ハックルベリーに会いに行く
本質的に生きる方法:その11(2,110字)
フランク・ロイド・ライトの建築は「アール・デコ」のスタイルがベースにある。「アール・ヌーヴォー」を用いたことはない。それは、近代のテクノロジーに対して、深いところで共感あるいは賛同の気持ちを持っていたからだ。
ただし、それでいながらアール・デコをそのまま踏襲するのではなく、大きな「アンチテーゼ」を提唱している。
それは、アール・デコの建築に特徴的な鉄骨の作り出す「直線」を、アール・デコ自体はエンパイアステートビルディングに代表されるように垂直方向つまり縦に伸びていったのに対し、ライトの建築においては水平方向つまり横に伸ばしていったことだ。
なぜそうしたアンチテーゼを提唱したかといえば、それはアール・デコにおける縦への直線が、デザインにおける大きな「弱点」ともなっていたからだ。
なぜ弱点になっていたかというと、直線が縦に伸びることで、人々に大きな「威圧感」を与えてしまっていたからだ。それによ