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ブロマガ

  • 庭について:その83(1,689字)

    ここまで82回にわたって庭について書いてきた。最初の記事が2022年9月30日なのでちょうど2年である。思えばこのメルマガで一番長い連載となった。 今回が「庭について」の最終回である。そこでここでは、少し雑感というか、今思っていることなどを書いてみたい。 まず、この連載を通して発見したのは、庭というのは総合芸術であるということだ。しかも、あらゆるジャンルの上位に位置する。 この「総合芸術」という呼び方は通常建築、あるいは映画に対してなされるが、庭にはそれ以上の重要性があるように思う。また、実際にそう考えている人も少なからずいる。 庭は建築とは違う。そこには自然――取り分け植物が不可欠だからだ。例外的に枯山水という植物を用いない庭もあるものの、これもたいてい遠景には木々があるし、そもそも岩を山に見立てたりもしているので、植物と全く無関係というわけではない。 そんなふうに、庭は植物と共にある。そして植物は生き物なので、経年で大きく変化する。これが建築と大きく違うところである。建築は無機物なので、経年でもそれほど変化はしない。一年で建築自体が3メートルも伸びるなどということはない。 しか...

    1時間前

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  • 1994:その23(1,620字)

    1994年、日本の中心は渋谷だった。渋谷が文化の発信地で、けっして大袈裟ではなく老若男女にとって注目の的だった。 中でも若者にとっては一種の聖地だった。当時の社会における若者に対する注目度はきわめて高く、経済も若者中心に回っていた。だから若者の街渋谷は「経済の中心」でもあったのだ。 1990年代は渋谷が最も輝いていた時期だ。この頃の渋谷を象徴するのが「音楽」である。 渋谷と音楽には大きく二つの関係がある。一つはレコードショップが多かったこと。当時の渋谷は、世界で一番単位面積当たりのレコードショップの数が多かった。 おかげで日本全国はもとより世界中からもコレクターが渋谷にレコードを買いに来ていた。当時すでにCDは普及していたがDJ用のレコードもまだまだたくさん売っていた。だから世界中のDJにとって渋谷は憧れの街となった。 もう一つは「渋谷系」という音楽が流行ったこと。フリッパーズ・ギターとピチカート・ファイヴがその二大代表である。彼らに連なるミュージシャンも多く、総称して渋谷系と呼ばれていた。 当時、ファッションの中心だけは渋谷の隣の原宿だった。だから若者は原宿で服を買い、渋谷でレコー...

    1日前

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  • [Q&A]石破茂の自民党総裁当選についてどう思うか?(2,263字)

    [質問] 自民党総裁が石破茂さんに決まりましたが、これについてハックルさんの感想はありますか? [回答] 正直なところ何も思わないです。ぼく自身は小泉進次郎氏がベストだと思っていたので、ベストではない選択をしたのだなと思いました。 ただし、高市早苗氏にはならない方がいいという気がしたので、「次善の策」という感想です。次善の策というのはよくあるパターンなので、これでまた停滞が続くかなと思いました。 しかし一方では、この停滞はむしろ歓迎すべきことかもしれないとも思いました。この石橋の首相就任でいよいよ古い価値観の勢力は衰え、新しい勢力の勢いが増します。新しい勢力とは「超能力主義社会」で、これから数多くの企業が淘汰され、日本社会はどんどん筋肉体質になっていくでしょう。 そこへの道筋は、むしろ石破氏の方が他の候補者より早いかも知れません。なぜなら小泉進次郎氏が首相になったらなったで今度は旧勢力の抵抗が盛り上がるでしょうから、そこへの目配りも必要になってきます。そうなると、新しい時代への移行がかえって進まないというのは十分に考えられることです。 いずれにしろ、これからの日本社会は待っ...

    2日前

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  • 本質的に生きる方法:その1(1,489字)

    来たるべき「超能力社会」において、そこに参加するほとんどの人が結果的に苦しむことになる。従って、多くの人はそもそも参加せず、新たな生き方を模索した方がいい。 そしてそれは、それほど難しいことではない。産業革命まで、あるいは明治維新まで、多くの人々はそういう生き方をしてきた。 ところが、産業革命によって競争主義社会――すなわち能力社会が生まれ、それはどんどんと拡大した。第二次大戦の終戦をきっかけに拡大スピードが加速し、20世紀の終わりのインターネットの登場によってとうとう世界の隅々にまで行き渡った。 今の競争社会はオリンピックのようなものだ。世界の誰もが横一線になったので、たった一人しか勝者がいない。そうなると、多くの人を幸せにするにはオリンピックと同じように種目を増やしていくしかない。 しかし種目を増やすといっても限界がある。今年行われたパリオリンピックも、まさにそうした様相を呈していた。もはや能力のある選手しか勝てなくなったから、勝負の綾や妙味というものが限界を超えて薄れてしまった。おかげで見ていてもちっとも面白くなく、実際人気やテレビの視聴率は下がり続ける一方だ。 そうい...

    3日前

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  • 石原莞爾と東條英機:その55(1,769字)

    こうして永田鉄山は殺されてしまった。東條英機はそれを左遷先の久留米で聞いた。 この頃、東條英機は久留米で苦しみながらもなんとか部下を掌握していた。当時の若手将校は、その多くが皇道派だった。しかも久留米は、真崎甚三郎が自分の子飼いを赴任させ、固めていた。 そのため東條英機にとっては完全にアウェーだった。誰も言うことを聞いてくれなかった。それでも、東條英機というのはリーダーとしての不思議な才覚があった。天性の「人たらし」のところがあった。特にその実直さで、多くの人を魅了した。 東條英機の魅力とは何だったのか? それは、自分が優秀ではないことを知る者の強さだった。東條英機は自分が優秀ではないことを百も承知していた。それは一つには父の英教が優秀だったこと。そんな父と比べると、自分はいかにも劣っているということが幼いうちから分かっていた。 また長じてからは、永田鉄山をはじめとする一個上の先輩に優秀な人間が多かったこと。東條英機は幸運にもそんな先輩たちに勉強を教わった。そのおかげで二浪の末になんとか陸軍大学に入れた。だから先輩たちには頭が上がらなかった。 そんなふうに、東條英機は自...

    4日前

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2014/01/30 11:01

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