ユーザーブロマガは2021年10月7日(予定)をもちましてサービスを終了します

第6話
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

第6話

2015-07-16 00:03

    街への帰り道、先頭をアイリーンさん次にリリさんで、三番目に俺が歩き、最後尾がミネルヴァさんの順番で歩いてた。
    ここはバベルの塔と呼ばれるダンジョンの内部で、推定100階層はあると言われている内の第1階層だそうだ。
    しょっぱなで俺は死にそうになっていたとは、なんとも情けない。
    バベルの塔はギルドに所属した者しか入場が許されない、ギルド認可証が指輪とのこと。
    この指輪があればギルドのサービスを受けることが出来る。
    サービスの内容は、バベルの塔での戦利品の換金、お金や道具の保管、クエストの斡旋、武器防具の貸出などがあるそうだ。
    バベルの塔に挑む人の事を冒険者と呼ぶらしい、なんで命をかけてモンスターと戦うのかと言うと富や名声を求める者達が大多数だという、俺もそんなだったんだろうか、今の自分の気持ち的にはそれが正解な気もするが、今はその答えは必要ないと思い考えないことにした。
    何組かの冒険者達とすれ違いとうとう出口に到着した。
    「出口に到着したぜ、早速換金所に行くぞ」
    ガンガン進んでいくミネルバさん達に遅れないように早足でついていく。
    1番から7番までの数字が書いてある看板がぶら下がっており、その下にカウンターが有るカウンターの手前側の冒険者パーティーがカウンターの奥の人物と交渉しているようだ。
    5番のカウンターには冒険者パーティーは居ないのだが、そこに行かずに3番カウンターの冒険者達の後ろに並んだ。
    「私らのパーティーは、この3番受付のオヤジに面倒を見てもらっているのさ、私が冒険者を始めた頃からの付き合いだから替えづらくてな」
    「冒険者登録も~ベルっちにやってもらったんだよね~、あった、あった」
    リリさんが背負い袋の中から漆黒の石を取り出した。
    「この真っ黒な石はね~」癒やしボイスで取り出した漆黒の石の説明をしてくれた。
    漆黒の石は魔石と呼ばれていて、モンスターの核、モンスターの命の源である。
    モンスターを倒した際にはコアである魔石だけを残してあとは灰になる。
    この魔石は高純度の魔力の塊であるらしい。
    魔石のままだと魔力を取り出せないのだ、だがギルドはこの魔石を買い取り、魔石から魔力を取り出し高純度の魔力を帯びた液体、エーテルを作り出すのである。
    エーテルは魔力で動く装置の燃料だったり、魔法道具を作る際の原料に使用したりする。
    俺の傷を治したポーションも、エーテルにいろんな薬草を配合して作るとのこと。
    ギルドはダンジョンに行った冒険者から魔石を買い取り、ギルドしか知らない魔石からの魔力抽出法でエーテルを作り、エーテルを売り利益を上げ運営している。
    冒険者はより多くの魔石を求めダンジョン入りモンスターを倒し続けるのだ。
    希に魔石以外のモンスターの特定の部位だけ灰にならずに残る時がある、それも貴重な素材で武器防具や薬に使えたりするのである。
    リリさんの魔石の説明がひと通り終わると、ちょうど前の冒険者パーティーが終わり俺達の番が回ってきた。
    換金所のオヤジとミネルヴァさんがお互いに挨拶し終えて、リリさんが魔石の入った背負い袋をカウンターに置く。
    「お願いします~」
    「あいよっ」
    オヤジが背負い袋を受け取り、中からガサゴソと魔石を出して量りの上に次々と置いていく、ミネルヴァ、リリさ、オヤジの三人で話している、その会話に入れない俺とアイリーンさんの二人は後ろで待機している。
    俺はアイリーンさんに自己紹介をしていないことに気づきアイリーンさんを見る、するとちょうどアイリーンさんもこちらを向いたのだろう、目があった。
    アイリーンさんは金髪のロングヘアを特に結うこともせず後ろに流しているだけだが、シルクのようにきめ細かくサラサラとした美しい金髪をしている。
    瞳も髪と同じで金色である、目鼻立ちがとても整っていて、どこかの国のお姫様と言われても疑いようがないほどの美人である。
    「俺は記憶喪失で名前もわからないんだけど、助けてくれてありがとう」
    「私はアイリーンです、アイリとお呼びください、私も貴方と同じようにミネルヴァ殿に助けて頂き・・・」
    アイリは下を向き、ギュッと目を瞑り消え入るような小声で「クッ!殺せ!」と言った。
    えっ?何なのこの人、初対面でなんて物騒な発言してるんだよ。
    きっとなんかの事情があるのだろう、これは触れちゃマズイよな、触るな危険だな。
    あえて触れずにダンジョンの帰り道での戦いぶりの感想を言う。
    「帰り道でのアイリさんの戦いぶりは流石ですね、どこかで剣術を習っていたりしたんですか?」
    「ん?ああ、剣術ですか、私は敬愛する父上と兄上に教わりました、そして実戦経験も必要だと言われ、こうしてダンジョンに来て・・・」
    今度は俺とは反対側に顔を背け、また消え入るような小声で「クッ!殺せ!」と言った。
    また言ったよこの人、何なの?美しい女性なのに危険な感じがする、美しいバラには刺がある、触らないほうが身のためだ。
    俺がちょっとアイリさんにひいているとミネルヴァさんが「オーイ、記憶喪失ー」とこっちを見て呼んでいるので、アイリさんに「俺呼ばれているみたいなんで」とことわりを入れてからカウンターまで移動した。
    「お前さんは記憶喪失なんだって?オレはお前さんの事を知っとるぞ」
    オヤジが言う。
    「本当ですか、教えてください!」俺は嬉しくてカウンターに身を乗り出す。
    「知ってると言ってもちょっとだけだがな、まずお前さんは今日ギルドに登録したんだが、そん時オレが登録の対応したんだぜ、んでお前さんの登録名はザッシュ、本名かどうかはオレは知らん、お前さんはダンジョンに入るための武器防具を一切持ってなかった、なのでギルドの貸出用のショートソードとスモールシールドを借りて行ったぜ、どちらも50バルで両方合わせて100バルだ、この金は記憶を失っていようが払ってもらうぞ」
    「俺はザッシュ・・・か、ありがとう、今は手持ちのお金が無いので、いつまでに支払いをすればいい?」
    「10日間は待ってやるぞ」
    「そのぐらいなら私が出すよ」
    ミネルヴァさんがすかさず100バルをオヤジに渡していた。
    この人気前がいいな、カッコいいぜ、もし俺が女でミネルヴァさんが男だったら惚れてるよ、だがあいにく両者とも性別が逆だから惚れなかったけどね。
    「ありがとう」心からの感謝を口にする。
    「いいってことよ」
    「そうそう、気にしないでね~」
    「ミネルヴァも、相変わらず世話好きだな、今度はそいつかい?」とオヤジが言う。
    「私はそんなんじゃないよ、楽したいだけさ、んじゃ換金も終わったし、とりあえずギルドから出るか」


    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。