人間と道具の関係は計り知れないほど深い。「旧石器時代」という言葉があるように、人間はその最初期から道具を使っていたことが確認されている。人間はそもそも「道具を使う生き物」なのだ。

なぜ道具を使うかといえば、それは「手」と深く関係している。人間の手が、そもそも道具を使うためにこれ以上ない形をしているのだ。
いや、逆にいえば人間の手が道具的なのである。人間の意思によってさまざまな形で動かせる。こうした部位は実は他にほとんどない。

人間が自分の意思で動かせるのは手足と首、そして顔ぐらいである。ときどき大胸筋を動かせる人もいるが、限られている。内臓を動かせる人はほとんどいない。

そしてそんな限られた動かせる部位の中でも、取り分け指だけが制御精度が桁違いに高い。だから人間は、どうしたって指を中心とした生活になる。指を中心とした生き方になる。

人間の手は何より者をつかむのに便利である。特に土を