石原莞爾は宇垣一成の首相就任を阻止した。しかし石原は後にこれを後悔することになる。なぜならもし宇垣が首相だったら軍縮を実現させ、それによって中国との戦争を食い止められたかもしれないからだ。

石原は中国との戦争を絶対にやめたかった。なぜなら、中国を味方に引き入れないと、来るべきアメリカとの戦争に勝てないと思っていたからだ。
しかしこの頃、アメリカと戦争になるなどとは誰も思っていなかった。それよりも、中国を支配することがほとんどの人の目標だった。そのため陸軍は、中国の北の地域やモンゴルに働きかけ、独立戦争の画策をしていた。その混乱に乗じて、中国を乗っ取ろうとしたのだ。

それは石原の思惑に反するところだった。だからそういう方向に反抗できる首相を立てなかったのだが、しかし宇垣ではダメだった。それは石原が宇垣が決定的に嫌いだったからだ。人としてダメだった。それは、宇垣が俗物だったということもあるが、