JBCクラシック概況-休み明けで向かう帝王賞上位組に、新興勢力は付け入るスキがあるのか
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JBCクラシック概況-休み明けで向かう帝王賞上位組に、新興勢力は付け入るスキがあるのか

2020-10-18 12:00

    近年のJBCクラシックは、ここを秋初戦として後の統一GⅠロードを歩む馬が多い。それでも例年は“Road to JBC”の日本TV盃及びマイルチャンピオンシップ南部杯から始動する既成勢力がいたが、今年の日本TV盃は統一GⅠ優勝馬が不在。マイルチャンピオンシップ南部杯も例年以上にマイラー色の強いメンバー構成だったため、前哨戦として参考となるか微妙な状況になった。そのためここでは出走が見込まれる馬を探ることにするが、その前にマイルチャンピオンシップ南部杯を振り返っておきたい

    <日本レコードの高速決着を制したのは、昨年2着だったアルクトス>

    レースは好スタートを切ったパンプキンズが先頭に立ったが、400mほど行ったところでインティモズアスコットが交わし、馬群を先導。これから少し離れたところにアルクトスモジアナフレイバーが、更にこれをマークする格好でワイドファラオゴールドドリームが追走したが、前半1000mは記録が残る2010年以降では最速となる57.3秒という、ハイペースが刻まれていた。

    このペースにもかかわらず、勝ったアルクトス3コーナーから前を捕まえに行った。するとインティがここで失速し、4コーナーでは粘るモズアスコットに並びかけると、ここから2頭の激しい競り合いが始まった。この競り合いは残り100m付近でモズアスコットが1馬身ほど突き放したが、アルクトスはそこから再び迫り、ゴール直前でクビ差逆転。昨年2着の雪辱を果たすとともに、1分32秒7という日本レコードでオーロパークの1マイルを駆け抜けたのである。

    昨年2着に終わった際、私はアルクトスに対してリベンジできるのではと指摘したものの、この1年は結果を残せずにいた。それでも8月にエルムSを使っていた順調度と、盛岡コースに対する相性の良さ。それにこの舞台に向けてきっちり仕上げられたことが噛み合い、統一GⅠタイトルを手にすることができた。この勝利をきっかけに勝ち続ける馬になるとは思わないが、今後もマイル戦線で主役級を張る存在になると思っている。

    2着モズアスコットはこういう高速戦でないと、ダートでは結果を残せないことが改めてわかった1戦。ただ今回は、それ故か積極的なレースをし過ぎてしまい、最後まで粘れなかったという部分もある。これからもダートをメインに使うことはないはずで、今回のような条件が揃った舞台だけを選択してくる可能性が高いはず。それで簡単にタイトルを積み重ねられるダート競馬界ではないけれど。

    昨年4着だったモジアナフレイバーは、好位追走から4コーナーで前を行く2頭に迫ったが、そこから詰まりそうで差が詰まらなかった。結局3着と、昨年より1つ着順を上げたものの、積年の課題であるラスト1ハロンでもう一押しする末脚は、今回も見られず仕舞い。それならそれで、別の戦い方もある気がしているが。

    前年覇者のサンライズノヴァは、中団から最後良く追い込んできたが、4着止まり。前が止まらなかった展開もあったが、昨年手綱を取った吉原寛人騎手と今回コンビを組んだ松若風馬騎手の差が如実に出た部分も。あと7着ワイドファラオは、外枠を引いたために控える競馬を選択したが、やはり逃げてこその馬。もう少し意欲的な競馬を見たかった

    <JBCクラシックの有力どころは、帝王賞からの直行組>

    さてJBCクラシックの動向だが、マイルチャンピオンシップ南部杯に出走した中央勢で向かう可能性があるとすれば、帝王賞にも出走していたワイドファラオだけだろう。他の各馬はマイル以下の路線を選択するか、スキップしてチャンピオンズCに向かうとのこと。そのため中央勢は、春シーズンからの直行組が主力を占めることになると予想される。

    中でも注目は帝王賞出走組。ここを制して国内無敗を堅持したクリソベリルに、2着だったオメガパフュームと3着のチュウワウィザードが、揃って秋初戦にJBCクラシックを予定している。もちろん注目は、帝王賞で有無を言わせぬ国内ダート界の頂点に立ったクリソベリルで、昨年は浦和コースを嫌ってスキップしたが、今年は満を持しての参戦このタイトルを手にして、その座をより強固なものにしたいはずである。

    またオメガパフュームは、過去2年続けて2着に終わっている舞台。こちらも最も得意とする大井コースで、悲願のタイトル奪取を目指すことになる。また連覇が多いレースということを考えれば、前年覇者のチュウワウィザードが連覇なるかも注目点だ。どちらも年下に簡単にタイトルを譲れないはずで、主力はこの3頭が形成することになるはずだ。

    この3頭以外で参戦すれば注目される存在となれば、マーキュリーCと白山大賞典を連勝したマスターフェンサーだろう。昨年アメリカに長期遠征をした関係で、国内での出世が遅れてしまったが、それを埋めるような実績をようやく作ってきた。ただし7頭の出走枠に入れるか微妙なところで、出られれば既成勢力にとって厄介な存在になりそうだ。

    このほか、日本TV盃を統一グレード初参戦で制したロードブレスは、ここまでダートで6戦5勝と底を見せていないが、現在の情報によるとJBCクラシックへの参戦は消極的。フェブラリーSとかしわ記念でともに2着に入ったケイティブレイブも、動静が伝わってこない。むしろ今年のジャパンダートダービーを制したダノンファラオなど、日本TV盃敗戦組が残る枠に加わる可能性が高いと考えている。

    片や地方勢は希望的観測の話がメインになるが、基本は南関東からどれだけ有力馬が顔を揃えるかだろう。まず南関東生え抜きから話をすれば、注目はマイルチャンピオンシップ南部杯で3着だったモジアナフレイバーの動向だろう。昨年はJBCクラシックをスキップしたが、地元大井コースとなれば参戦する可能性は十分あり、盛り上げ役としても期待したいところだ。また日本TV盃では4着だったミューチャリーも、統一グレードでは前線止まりが続くも、素質はヒケを取らない。出れば通用して不思議のない存在だ。

    一方で中央から南関東に移籍した馬でまず名前が挙がるのが、今年の帝王賞で地方馬再先着だったノンコノユメだ。秋になって出走はないが、大井2000m戦では現状大きく崩れていないため、出れば地方勢の大将格になるだろう。しかし東京記念を圧勝した歴代覇者のサウンドトゥルーは、昨年の帝王賞以降統一GⅠに出走していない。出てほしい1頭だが、この舞台も避ける可能性を感じている。

    この他では今年の大井記念を制し、前走日本TV盃でも3着に入ったストライクイーグルや、昨年JBCクラシックで3着のセンチュリオン。これを10月12日に川崎で行われたOP特別で破ったアングライフェンといった元中央勢が、南関東では有力どころとなる。あと昨年ホッカイドウ競馬の3歳3冠を達成したリンゾウチャネルが、南関東に移籍した今年、東京記念3着など距離にメドを立てている。この馬の雄姿も見てみたいものだ。(18日13:30追記・リンゾウチャネルは21日の埼玉新聞栄冠賞に出走)

    南関東以外では、層の厚いホッカイドウ競馬勢は、2日後に道営記念があるため参戦は期待薄。むしろ実績はあっても道営記念では厳しいと思う馬が、こちらに向かうかも知れない。岩手からはマーキュリーCで3着だったランガディアが、手を挙げれば選定されると思うが、前走で地元の芝を使ったローテーションを考えると参戦は微妙かも。中長距離路線の主力は1ヶ月後の園田金盃を目指す兵庫勢も、姿を見ることはなさそうである。

    最終的には中央勢vs南関東勢という図式になるだろうが、この路線の現時点における最強メンバーに近い顔触れが揃うことに間違いないだろう。しかし休み明けでこの舞台を目指す馬が多いため、結果を左右するのは中間の調整過程になるかもしれない。裏を返せば、新興勢力に付け入るスキがあるとすれば、既成勢力がそこに不安を覚えた時。日々の調整過程などあらゆる情報を手にした上で、当日に栄光を手にする馬を推理したいところである。


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