コラム 2019NARグランプリ年度代表馬-もし私が選ぶなら
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コラム 2019NARグランプリ年度代表馬-もし私が選ぶなら

2020-01-11 18:00
    東京大賞典の戦評記事を掲載(本記事の2つ前になります)したところで、今年も地方競馬の年間表彰「NARグランプリ」について触れておくことにする。これは中央競馬の年間表彰「JRA賞」のような記者投票ではなく、全国の地方競馬関係者および有識者による選考委員会により、年度代表馬を含む代表馬が選定されることになっている。毎回説明しているが、これは記者投票で選考される際に、私が1票を持っているならこういう投票をするという目的で行っているもの。これに何の権限もないし、そもそも選考に関わっていればこういう話を書くことはできないので、その点をご理解いただければ幸いである。

    2019年の地方競馬は、古馬戦線における南関東勢の層の厚さが目立ったシーズンだった。特に短距離路線ではJBCスプリントを制したブルドッグボスをはじめ、短距離の統一グレードを3頭が制し、レベルの高さを見せつける格好になった。また牝馬路線ではクレイジーアクセルがクイーン賞で、地方生え抜きとして約4年ぶりに古馬統一グレードを制覇。長く劣勢が続いた中長距離路線でも、南関東ナンバー1に上り詰めたモジアナフレイバーが、統一GⅠで3度掲示板に入った活躍も見逃すことはできないだろう。

    一方、3歳路線で存在感を放ったのは、ホッカイドウ競馬の生え抜きだった。春は地元の3冠馬となったリンゾウチャネル、秋はダービーGPと道営記念を制したリンノレジェンドと、全国区の実力馬2頭を輩出したことは注目に値する。ただしハイレベルといわれた南関東勢や、東海ダービーを無敗で制したエムエスクイーンが、秋になって存在感を失ったのは少々寂しかった。そして2歳戦線ではヴァケーションが、川崎生え抜きとして全日本2歳優駿を制覇。他にも数多くの素質馬が地方からデビューしており、2020年の活躍が今から待ち遠しいところである。

    さて年度代表馬だが、現実的には統一GⅠを制したブルドッグボスヴァケーションの2頭に絞られるだろう。ブルドッグボスは年間7戦3勝。統一グレードはJBCスプリント1勝のみだが、東京盃の2着もあるし、何よりオーバルスプリントを制したノブワイルドを差し切ったゴールドCが大きい。実質的な活躍期間は10月以降の3ヶ月だけだが、あの1戦があったことにより、JBCスプリントだけという印象を消す価値があった

    対するヴァケーションは、年間5戦4勝。全日本2歳優駿の前に平和賞も制しており、こちらも統一GⅠだけを勝ったわけではない。ただし過去に2歳で年度代表馬に選ばれたラブミーチャンとハッピースプリントは、いずれもダート無敗で全日本2歳優駿を制したことが評価されたもの。敗戦があることで、この称号を得るには評価を下げざるを得ないだろう。

    さらに付け加えれば、2歳馬が年度代表馬に選ばれた年は、年長世代に確たる活躍馬がいなかった年でもある。近年と比べて古馬統一GⅠで好走した馬が多かった2019年を考えると、それらを差し置いて2歳馬を選出するのは本筋ではないと考える。そこで私は、2019年のNARグランプリ年度代表馬にブルドッグボスを選ぶことにした。

    <博田伸樹が選ぶ、2019NARグランプリ最優秀馬>
    (カッコ内は地方所属としての最終出走時の所属)


    【2歳最優秀牡馬】ヴァケーション(川崎)(次点・ティーズダンク)(浦和)
    【2歳最優秀牝馬】レイチェルウーズ(船橋)(次点・コーラルツッキー)(北海道)

    【3歳最優秀牡馬】リンゾウチャネル(北海道)(次点・リンノレジェンド)(北海道)

    【3歳最優秀牝馬】スーパージンガ(佐賀)(次点・トーセンガーネット)(浦和)

    【古馬最優秀牡馬】ブルドッグボス(浦和)(次点・モジアナフレイバー)(大井)

    【古馬最優秀牝馬】クレイジーアクセル(大井)(次点・ラーゴブルー)(川崎)

    【最優秀短距離馬】ブルドッグボス(浦和)(次点・ノブワイルド)(浦和)

    【最優秀ターフ馬】ハッピーグリン(北海道)(次点・リコーワルサー)(大井)

    【ばんえい最優秀馬】メムロボブサップ(次点・キョウエイリュウ)


    【年度代表馬】ブルドッグボス(浦和)(次点・ヴァケーション)(川崎)

    ※微妙な部門の選考について

    ここでは判断に悩んだ部門を中心に、選出理由を説明したい。

    <2歳最優秀牝馬>
    エーデルワイス賞を制したコーラルツッキーは大敗も多く、重賞2勝でも評価は微妙。また“グランダム・ジャパン”の総合優勝を手にしたテーオーフルベリー(北海道)もデビュー当初は安定感に欠けるレースが多かった。これなら東京2歳優駿牝馬で両馬を破り、かつ無敗でこのタイトルを手にしたインパクトが強烈だった、レイチェルウーズがふさわしいと判断した。


    <3歳最優秀牡馬>
    南関東では羽田盃を制してジャパンダートダービー3着のミューチャリー(船橋)と、東京ダービー馬ヒカリオーソ(川崎)が候補だが、どちらも古馬相手に戦うことなく店じまい。これなら両頭は不在だったが、大井に遠征して黒潮盃を制したリンノレジェンドが、その後ダービーGPと道営記念を制しただけに、南関東勢より上に置くべきと考えた。

    ただしそうなると、これを制して道営3歳3冠を達成したリンゾウチャネルを見逃せなくなってしまう。秋に園田で楠賞を制したことで年間を通じて活躍できたことになっており、古馬重賞や統一グレードに出ていなくとも代表馬に選ぶ実績は積み重ねたと結論付け、リンゾウチャネルを選ぶことにした。


    <3歳最優秀牝馬>
    南関東3歳牝馬路線で2冠を制し、関東オークスでも3着のトーセンガーネットは、この時勝ち馬から2秒以上離されている。しかも直後に中央へ移籍したことで、評価を難しくした。また東海ダービーを無敗で制したエムエスクイーン(愛知県)は、それを評価しても、その後古馬相手に勝てなかったのが惜しかった。そこで浮上したのがスーパージンガで、九州ダービー栄城賞の後に7月に古馬相手の佐賀王冠賞を制したのが出色。この時期に古馬中長距離重賞に出ること自体に例が乏しく、そこで勝つのは偉業に近い。これを評価して、スーパージンガを選出するに至った。


    <古馬最優秀牡馬>
    ここでは次点について説明する。候補はキタサンミカヅキ(船橋)、ノブワイルド(浦和)の統一グレードホルダー2頭の他に、南関東のエースにのし上がったモジアナフレイバーと、帝王賞3着・東京大賞典2着があるノンコノユメ(大井)が加わる。まずは短距離か中長距離かの比較をすると、久しく中長距離路線で勝ち負けした地方所属馬がいなかった事実を踏まえ、後者を上位に取ることにした。

    ここでモジアナフレイバーノンコノユメの比較になるが、大井2000mの統一GⅠではノンコノユメが2度とも先着したが、年間を通してみると勝利はサンタアニタTだけ。一方でモジアナフレイバーは、南関東実力ナンバー1決定戦の大井記念を圧勝した上で、マッチレースに近かった勝島王冠で1キロ余計に背負ってノンコノユメを圧倒している。この2戦を評価して、モジアナフレイバーを次点に置くことになった。


    <古馬最優秀牝馬>
    統一グレードを制した2頭の争いだが、クイーン賞を制したクレイジーアクセルは“グランダム・ジャパン”古馬シーズンの総合優勝が、マリーンCを制したラーゴブルーはJBCレディスクラシック4着が、プラスアルファに相当する。ラーゴブルーのJBCレディスクラシックは地方馬最先着でもあり、統一グレード勝利に匹敵する評価ができるものの、目立った実績はその2戦だけ。これなら年間を通じて活躍し、南関東以外でも結果を残したクレイジーアクセルがふさわしいと判断した。


    <ばんえい最優秀馬>
    古馬勢は重賞3勝以上した馬が不在で、2勝したオレノココロコウシュハウンカイに、ばんえい記念を制したセンゴクエースは、どの馬も暦年のどこかで大敗が続いた時期があった。一方で世代限定戦から、3歳世代3冠を達成したメムロボブサップに、デビュー10戦無敗で2歳2冠を制したキョウエイリュウという、インパクトの強い活躍馬が出た。そこで古馬勢の比較ではなく、この2頭の偉業性を比較する選考を行うことにした。

    この比較では、キョウエイリュウの無敗2冠は、5年前にセンゴクエースが同様の成績をマークした記録がある。片やメムロボブサップの3歳3冠は、記録としては18年ぶりだが、当時はばんえいダービーが2冠目。現行の3冠体系になってからは初の3冠馬で、しかも3月のイレネー記念も制した実績も加味できる。そこでメムロボブサップが偉業性で上回ったと判断し、代表馬に選ぶことにした。



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