「出る杭は打たれる」という言葉が昔からある。意味は、日本人は能力の高い人間をよってたかって潰そうとする村社会、という意味だ。従ってイノベーションが生まれにくい。

しかし同時に「出過ぎる杭は打たれない」という言葉がいつの頃からかあった。最近ではイチローがこの言葉を使っていたが、日本人というのは不思議なもので、あるところまでは能力者を抑えにかかるが、それを超えると今度はとたんに持ち上げ始める。これは実は昔から日本にあった。

近代以前の江戸時代でも、たとえ身分は低くても能力さえあれば重用するという文化はずっとあった。なにしろ幕末の主役たちは皆身分が低かった。西郷隆盛も勝海舟も、武士といえば武士だがほとんど町人と変わらないような身分だった。彼らを島津斉彬や徳川慶喜といった、封建社会におけるトップ中のトップが引き上げたのだ。

西郷も勝も「出る杭」だった。だから若い頃はさんざん打たれている。福澤諭吉や