コラム 2020NARグランプリ年度代表馬-もし私が選ぶなら
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コラム 2020NARグランプリ年度代表馬-もし私が選ぶなら

2021-01-11 18:00

    東京大賞典の戦評記事を掲載したところで、今年も地方競馬の年間表彰「NARグランプリ」について触れておくことにする。これは選考委員に選ばれた全国の地方競馬関係者および有識者が、選考委員会に対する投票とそこでの合議を通じ、年度代表馬を含む代表馬が選定されることになっている。毎回説明しているが、これはJRA賞で行っているような記者投票で選考される際に、私が1票を持っているならこういう投票をするという目的で行っているもの。これに何の権限もないし、そもそも選考に関わっていればこういう話を書くことはできないので、その点をご理解いただければ幸いである。

    2020年の地方競馬は、統一GⅠ戦線における南関東所属馬の健闘が光ったシーズンだった。かしわ記念を除く地方主催で行われるすべての統一GⅠで、南関東所属馬が掲示板を確保。特に秋に入ってからマイルチャンピオンシップ南部杯で3着に入ったモジアナフレイバー、JBCスプリントを制したサブノジュニア、そして東京大賞典であと一歩という走りを披露したカジノフォンテンと、立て続けに勝ち負けに加わった。一時期実力馬が統一グレードを敬遠するという時代があったが、少なくとも南関東に関しては、臆せず頂点を目指す姿勢が結果となって現れていると思っている。

    また2歳路線では、統一グレード4戦中3戦で地方所属馬が制したことも大きく取り上げたい。全日本2歳優駿でアランバローズが無敗で頂点に立ったことはもちろん、新装なった第1回JBC2歳優駿をラッキードリームが制し、地方デビューの2歳馬が質量ともレベルが高かったことを証明。これらが3歳路線を賑わせるだろう2021年の地方競馬に、大きな楽しみを与えた。しかし3歳路線に関しては、レベルが高いとされながら年間を通じて活躍した馬に乏しく、物足りなさが残ったのは残念だった。

    さて年度代表馬だが、サブノジュニアアランバローズという、統一GⅠを制した2頭の比較に落ち着くはずだ。サブノジュニアは年間9戦5勝。重賞はJBCスプリントに加え、地元のアフター5スター賞を勝利。また統一グレードでは、他に東京スプリント2着があり、年間を通じて活躍したといえる。ただ9戦中7戦が大井1200m戦。そのこだわりあるローテーションが重賞タイトルの少なさになっている一方、それ以外の条件で結果を出せなかったことをどう評価するか、議論が分かれるだろう。

    対するアランバローズは、デビューから無傷の5連勝で全日本2歳優駿を制覇。さらに今年から重賞に昇格したゴールドジュニアとハイセイコー記念も制し、年間重賞3勝の実績は、2歳馬としては破格だ。過去に2歳で年度代表馬に選ばれたラブミーチャンとハッピースプリントが、いずれもダート無敗で全日本2歳優駿を制したことからも、昨年のヴァケーション以上の評価は十分できると考えている。

    もしサブノジュニアが様々な条件で結果を出していたなら、スンナリ選ぶことができたと思うが、そうではなかっただけにこの二者択一は悩んだ。最終的に判断の決め手としたのは、持ち回り開催のために年によって舞台設定からくる有利不利が否定できない、JBCの位置づけ。つまり今回サブノジュニアを選ばなかった場合、舞台に恵まれたが故の勝利という評価になりかねないからだ。しかしそれでは国内最高峰であるJBC全体の評価を貶めることになると考え、その価値を守る意味でも私は、2020年のNARグランプリ年度代表馬にサブノジュニアを選ぶことにした。

    <博田伸樹が選ぶ、2020NARグランプリ最優秀馬>
    (カッコ内は地方所属としての最終出走時の所属)

    【2歳最優秀牡馬】アランバローズ(船橋)(次点・ラッキードリーム)(北海道)
    【2歳最優秀牝馬】ケラススヴィア(浦和)(次点・ソロユニット)(北海道)
    【3歳最優秀牡馬】フレッチャビアンカ(岩手県)(次点・サロルン)(船橋)
    【3歳最優秀牝馬】アクアリーブル(船橋)(次点・ハクサンアマゾネス)(金沢)
    【古馬最優秀牡馬】サブノジュニア(大井)(次点・カジノフォンテン)(船橋)
    【古馬最優秀牝馬】サルサディオーネ(大井)(次点・ダノンレジーナ)(浦和)
    【最優秀短距離馬】サブノジュニア(大井)(次点・ブルドッグボス)(浦和)
    【最優秀ターフ馬】シンボ(北海道)(次点・ブラックバゴ)(大井)
    【ばんえい最優秀馬】コウシュハウンカイ(次点・オレノココロ)

    【年度代表馬】サブノジュニア(大井)(次点・アランバローズ)(船橋)

    ※微妙な部門の選考について

    ここでは判断に悩んだ部門を中心に、選出理由を説明したい。

    <2歳最優秀牝馬>
    レースの格としてはエーデルワイス賞を制したソロユニットを評価しなければいけないが、東京2歳優駿牝馬で8着に敗れ、評価を難しくした。その東京2歳優駿牝馬を無敗で制したケラススヴィアは、ローレル賞の勝利もあって“グランダム・ジャパン”の総合優勝も獲得。昨年も同レースを無敗で制したレイチェルウーズを私は選出したが、それ以上の実績を積み重ねたことを評価し、ケラススヴィアが今回もふさわしいと判断した。

    <3歳最優秀牡馬>
    年間を通じて古馬重賞を制した3歳牡馬が、道営スプリントのジャスパーシャイン(北海道)1頭だけなら、評価の中心は3歳限定戦の活躍になる。南関東3冠路線の活躍馬では年間重賞2勝のゴールドホイヤー(川崎)に、ジャパンダートダービーで地方再先着となる4着だったブラヴール(船橋)、戸塚記念勝ちなど年間を通じて安定した走りを見せたティーズダンク(浦和)が候補になるが、どの馬も選出できるだけのインパクトはなかったと感じている。
    そうなると評価したくなるのは、ともにティーズダンクが2着に終わった、ダービーグランプリと楠賞という地方全国交流の大舞台だ。特にダービーグランプリを制したフレッチャビアンカは、東北優駿と不来方賞も制したことで“岩手3歳3冠”の称号を与えられる活躍だった。古馬相手でも北上川大賞典2着があり、フレッチャビアンカを代表馬に選出するに至った。
    また楠賞を勝ったサノルンは出世が遅れていた馬だったが、無傷の7連勝で制したインパクトは大きかった。直後に兵庫ゴールドトロフィー5着で初黒星を喫したが、これは古馬相手の統一グレード。この2戦だけで南関東3冠路線を戦った馬より上とするのは過大評価かもしれないが、次点にサノルンを選んでいる。

    <古馬最優秀牡馬>
    ここでは次点について説明する。候補は統一グレードで安定した結果を残したブルドッグボス(浦和)に、日本レコード決着となったマイルチャンピオンシップ南部杯で3着のモジアナフレイバー(大井)、さらに東京大賞典で2着に入ったカジノフォンテンだ。この中でモジアナフレイバーは、今期南関東ローカルでも重賞タイトルがなく、その部分で大きなマイナス。遠征したゴドルフィンマイルが中止となる不運はあったが、この選考においてその同情は必要ないと考える。
    またブルドッグボスは重賞こそ引退レースとなったゴールドカップ1戦のみだが、さきたま杯と東京盃で2着があり、統一グレードでの安定感は前年以上。ただしJBCスプリント3着が地方馬最先着でなかったため、どうしても評価は下がる。一方でカジノフォンテンは、年明け時は条件クラスだったが、出世を続けて南関東重賞2勝。特に勝島王冠で、統一GⅠ2勝のノンコノユメ(大井)とモジアナフレイバーを破った1戦が破格。統一グレード初出走の東京大賞典であわやの競馬をしたことも含め、強いインパクトを残したことを評価してカジノフォンテンを次点に置くことにした。
    この他に、統一GⅠで3度入着を果たしたミューチャリー(船橋)も、これらに迫る活躍を披露。また川崎記念で2着に入ったヒカリオーソ(川崎)は、春以降は度重なる鼻出血により活躍できなかったが、輝きを放ったことは忘れないでおきたい。

    <最優秀ターフ馬>
    候補は岩手で行われた古馬の芝重賞である、せきれい賞を制したアップクォーク(兵庫県)とOROカップを制したブラッグバゴに加え、中央芝の1000万下を勝ったシンボの3頭。この比較は難しかったが、OROカップ2着のフジノロケット(北海道)がその前に中央芝の1000万下で3着に入った比較から、OROカップの評価は中央1000万下並みか。それなら直後に中央芝のOP特別でも小差の4着に入った実績を踏まえ、シンボを選出した。また次点にブラックバゴを選んだのは、岩手競馬としての位置づけが高いOROカップを勝ったことと、その勝利の資格で中央の富士Sに出走したことが理由である。

    <ばんえい最優秀馬>
    暦年表彰ゆえに毎年選考に悩む部門。ばんえい記念を制したオレノココロは、年間を通じて重賞で3着を外さなかったものの、重賞タイトルは結局1つだけ。一方でコウシュハウンカイミノルシャープが古馬重賞を年間3勝し、実績面では三つ巴になった。このうちミノルシャープは、ばんえいGPまでの3連勝は見事だったが、その後不振に。代表馬としての選考では、1枚見劣ってしまう。
    残る2頭の比較はオレノココロの安定感を取るか、コウシュハウンカイのタイトル数を取るか。そこでコウシュハウンカイのタイトルを精査すれば、BG(ばんえいグレード)Ⅰの帯広記念という、ばんえい記念に準ずるビッグタイトルがある。それならタイトル数を尊重すべきと判断し、コウシュハウンカイを代表馬に選んだ


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