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コラム 新時代への希望が見えた、ばんえい記念2021を振り返る
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コラム 新時代への希望が見えた、ばんえい記念2021を振り返る

2021-04-22 23:00

    世界で唯一のばんえい競馬としてのアピールと、帯広競馬場の観光資源化。更にネット投票の拡充を通じて参加人口が増えたことで、ここ数年は数十億円単位で売上を伸ばしていた。2020年度(以降、今シーズン)は旧4市組合時代の最高売上高322億円(1991年度。億円未満切り捨て、以下同じ)の更新を視野に入れて始まったが、これをアッサリ塗り替えると、その後も勢いは収まらず、最終的に483億円という驚異的な新記録をマークした。コロナ過による追い風があったとしても、積年の取り組みが実を結んだことを象徴する数字といえるだろう。
    そんな売上拡大期にあったばんえい競馬で、主役を張り続けたオレノココロコウシュハウンカイが、2020年度シーズンをもって競馬場に別れを告げた。それは未来への不安と背中合わせといえるものだが、そのラストランとなったばんえい記念は、新時代への希望が見えたと私は感じた。202Ⅰ年度(以降、新シーズン)の開幕を明日4月23日に控えているが、ここでその激闘を振り返っておきたい。

    <伊達ではなかった31連勝。高速戦を制したのはホクショウマサル>

    5年ぶりにフルゲートとなった今年のばんえい記念は、その全てがオープン馬によって争われた。例年はフルゲートになるかどうかに関わらず、条件馬の参戦が少なからずあるのだが、全馬オープン馬によるフルゲートは実に2006年以来。しかもラストランとなるオレノココロコウシュハウンカイに、2年ぶりの頂点を目指すセンゴクエース。また今シーズンの重賞路線で存在感を放った明け7歳のミノルシャープメジロゴーリキが、満を持して初参戦。そこに昨シーズン連勝記録で沸かせたホクショウマサルに、6歳世代からキタノユウジロウも加わり、大一番にふさわしいメンバーが集った。

    しかし未明から雪が降りそそいた舞台が、レースに大きな影響を与えた。朝から高速決着のレースが続き、2.7%という馬場水分以上に軽い馬場となったことで、各馬がスムーズに第2障害まで歩みを進めた。そして先頭が第2障害手前に到着するまで、およそ1分40秒。昨年より40秒近く速かったものの、それでも1トン戦らしい慎重さが伝わってきた。

    ところが第2障害でその空気が一変する。トップ抜けしたコウシュハウンカイに、離されずに続いたキタノユウジロウ、そして3番手で抜けたホクショウマサルまでも、ひと腰でこの難関を突破したのだ。その勢いのままノンストップでゴールを目指す3頭は、残り30m付近まで序列は変わらなかったが、ここでギアチェンジしたのがホクショウマサル。悲願のばんえい記念タイトルを目指して粘るコウシュハウンカイを、残り20mを切って交わすと、そのまま先頭でゴール。昨年3着の雪辱を晴らすとともに、古馬重賞初タイトルを最高峰の舞台で手にすることになった。

    勝ったホクショウマサル昨年のばんえい記念3着で、国内最多連勝記録が31でストップしたが、この敗戦を糧に今シーズンは重賞戦線で活躍してくれると期待されていた。しかしばんえい記念を使った後遺症に苦しみ、重賞では惨敗続き。そこで北見記念を最後に重賞戦線から離れ、立て直しを図ったことが奏功し、1トン戦の大舞台をひと腰で抜ける走りにつながった。

    またそれまでのばんえい競馬における連勝記録(19連勝)を持っていたサカノタイソンが、後にばんえい記念を連覇したように、ホクショウマサルもまた相手に恵まれただけで連勝記録を作ったわけではないことを証明した意味もあった。元々2歳シーズンにイレネー記念、3歳シーズンにばんえいダービーを勝った世代最強馬。最後の末脚には、その当時に培った底力が宿っていた。

    なお勝ちタイムは、2012年以来の3分切りとなる2分43秒4。高速馬場で第2障害をひと腰で抜ける馬が多く、また抜けてから詰まる馬も少なかった1トン戦らしい力勝負にならなかったことは、高重量戦における障害力に課題のあったホクショウマサルにとって、助けになったと考えている。

    <ラストラン2騎への、はなむけの言葉>

    今年も第2障害をトップ抜けしたのはコウシュハウンカイ。まだ手にしていない悲願のタイトルに向け懸命に逃げたが、今年も最後に脚色が鈍り、ゴール直前にキタノユウジロウにも交わされて3着に終わった。ばんえい記念は6年連続参戦して全て掲示板に入りながら、最高は3回記録した3着。絶えずつきまとった1トン戦で最後まで曳き切る平地力という課題を、最後の機会でも乗り越えることができなかった

    しかし偉大な同世代のライバルがいたにもかかわらず、旧4市競走完全制覇を含む重賞15勝(うち世代限定重賞2勝)は、誇るべき記録。ライバル対決はこれから種牡馬となってからも続くわけだが、そこで自身が為し得なかったばんえい記念のタイトルを手にする産駒が生まれることを、期待したいと思う。

    一方で4度目のばんえい記念制覇を目指したオレノココロは、第2障害で真っ先に仕掛けたものの、ひと腰で上げられなかったのが致命的。5番手で抜けた時には既に前と絶望的な差がついており、懸命な追い込みも4着が精一杯だった。過去3度制した時は4分前後時計がかかっていたことを考えれば、明らかに敗因は高速馬場。それでも最後まであきらめずに追い込んできた姿は、長年王者として君臨した意地が垣間見えた。

    初めての重賞タイトルとなったばんえいダービー以降、積み重ねたタイトルは実に25勝(うち世代限定重賞4勝)。これはばんえい競馬における最多重賞勝利記録で、この記録を塗り替える馬は簡単に出ないだろう。特にばんえい記念に加え、900キロ前後を曳く帯広記念でも4勝と、高重量戦に対する強さは見事だった。北見記念を勝てなかったために旧4市競走完全制覇がならなかったのは意外だが、ばんえい競馬の再興とともにその名声は後世に語り継がれるはず。その行く末を見守りつつ、種牡馬としても自らを超えるような名馬を輩出してほしいと思う。

    <新シーズンは、群雄割拠した新世代による戦い>

    2着に入ったのは最も若い6歳馬のキタノユウジロウだった。本格的に古馬一線級との戦いとなった今シーズンは苦戦が続いていたが、徐々に力をつけると帯広記念で3着に入り、高重量戦への適性を披露。その後OP3連勝とリズムに乗り、その勢いをぶつける形であわやの競馬を見せた。直前に主戦を務めた松田道明騎手が負傷により乗れないというアクシデントがなければと思わせた程で、新シーズンにおける戦い、特に高重量戦での走りに期待を抱かせた。

    今シーズンを沸かせた7歳世代は、ミノルシャープは4番手で抜けたものの最後伸びず5着。メジロゴーリキは第2障害の仕掛けで後れを取って6着に終わった。ミノルシャープは岩見沢記念の除外以降、立て直せずに最後まで来てしまったが、それまでの重賞3連勝は見事。メジロゴーリキは年間を通じての安定感はなかったが、北見記念を制して帯広記念でも僅差の2着と、地力を示した。どちらも課題は残るものの、新黄金世代とも呼ばれるこの世代が、これからのばんえい競馬を牽引してもらわないと困るのだ。

    なぜならホクショウマサルは、新シーズンがラストシーズンとなる可能性が高いこと。また一昨年のばんえい記念を制したセンゴクエースは、今シーズンは重賞連対ナシと不振をかこったためである。ベテラン勢に過度な期待ができない分、それだけ新世代にかかる期待が大きいのである。

    折しも新シーズンの開幕を彩るスプリングカップは、前記した3頭を含め、出走メンバーは全て7歳以下となった。ばんえい記念未出走組では、キタノユウジロウと同じ6歳世代から、先んじて昨年ばんえい記念に出走していたアアモンドグンシン。5歳世代からは3歳・4歳世代で3冠を達成したメムロボブサップに、そのライバルとしてしのぎを削ってきたアオノブラックも登場する。これら群雄割拠した新世代が新シーズンを盛り上げてくれるはずで、そこに宿る新時代への希望を裏切らない戦いを繰り広げてほしいものである。


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