人間というのは土を動かす、あるいは土を作るため――つまり「土を育むため」に生まれてきた種族である。人間ほど、土を作ったり土を動かしたりするのが得意な生物はいない。そして土は、あらゆる生命にとっての源である。土が命を育む。

だから土が育まれれば、生命も育まれる。おかげで人間が生まれて以来、たくさんの命が育まれてきた。実は人間が誕生してから、生命はより多様になったのだ。

そうして人間は、土を育むことによりのめり込んだ。土を育めば育むほど、生命は豊かになり、それによって人間もまた豊かになるからだ。

ところで、人間が土を育む上で、最も重要なのは指と足である。指は土をこねたりすくったりしやすいようにできている。つまり動かしやすいようにできている。足も同様で、土を持って移動させるのにもってこいの機能だ。指や足以外にも、そもそも人間の全身が、土を運ぶために最適化されている。

そうして人間は土をせっせと育