粘って掴んだ統一GⅠ10勝目! 偉業づくめとなったホッコータルマエの勝利-「川崎記念」戦評
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粘って掴んだ統一GⅠ10勝目! 偉業づくめとなったホッコータルマエの勝利-「川崎記念」戦評

2016-01-29 21:00

    <レース概況>

    ホッコータルマエが抜群のロケットスタートを切って幕を開けたこのレース。ハナを主張したのはサミットストーンとマイネルバイカだったが、これを枠順の差でサミットストーンが制すると、マイネルバイカは2番手に控える。その後位にホッコータルマエが付け、前が落ち着こうとしたところで、パッションダンスが先行争いに絡んでいく。サミットストーンとマイネルバイカは抵抗する形でスピードを緩めなかったため、この3頭が後続を大きく離して1周目の直線に入っていった。4番手となったホッコータルマエの後位にアムールブリエがつけ、その直後にサウンドトゥルーグルームアイランドケイアイレオーネカゼノコも、これらを追走する位置で競馬を進めた。

    逃げるサミットストーンは2周目向正面からピッチを上げると、3番手のパッションダンスがついて行けなくなり、マイネルバイカとともに後続を引き離しにかかる。後続勢はサウンドトゥルーが内から徐々に進出し、3コーナー手前では余裕を持って追走していたホッコータルマエに並びかける。しかし、下がって来たパッションダンスを交わすのにサウンドトゥルーは手間取り、再び2頭の間に水が開く。4コーナーでは先頭を射程圏内に捉えたホッコータルマエの2馬身ほど後方にサウンドトゥルーという位置関係で迎えた。

    直線に入ると逃げ粘るサミットストーンマイネルバイカが並びかけるが、残り200m付近でホッコータルマエがまとめて交わして先頭に立つ。これに外に進路を切り替えたサウンドトゥルーが襲い掛かり、2頭のマッチレースに。しかしホッコータルマエの粘り腰の前に、サウンドトゥルーは東京大賞典の時ほど勢いよく詰まって来ない。ジワジワと差は縮まったものの、アタマ差まで詰め寄ったところがゴールだった。ホッコータルマエが統一グレード化以降では初となる川崎記念3連覇を果たすとともに、日本競馬史上初となる統一GⅠ10勝目の偉業を成し遂げた。4馬身離された3着には、ゴール寸前でマイネルバイカを捉えたアムールブリエが入っている。

    <各馬の戦評>

    今回のホッコータルマエの勝利を一言で言えば“経験値の差”と言えるだろう。広い馬場での経験しかないサウンドトゥルーに対し、小回りコースに対する経験が豊富だったこと。また小回りコースでの立ち回り方を熟知していた幸英明騎手の立ち回りの巧さが際立っていた。レースを大きく分けたポイントは、2周目3コーナーでパッションダンスが下がって来た時だったが、ホッコータルマエは終始内ラチ沿いを数頭分開けて回っていた。そのため問題なくさばけた一方、内ラチ沿いを上昇していたサウンドトゥルーはここでスムーズに交わせなかった。ここでついたアドバンテージが、最後にアタマ差しのぎ切ったところにつながったと感じている。
    ただし、ホッコータルマエの走りが勝利に値するものだったのは事実だ。今開催は一昨年末に行われた砂の入れ替え前に近い時計が出ているが、今回の2分14秒1は、2年前より0秒4遅いだけ。この馬自身に力の衰えがないことを示したし、何よりここで負ければ再び頂点には立てないという危機感や、この先に見据えるドバイ遠征を実現させるためにも“背水の陣”で臨んだ1戦。もしかしたら金字塔を打ち立てるラストチャンスだった舞台で、統一GⅠ10勝という金字塔を見事に打ち立てたことには、称賛しかない。この馬の歴史的な評価については、どこかのタイミングでコラムという形でしっかりまとめたいと思う。

    2着に終わったサウンドトゥルーは、結果的に2周目3コーナーのさばきの部分でつけられた差が、最後まで響いた。確かに1番枠を引いて外に出せるチャンスはなかったし、川崎競馬場の向正面は内ラチ沿いが走りやすい傾向もあるので、あのコース取り自体は間違っていない。ただパッションダンスが下がって来たタイミングが、3コーナーに入る前で、しかもホッコータルマエに内側から併せにいったタイミング。ともすれば一番下がってきてほしくなかったところで下がって来られたのは、不運だったと言えよう。
    とはいえ、それを除けば初めてとなる小回りコースに適応していたし、最後の伸び脚も悪くなかった。やはり今年はこの馬を中心にダート競馬界が回っていくと、改めて感じさせるに十分な走りだった。この1戦を最後に一息入れるとの事だが、国内専念というのが少しもったいなく感じる。

    3着に終わったアムールブリエは、勝負所で上位2頭に離された点に、力の差が現れていた。それでも超一流相手に残した今回の結果に悲観することはない。次走は連覇がかかる1ヶ月後のエンプレス杯だろうが、牝馬限定戦は距離が短いレースも多いので、今後も牡馬相手の長距離戦にぶつける機会が多くなるだろう。そこで揉まれることで、どこまでパワーアップできるか注目してみたいと思う。

    惜しかったのは4着のマイネルバイカ。楽な2番手で運べそうなところでパッションダンスが絡んで来たことで、厳しい展開になった。それでも最後までしぶとく粘った走りは、充実期を迎えたことを示したと言って良いのではないか。イメージとしては現在、戦線を離脱しているクリソライトに近い感じ。タフな競馬に持ち込めれば、今後もタイトルを積み重ねるチャンスはあるだろう。

    地方勢では6着だったものの、最先着を果たしたケイアイレオーネの走りに好感が持てた。向正面でサウンドトゥルーと一緒に進出した脚に見どころがあったし、最後の直線での末脚もなかなかのもの。中央時代に統一グレードを2度制している実力馬が、輝きを取り戻しつつあることを示した内容だった。これなら今シーズンの南関東競馬を牽引する役割を担えるかも知れず、今後の走りに注目したいと思う。

    期待したグルームアイランドは8着に終わったが、前走の報知オールスターCが後方からの差し切りだったので、位置取りが前過ぎたのではないか。ただこの経験が先々に必ず生きるはず。金沢所属馬初となる、統一グレード獲得の可能性を持つ馬と評価していいだろう。明るい未来に向けた第一歩になったと思っている。

    (詳細なレース結果は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)


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