
1994:その52(1,652字)
1994年1月1日、時計の針が0時を回るその瞬間は、秋元さん、察男さん、吉野さん、Oくんの5人でカジノで迎えた。そこでルーレット卓を囲みながら、店のスタッフと周囲の客とが発するアメリカ式のカウントダウンを聞いた。
そうしてぼくはいよいよこの連載の主題である「1994」年に突入した。そんなふうに、ぼくは1994年をバハマで迎えたのだった。この連載を長らく書いてきたが、今の今まで忘れていた。
そのバハマのカジノで迎える1994年は、まるでアメリカ映画の一シーンのようだった。体育館くらいの広さはあるが、天井が低いカジノのホール。室内全体は薄暗いが、各卓は目映い光に照らされた独特の雰囲気を醸し出すその空間に、皆が唱和する「スリー・ツー・ワン・ハッピーニューイヤー」の声が響き渡る。
ぼくら5人もそれに追随し、下手くそな英語でもこのときだけは恥ずかしがらずに大きな声を出した。そうして新年を迎えた
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