頭に立ったノーヴァレンダは、そのまま他の中央勢の追撃を退けて統一GⅠホースに。そして4着までを中央勢が独占し、地方勢は昨年を上回る完敗を喫してしまった


    <2番手からの競馬で不安を払拭したノーヴァレンダ>

    結果論だが3着までに入った中央勢は、全て1800m戦で勝ち星があった。それだけスピードよりスタミナが要求されるレースになった訳だが、勝ったノーヴァレンダは2番手からの競馬。これまでの2連勝も、2番手で逃げ馬にプレッシャーを与えて直線抜け出す競馬だったので、条件が変わっても同じ競馬ができたことは高く評価すべきだろう。

    そしてこの位置取りは、もう1つの不安を払拭することにも役立った。というのもデビュー戦で1コーナーを曲がれずに競走中止したほど、コーナーリングに課題を抱えていた馬。しかし2番手につけられたことで、多少膨れてもロスの小さい状況を作ることができたことは、勝因の1つに挙げなければいけない。もし馬群にもまれる形で1コーナーに入ったなら、その不安は表に出たかもしれないが・・・。

    実際4コーナーでは、その巧拙でガルヴィハーラに前に出られたほど。それでも直線で差し返し、ゴール前で強襲したデルマルーヴルも凌いだのだから、強いと認めなければいけない。オーソドックスな戦い方ができるので、年が明けても主力グループで戦えるとみているし、簡単に崩れることはないだろう。ただし昨年のルヴァンスレーヴほど、現時点でスケールの大きさは感じない。比較する相手が悪いのは確かだけれど。

    <負けた中央勢は、馬場が変われば逆転可能か>

    2着に追い込んだデルマルーヴルは、道中は中団を進み、勝負所では抑えきれない手応えで上昇。4コーナーで大外に持ち出した時にはそのまま突き抜けるかに思えたが、最後の直線で内へ内へとモタれてしまう。それでも立て直しながらノーヴァレンダに襲い掛かったが、アタマ差(統一GⅠ昇格後では最小着差)届かず。まっすぐ走れていればと思うと、実に勿体ない競馬だった。
    前走兵庫ジュニアGPを制した時は、ここまで口向きの悪さを感じなかったので、考えられるとすればミルコ・デムーロ騎手に乗り替った影響か。それでも小回りコースに対する適性のなさはノーヴァレンダ以上といえ、広いコースに変わればこの差は逆転可能。スケール感も現2歳世代のナンバー1といえ、世代の牽引役を担う可能性も十分あると思っている。


    3着のガルヴィハーラは、3番手の外で折り合うと4コーナーで一旦先頭に。ところが最後の直線で一度交わしたノーヴァレンダに差し返され、そのまま終わってしまった。最もスムーズな競馬をしたのはこの馬といえ、それでこの結果は見た目以上に力の差を感じるもの。しかし小回りコースを必要以上に意識して、普段より前で戦った影響も否定できない。広い馬場でもう1度見てみたい思いは残っている。

    唯一牝馬として参戦したメイクハッピーは、3番手のインで流れに乗っただけで、結局4着。序盤にゴチャつく中で接触するシーンもあったようだが、位置取りにはほとんど影響はなく、上位陣とは力の差だろう。それでも地方勢に先着を許さなかったことは一定の評価ができ、アークヴィグラスなど牝馬戦線の主役級との対戦を、楽しみに待てる走りは出来たと考えている。

    <不完全燃焼に終わった地方の有力馬。これを糧に成長できるのか>

    地方馬最先着は5着のウィンターフェル。スタートで出遅れ、そこから巻き返して中団の位置を取ったが、終始外々を回るロスの多い競馬になり、最後に勝負できる脚を残せなかった。それだけに今回の結果は力負けといえないが、それでも崩れなかったのはホッカイドウ競馬でオール連対をキープしていた底力があればこそ。この後は船橋に移籍して、南関東の3冠路線を目指すとの事である。

    地方勢の期待を背負ったミューチャリーは、スタート直後にダッシュがつかず、最初の1コーナーでは後方から3番手。さすがに位置取りが後ろ過ぎ、馬群を割って6着まで来るのが精一杯だった。気になったのは前走鎌倉記念のレース後、大幅に馬体を減らしたことを関係者が気にしていたこと。当日は3キロ馬体を戻したが、まだ不十分だったかも。これが戦いぶりに影響していたとすれば、時間をかけて立て直す必要があるかも知れない

    期待したイグナシオドーロは、ノーヴァレンダに厳しくマークされて3コーナー過ぎで一杯に。結果シンガリ負けに終わったが、ここまで厳しいマークを受けなければ、前半3ハロン36.7秒のペースでも、踏ん張る力はあったはず。地方馬と中央勢の目に見えない部分の差が、精神的に耐えられなかった要因ではないだろうか。

    最後に総論的になるが、地方競馬の2歳戦は多頭数の競馬が少なく、またバラける展開にもなりやすい。そのため能力があれば勝ち続けることは容易いが、一方でシビアなレースを経験することは多くない。それが経験値の差となって、統一グレードで結果を残せない要因になっていないだろうか。統一グレードのみならず、地方馬同士でも2歳時から厳しいレースを経験できる土壌を、もっと造る必要があるのではないだろうか

    (詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)


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