なぜ大衆は「性犯罪は再犯率が高い」と信じたがるか。
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なぜ大衆は「性犯罪は再犯率が高い」と信じたがるか。

2018-04-25 10:55
    「性犯罪は再犯率が非常に高い」という俗説があります。

     で、いきなりの全否定になりますが、『平成29年度版 犯罪白書 ~更生を支援する地域のネットワーク~』に掲載されたデータによると実際はこうなっています。




     再犯者というのは広い意味では、過去に犯罪を犯した人が何らかの刑法にひっかかった場合全部を指します。極端な話、元殺人犯がたまたま交通事故を起こしても「再犯者」です。
     検挙された犯罪者のうち、その人が前にも犯罪を犯していた人(再反者)である割合を「再犯率」というのですが、マスかネットかを問わずメディア上ではこれのことを普通「再犯率」と呼んでいるようです。
     一応ここでは、ただしめに再犯者率という用語の方を使うことにします。
     ですが、こういう罪名ごとの再犯を考える場合、重要なのは今回も前回も強姦、というような「同一罪名有前科者」の割合ですので、以下では「再犯者」とは同一罪名有前科者を指すこととします。
     図のオレンジの部分とピンクの部分の合計がそれで、ピンクは特に前科5犯以上という、もう筋金入りのどうしようもない連中です。この図によると検挙された性犯罪者のうち、強姦犯は5.3%が再犯者。強制わいせつでは8.2%が再犯者です。
     全罪名の平均は15.1%ですから、強制わいせつはその半分ちょっと、強姦は三分の一程度ということです。平均より低いじゃないか。
     ちなみに再犯者の割合の高い順から並べると、窃盗(20.1%)、恐喝(20.0%)、詐欺(14.3%)、傷害・暴行(12.3%)です。ちなみにこれとは別表で掲載されている「覚醒剤取締法違反」は、なんと65.8%です。
     ちなみに、これらの再犯率は年々上がっています。というのは、再犯の数は減ってはいるのですが、それ以上に初犯者の数が減っているから、相対的に再犯者の割合が高くなるのです。これは治安が良くなると当然の話で、もともと犯罪者でなかった人が犯罪に走るケースは激減する一方で、本当に更生しづらい筋金入りのDQNだけが相変わらず犯罪者として残っていくことになるからです。

     さて、あっさり答えが出てしまいました。
     性犯罪者の再犯は、全体平均から見ても、それ以外の主な罪名から見ても決して多いとは言えないということです。

     では、なぜこんな俗説が支持されているのでしょうか。
     私見を言うなら、それは大衆自身の「スケベ心」から来ていると思います。
     要するにエロ情報・猥談の一種としての性犯罪に対して興味津々、でもそれを正当化したいわけです。そのために性的好奇心を「安全のための情報収集の必要性」にすり替えたいんですね。

     安全のために情報を知ろうとするから、でない証拠に、アメリカでは後から性犯罪者の情報を収集しようとすればできる制度があります。有名ないわゆるミーガン法です。「子どもたちを危険から守るために必要なのだキリッ」とか言いながら作られた同法ですが、その後の運用では「実際に性犯罪者が逮捕された時、やっぱり周囲は『そんな人とは知らなかった』と言うのが普通である」そうです。
     ほらね。親が子どもの安全のためにいちいち情報チェックして勉強なんて、やらないんですよ。性犯罪そのものに出歯亀根性剥きだすことはあってもね。これ読んでる“子どもを持つ親”さんよ、あんただってやってないでしょ? そもそも実際の性犯罪の再犯率だって、ここ読むまで知らなかったんじゃないですか? ね、実際勉強してないでしょアハハハハハハハハ!

     下衆な書き方をすると
    「えっ! 性犯罪があったの! なになにどんなヘンタイ行為したのどんなプレイだったの? 被害者ってどんな娘? JK?JC?もしかしてJS? ねえねえ何されたの? 感じちゃったりしたー?」

     となるものを、オブラートに包んで
    「性犯罪者は再犯の危険性が高い。だから我々は安全のためにその情報を知る権利がある(キリッ」
     に書き換えるわけです。
     自分の性欲を正当化するために歪んだ認識に飛びつく――考えてみればこれって「女は犯されたがってる」と信じたがるタイプの性犯罪者と同じことなわけで、面白い皮肉ですよね。
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