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迫り来るU、くり出した秘策(1,677字)
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迫り来るU、くり出した秘策(1,677字)

2019-05-24 06:00
    ラガーマンとして人生最大のチャンスを迎えたぼくは、走った。もう目の前には、たった一人の相手選手しかいない。彼を抜けば、独走してのトライが決まる。

    ぼくは今でも、ときどきこのときのことを思い出す。もしあそこで、相手選手を抜いていたらぼくの人生はどうなっていただろうか?

    おそらく、何も変わらなかったはずだ。それでも、そのトライは見事なものにはなって、ぼくの活躍は称えられただろう。A組の優勝は、もしかしたらYの功績ではなく、ぼくの手柄だと褒めそやされたかも知れない。
    そしてそうなると、高校時代からイジられキャラだったぼくのこと、クラスのみんなや知らない人からも、こう言われたに違いない。

    「岩崎、すげえな! ラグビー上手いじゃん」
    「おまえ、ラグビー部入っちゃえよ。おまえなら、レギュラーなれるよ」

    前年、野球同好会からはBがラグビー部に入ったが、彼はそこで精神を病み、学校にも来なくなっていた。だから、そのこと
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