ここ20年くらい、ぼくは建築あるいは空間についてこだわり、研究してきた。なぜかというと、今から20年ほど前に、人間の生き方を決定づけるものこそ「空間」だと気づいたからだ。そして空間を本質的にすれば、本質的に生きられる。逆に空間を非本質的にすれば、非本質的な生き方にしかならないと分かった。

そこからぼくは「本質的な空間とは何か?」ということを追求してきた。それを追求すれば、おのずと本質的な生き方ができるようになれると考えたからだ。あるいは生き方の本質度を上げていけると思った。

生き方の本質度を上げる理由は、そうでないと率直に生きにくいからだ。2010年代までは、はっきりいって「本質」は逆風だった。社会が固着化し、非本質的な生き方の方がずっと有利だった。だから、非本質的な人が世の中にはびこった。今でも、そのときのことを引きずっている人は多い。

しかしまずインターネットがその価値観を根底から覆し