コラム 岩手競馬2015年度シーズンを総括する PART1 古馬編
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コラム 岩手競馬2015年度シーズンを総括する PART1 古馬編

2016-02-29 12:00

    私は2015年度の岩手競馬のシーズン中、岩手競馬の情報・予想サイト「勝ちそーチャンネル」内にある予想コーナー「岩手競馬 予想の達人」にて岩手競馬の重賞競走を予想させていただいた(見解の完全版を、本ブロマガで掲載)。その予想がご覧になっていただいていた方の参考になっていたかはわからないが、1年を通じて協力してきた責任として、2015年度シーズンに活躍した各馬の1年を、個人的な見解を交えながら振り返ることにする。

    ナムラタイタン(桐花賞など重賞5勝、年度代表馬・4歳以上最優秀馬)

    近年の岩手競馬は年度代表馬に選ばれた翌年に活躍できないケースが続いていたが、前シーズンの年度代表馬ナムラタイタンは、今シーズンも6戦5勝。地方馬同士のレースでは負けることなくシーズンを終え、2年連続で年度代表馬を受賞することになった。

    中でも大きな1戦だったのが岩鷲賞だろう。シアンモア記念を脚部不安で回避した復帰戦となった舞台で、さきたま杯で健闘した直後のラブバレットと対戦。私も含めラブバレット優位とする人が少なくなかった中で、逃げたラブバレットを直線捉えた走りは、見る者を熱くさせた。地元馬のみで行われたレースに限れば、近年の岩手競馬で屈指の名勝負という声が届くのも当然だし、年度代表馬に選ばれた決め手にもなったと言える。

    一方で秋以降は、自身の衰えとの戦いにもなっていたと私は見ている。それは青藍賞で余裕十分の走りに垣間見えた、衰えの兆候を感じ取ったから。それでも今シーズンは乗り切ると当時は見ていたが、マイルチャンピオンシップ南部杯が序盤から追走に苦労する大敗。私自身はそこで腹をくくり、序列を下げることを決断。その後の競走で本命を打たなかったのは、そういう理由である。

    そんな私の評価をあざ笑うかのように、絆Cと桐花賞を完璧なレース運びで完勝。特に桐花賞は前年、コミュニティに苦杯をなめていただけに、是が非でも取りたかったタイトルだったはず。これでメイセイオペラ以来となる、旧古馬4大競走(シアンモア記念・一條記念みちのく大賞典・北上川大賞典・桐花賞)の完全制覇を達成。しかもシアンモア記念が2000年から1600mに短縮され、難易度が増した感もあるだけに、岩手競馬の歴史にその名を刻んだと言えるだろう。

    翌2016年シーズンも現役を続行するという話が伝わっている。今シーズン以上に衰えとの戦いが現実味を帯びるだろうが、高い壁でいてほしいと思う一方で、ナムラタイタンが王座を守り続ける岩手競馬でもいけないだろう。いずれにせよ前半戦はこの馬を中心に回ることになるはず。そこでライバルたちとどんな戦いを見せるかが、翌シーズンが盛り上がるかどうかの指標となるのではないだろうか。

    ラブバレット(笠松GP・トウケイニセイ記念、特別表彰馬)

    ナムラタイタンが岩手の中で活躍したとするなら、ラブバレット岩手の枠を超えて活躍した存在と言うべきだろう。2度出走した統一グレードでいずれも入着を果たし、笠松に遠征した笠松GPで2014年のJBCスプリント2着のサトノタイガーを破った実績は、大いに認めたいところだ。

    昨シーズンの不振もあり、今シーズンの開幕時点では大きな期待がかけられていなかったことは、初戦のOP戦が7番人気だったことで伺える。ただその初戦で強い競馬で制すると、次走も圧勝した勢いでさきたま杯に遠征。レースでも4コーナーで先頭に立つ積極的な競馬で4着に踏ん張ったのは驚きだったし、地方生え抜きが結果を出せないことで知られるクラスターCでも3着と健闘。地元ファンを沸かせた走りは見事だった。

    以降はJBCスプリントを回避したり、兵庫ゴールドトロフィーを取り消したりと、予定通りのローテーションを組めなかった。それでも笠松GPを制し、シーズン最後のトウケイニセイ記念も圧巻の逃げ切り勝ち。順調ローテーションを組めていたらどれだけの結果を残せていたか・・・そう思わせる終盤戦の走りは、来シーズンの大きな希望と言えるだろう。

    個人的にはそういったローテーションの狂いが、どれだけ状態面に影響が出ているのか把握できず、また距離適性も掴みきれなかったため、秋以降は評価を下げる予想が続いたのは申し訳なく思っている。ただ不安がある時に無理して使わなかったことも、結果につながったのではないか。来シーズンは高知の黒船賞から始動すると言う話もあるが、積極的に遠征を繰り返すのは変わらないはず。その中で、統一グレード制覇という更なる成果がもたらされることを期待したいと思う。

    最後になるが、ナムラタイタンと2戦2敗という対戦成績がなければ年度代表馬でもおかしくなく、特別表彰という形で称えたのは悪くなかった。その一方で実力なのかタイトルの価値なのか、どちらに重きを置いて判断するのかを、今一度考える機会にする必要もあるかもしれない。

    ライズライン(シアンモア記念・北上川大賞典)

    そのラブバレットと同世代のライバルとして2歳時に覇を競いあったライズラインも、存在感のあるシーズンを過ごした。年間を通じて勝利は2勝に止まったが、その2勝がシアンモア記念と北上川大賞典というビックタイトル。シーズンを通して見えたのは、勝ちパターンがハッキリ見えたという事だろう。

    本質はスピードタイプであることは同期のラブバレットと変わらないが、こちらはフロントランナー。差す脚はないものの、楽な逃げに持ち込めれば粘れるタイプ。その特性を最大限に活かしたのが、向正面から後続を引き離して最後まで押し切った北上川大賞典だった。それまではマイル前後の距離が良いと見られていたが、この勝利で一気に選択肢が広がったのは事実だろう。

    ただ桐花賞で大きく離された3着に終わったように、強豪相手では厳しい結果も多かった。ステップアップのために必要なのは、今以上に速い流れで引っ張っても踏ん張れる地力をつけるか、差す競馬を身に着けるかのどちらか。来シーズンにそんな力を身に着けていることを期待したいと思う。

    コミュニティ(一條記念みちのく大賞典など重賞2勝)

    前年の桐花賞でナムラタイタンを破り、更なる飛躍が期待されたコミュニティは、一條記念みちのく大賞典の10馬身差圧勝などで存在感は見せた。しかし主要タイトルはこの1戦だけに止まり、開幕前の期待に応えたと言えないシーズンを過ごしたと言えよう。

    これに関して言えば、岩手競馬の番組編成も大きい。というのも現在の岩手競馬は、統一GⅠのマイルチャンピオンシップ南部杯に強い地元勢を送り込むことを念頭に置いた番組。そのためマイル戦で行われた古馬重賞(牝馬限定除く。統一グレード含む)が8競走ある一方で、1800m以上の競走は5競走と、中長距離路線の番組が少し薄くなっている(先日発表された2016年度シーズンも同様)。この編成によって、コミュニティにとってポテンシャルを発揮しにくい番組になっていたと言えるかもしれない。

    それでも力を発揮できる舞台だった、シーズン終盤の北上川大賞典と桐花賞で2着に終わったのは残念なところ。絆C以降、名実共に新世代を告げることを期待して本命を打ち続けたのは、いつまでも打倒ナムラタイタンの立場では、この馬にとっても岩手競馬にとってもダメだという思いもあったから。それを実現できなかったことは残念だし、この馬自身も評価を高められなかったと言えるだろう。

    明けて6歳となる来シーズンも同じ立場のまま戦うことになったが、前にも触れたように地元にこだわれば使いどころが難しい時期もあるし、本来は右回りの水沢コースの方が走りは良い馬。右回りの中長距離という舞台があれば、他地区への遠征も考える価値はあるだろう。ただそれが、ナムラタイタンとの対決を避けたと取られてしまうと、結果を出しても評価につながらない可能性がある。何を目指せばいいのか、関係者にとっては頭を悩ませる来シーズンになるかもしれない。

    2歳・3歳馬編の記事は、この記事の下に掲載しています。


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