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これからどう生きたらいいのか?:第64回(1,796字)
2019-04-16 06:00110pt4インターネットが、人間社会を大きく変えた。
人間は、そもそも社会的な生き物だ。社会を形成することに喜びを感じるし、逆にいえば社会を形成しなければ生きていけないような仕組みになっている。
人間は、社会の従属物ではないかもしれない。しかしそれは脳と心臓のように分かちがたく結びついていて、社会がなければ人間は生きることも許されないのは厳然たる事実である。
そしてインターネットは、その社会というものを強力にエンパワーした。ブーストしたのだ。社会の仕組みを強化し、人間と社会とのつながりをますます深め、また社会がもたらす恩恵を桁違いに大きいものにしたのである。
その結果、人間の労働時間は極端に減った。そしてそれは、今も減りつつある。
そんな中で、人間にはこれまで経験したこのないような長大な「時間」が生まれることとなった。これまでのように長時間働かなくてもよくなったのだ。そのため、その生まれた長い時間の -
お金をかけずにたった三ヶ月で知的生産性を爆発的に飛躍させる方法:その19(2,225字)
2019-04-15 06:00110pt「セザンヌの絵を見る」とはどういうことか?それは「絵とは何か?」という哲学的な問いかけをすることでもある。絵というものには、「写実か印象か」という二項対立的な考え方では解決できない問題がある。例えば、絵に「輪郭線」は必要か?絵で対象物(例えば人や動物)を描くとき、そこに輪郭線は、厳密にはない。しかし人は、脳でその輪郭線を感じる。だから、古代の遺跡から出土した絵にも輪郭線が描かれているし、絵のことを何も習っていない幼児でも輪郭線を用いて描く。そのため人は、長い間当たり前のように輪郭線を用いて対象物を描いてきた。しかしルネサンス期に、輪郭線を描かないようにするというムーブメントが起こる。なぜなら、そもそも対象物には輪郭線などないからだ。そこで、線ではなく面でとらえるという考え方が生まれ、そこから遠近法が発展していった。そうして写実性がどんどん高まり、それに連れて輪郭線は過去の遺物となっていった -
誰とでも人間関係が上手くいく方法(1,842字)
2019-04-12 06:00110pt今、子育てをしている。まだ生まれて数ヶ月だし、妻がほとんど手がけているので偉そうなことはいえないが、しかし子育ての在り方はこれまでとは全く変わったと感じている。どう変わったかといえば、より本質的になったのだ。お為ごかしやごまかしが利かなくなった。簡単にいうと、ずるができなくなった。先日、公園を歩いていたら3歳くらいの息子を激詰めしている母親に遭遇した。子供が駄々をこねていたのだが、それに対して母親は、「それならお母さん帰っちゃうよ!」と完全なパワハラ・モラハラで対応していた。ぼくも、そういうやり方で人と接したことがあるので、これも偉そうなことはいえないが、もうそういう育て方――コミュニケーションの仕方は通用しない。なぜかというと、パワハラ・モラハラは「親の方が立場が上」という前提で成り立っているのだが、その前提がそもそもまやかしだからだ。その母親に限らず多くの親は、子供を育てて「あげている -
明日のライティング術:第22回(1,781字)
2019-04-11 06:00110pt次に、ライティングの構造における「仮説」の役割について見ていきたい。
文章は、まず導入で引きつけた後に、問題提起でメインとなるテーマを提示する。このとき、そのテーマは読者にとっても興味があるようにするのはもちろんのこと、自分にとっても興味があるようにする。そうして、自分の熱意もそこに込める。その上で、今度は仮説を提示する。
仮説というのは、一つの結論でもある。推理小説でいうなら、探偵が「犯人はあなたです!」と宣言するようなものだ。つまり、文章に強い方向性を示すものである。
仮説の「作り方」については、ここまで見てきた。そこでここでは、文章の構造における第3段階の「仮説」は、第2段階の「問題提起」をどう受け継ぎ、第4段階の「検証」にどう受け渡していくか――ということについて詳しく見ていきたい。
仮説というのは、作者が最も読者に伝えたいことである。その意味で、それは一つの「結論」といってもいい -
[Q&A]PTAに参加しないためにはどうしたらいいか?(1,542字)
2019-04-10 06:00110pt[質問]
私は新任の管理職(38歳男性)です。企業において自部門の抵抗勢力と戦い、統治する方法・心構えについて教えてください。
女性ばかりの間接部門です。仕事は非常に後ろ向きで部員同士の仲も悪いのですが、自分たちの仕事を増やそうとするような敵と対峙する場合には団結する傾向があります。中にはやる気のある若手女性社員もいますが、お局社員の牽制もあり、恐怖心から大っぴらに行動はできないようです。退任まで数年の男性部門責任者(取締役)は逃げの一手です。
一年ほど前に部門の改革を長期的なミッションの一つとしてとして送り込まれました。初年度は業務を理解しつつ部員から信頼を得ることに注力し、また部員の人間性や人間関係について観察してきました。今年度から管理職となり、一定の人事評価権をもって本格的に行動を開始する計画です。
分割統治の手法が参考になるのではと考えていますが、有用な書籍がありましたらご紹介く -
これからどう生きたらいいのか?:第63回(2,270字)
2019-04-09 06:00110pt自分の個性を活かすためには、まず自分の長所を知らなければならない。
そして自分の長所というのは、えてして自分の欠点としてとらえている場合が多い。なぜなら、それは他人から欠点であると散々指摘されているからだ。そして散々指摘されているということは、それにもかかわらず矯正できていないということでもある。もし矯正できていたら、それはもう欠点ではなくなっているはずだからだ。
そういう「他者から指摘されても矯正できないほどの強い癖」が、その人の個性である。従って、それは欠点のように思えるものの、使い方によっては大きな長所へと変化する。なぜなら、その個性こそが、価値観が多様化して標準的なものの価値が下がった現代及び未来において、希少性を発揮し大きな価値となるからだ。
だから、自らの個性を活かしてこれからの時代を生きていこうと思ったら、まずは自分の欠点を知らなければならない。次に、それを長所に転換する方法 -
お金をかけずにたった三ヶ月で知的生産性を爆発的に飛躍させる方法:その18(2,689字)
2019-04-08 06:00110pt美的感覚を飛躍的に高めるために、その絵を学んだ方がいい画家とは誰か?
その審美眼を真似、自分のうちに取り込むべき画家とは誰か?
それはポール・セザンヌである。セザンヌこそ、美的感覚を学ぶには最適の画家だ。
ところで、現在のところ世界で一番高価な絵は、実質的な取引がないレオナルド・ダ・ヴィンチをのぞくとセザンヌである。なぜかといえば、それは彼の絵が美しいからというのもあるが、それ以上に彼の美的感覚や美術史の中における立ち位置が、今なお人々を刺激するからだ。
セザンヌの絵は現代人にとっても――いや現代人にとってこそ――きわめて刺激的である。現代の価値というものに鋭敏な人間――とりわけビジネスマンが、そこから学び取りたいという美的感覚が、セザンヌには潤沢に宿っている。
だから、セザンヌの絵は高く売れる。それは、彼の絵を見ているとビジネスにとって何より大事なインスピレーションをそこから得られるから -
お金をかけずにたった三ヶ月で知的生産性を爆発的に飛躍させる方法:その17(1,592字)
2019-04-05 06:00110ptここからは、一人の画家について深く知ることで、その美的感覚を丸ごと体の中に取り組んでいく――ということを目指す。そうすることで、自分の中の美的感覚を深めていく。美的感覚が深まれば、価値判断についての見識が深まり、審美眼が身につく。審美眼が身につけば、物事の正誤を違うことなく判別できるようになる。
なぜかといえば、正しいことというのはたいてい美しいからだ。そして誤りというのは、たいてい醜い。これは逆のこともいえて、この世は美しいものこそ正解なのである。その反対に醜いものは誤りなのだ。
だから、審美眼を身につけることは非常に重要なのである。それは文字通り人生の羅針盤だ。
人生は決断の連続である。そこかしこに分かれ道が現れるので、そのたびにどちらへ進むか選択をしなければならない。自分自身で審美眼を発揮しなければならない場面は無数にある。
そのため、人生の良し悪しは審美眼の良し悪しによって決まると -
明日のライティング術:第21回(2,358字)
2019-04-04 06:00110pt3の「エコロジカルな関係を構築する」というのは、1の「読者の利益に資する」、2の「作者の利益に資する」という両者を上手くバランスさせることである。そして相互補完的にさせるということだ。問題提起においては、その部分を特に留意しなければならない。
では、どうすれば両者をバランスできるか?
ここに、一つの目指すべきポイントがある。それは、問題提起をすることによって、読者の興味を喚起するとともに、作者の興味・関心の本質をも掘り下げていくということだ。そして、それは「議論」に近い。つまり問題提起においては、そこを議論の場――とりわけ「自分内議論」の場とすることが重要なのだ。
では、「自分内議論」とは何か?
その前に、まずは「議論」について見ていきたい。
「議論」というのは、人間の思考にとってはきわめて有効なソリューションだ。それは、相手の意見を聞くことによって考えが深まる場合があるからというのもある -
[Q&A]「令和」についてどう思うか?(1,459字)
2019-04-03 06:00110pt[質問]
今週のニコ生、イチローについて話を聞けると思って楽しみにしていました。新庄は高校時代から大リーグ級で、イチローはそこまでではなかった、など興味深い話も聞くことができました。でも、まだまだ話し足りない部分もあるのではないでしょうか? よかったら、その続きをお聞かせください。
[回答]
イチロー選手は日本で記者会見することに不思議な感慨を覚えていたんだと思います。それは誰もほとんど指摘しないことなのですが、イチロー選手はとても言葉をだいじにします。そのためアメリカで会見するときも必ず通訳を立てて日本語で受け答えしているのです。そうしないと細かなニュアンスが伝わらないと考えているからです。イチロー選手にとっては、細かなニュアンスが大切なのです。ですから、英語で記者会見するときにはいつももどかしさを覚えていました。
彼は、日本語で話すのが大好きなのです。そして、引退の記念すべき会見を日本
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