「かしわ記念」戦評-連覇で統一GⅠ5勝目のゴールドドリーム。勝ち運を呼び込んだインティのミスと誤算
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「かしわ記念」戦評-連覇で統一GⅠ5勝目のゴールドドリーム。勝ち運を呼び込んだインティのミスと誤算

2019-05-08 23:30
    統一GⅠ優勝馬が5頭顔を揃えながら、インティとゴールドドリームの馬複オッズは1.2倍。馬券上は完全に2強ムードで、フェブラリーSの1-2着馬が舞台を変えてどうなるかに注目が集まっていた。ところが逃げることも想定されたインティがスタートで出遅れ、3番手から追いかけるレースを強いられることに。それでも3コーナー付近でスパートして一気に先頭に立つと、直線半ばでは3馬身ほどのリードを築き、2着以下の争いに目を向けた人も多かっただろう。しかし最後になってバッタリ止まり、そこに襲い掛かったのがゴールドドリーム。残り50m付近で並ぶ間もなくインティを捉えると、そのまま1馬身半の差をつけて、連覇のゴールを駆け抜けたのである。

    <連勝ストップのインティ。ミスによって際立った誤算>

    レースはハナを切らないと力を出せないドリームキラリが押してハナに立ち、短距離戦で実績を残してきたコウエイエンブレムが2番手。この2頭が1コーナーまで速いラップを刻んだため、インティは仮にスタートを五分に出ていても、この位置取りだった可能性はある。しかしスタートで出遅れたために、多少無理して3番手を取りに行く形になったことは、後々襲い掛かる誤算を呼び込むミスとなってしまった。

    その誤算の1つ目は、向正面でオールブラッシュが捲り勝負に打って出たことだ。捲らせてしまうとそこで潰されてしまう位置にいたため、抵抗するためにゴーサインを出し、先頭に立つしかなかった。スタートで無理していた上に、動きたくないタイミングで動かざるを得なかったため、最後粘れなかったことにつながったのは間違いないだろう。

    だがそれ以上の誤算といえるのが、時計のかかる馬場に対して苦戦したことだろう。今回の勝ちタイム1分40秒2は、統一GⅠとなった2005年以降では最も遅く、ラスト1ハロンの13.6秒も同様。それだけ今の船橋コースは時計がかかっており、他馬も同様に苦しんでいたといっても、スピードを武器にしていたこの馬がより影響を受けていたのは確か。その意味では、ミスをしても勝てる舞台でなかったことが、1番の誤算だったと思っている。

    それでも2着に残れたというかもしれないが、ミスを突けたのがゴールドドリームしかいなかったと考えるのが正しいだろう。この経験を受けて対応できるようになる可能性は十分あるが、決して欠点がない馬ではなく、条件が揃わないと簡単に勝てないことが見えてきた印象。ミスが無かったらこの弱点が露呈しなかったかもしれないが、負けるべくして負けた1戦と、最終的には評価したい。

    <ミスを突く達人の面目躍如だったゴールドドリーム>

    勝ったゴールドドリームは、これまで何度もレース展開のアヤや、有力馬のミスを突かないと勝てない馬と指摘してきた。逆にいえば2着続きだった昨秋以降は、ライバルがミスしてくれなかったがために、勝てずにいたということ。勝っても負けても接戦になる珍しいタイプだが、逆にいえば当面のライバルがミスしてくれた時は絶好のチャンスにもなる。つまり今回は相手のミスをキッチリと活かす形で、連覇のゴールを切ったといって過言ではないだろう。

    レースはインティが3番手からの競馬になったこともあり、これをマークする位置で戦えたのが、ミスを突けた最初のポイント。そしてオールブラッシュが捲って行った時、インティの位置は抵抗しないと沈んでしまうポジションだったが、ゴールドドリームは前に出させてから動けばいい位置取りその状況の差は、勝利を近づける意味で大きかったと思う。

    ただし追い出されてから、昨秋以降の傾向でもあるが、一瞬もたつくシーンがあった。その分だけインティとの差が一旦開いたが、残り200mを切った辺りでエンジンがかかると、止まったインティを一気に捉えることに成功。何時も接戦になる馬が珍しく1馬身半の差をつけたように、終わってみれば完勝で、経験値の差が如実に出たと考えている。

    ただし今回は、黄金世代と評される4歳世代が不在。ライバルの力関係が測りやすく、戦い方もわかっていた。その分だけ勝利の価値が下がっているといえ、黄金世代に勝てる内容だったといえる1戦ではなかった。そして次走に予定する帝王賞は、ルヴァンスレーヴの復帰戦で、他にも黄金世代の参戦が想定される。この組み合わせで結果を残せるか、最大の正念場を迎えることとなった。

    <今日の敗戦を糧にしてほしいキタサンミカヅキ>

    3着には後方から追い込んだアポロケンタッキーが入った。オールブラッシュが捲る展開が追い風になったことと、長い距離を中心に戦っていたことが、時計がかかる馬場になって良かったことがその要因。しかし4戦オール連対の船橋コースに対する適性があってこそともいえ、この走りを船橋以外で見せられないと、復調したとはいえない。マイル戦の流れについていけなかったことも含め、評価できる内容は乏しかった。

    向正面で捲っていったオールブラッシュは、結局4着。昨年は単騎逃げに持ち込んで2着に粘るレースが出来たが、今年は序盤ダッシュがつかず、捲るしか手段がなかった。その捲りを受け止められて止まってしまったが、それでも4着に踏みとどまったのは及第点。以前は単騎逃げしかできない馬と評していたが、今後は今日のような戦い方を基本としていきそうだ

    期待した地元のキタサンミカヅキは、好スタートから中団まで下がって機を窺ったが、いつものような末脚は見られず。結局バテた馬を交わしただけの5着に終わった。今回出走した中央勢とは、モーニン以外は初対戦で、距離だけでなくメンバーも未知なる存在。もう少し思い切った競馬をしてほしかったが、それよりもチャンピオンディスタンスで結果を出している馬との、絶対能力の差を感じた結果だった。
    また今回は初となる地元コースの戦いだったが、インティほどではないにしても、時計のかかる馬場に苦労した印象。このレースで3頭出走していた2000m級の統一GⅠ優勝馬が、全てキタサンミカヅキに先着したように、マイルよりも長い距離でも持ちこたえられるスタミナが要求されたのは厳しかった。それでもこの経験が、今年の大目標であるJBCスプリントに向けて、糧になることを願っている。


    (詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)

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    4月より地方主催のダート統一グレード競走も、戦況記事の掲載は統一GⅠのみとしております。そのため、次回のダート統一グレード競走の戦評記事は、6月26日に行われる帝王賞となります。


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