皆さんにも家があるだろう。持ち家でも賃貸でも、一軒家でも集合住宅でも、そこに住んでいる以上、どこにも必ず玄関はあるはずだ。
いや、およそありとあらゆる建物に玄関はある。建物における玄関有無のパーセンテージは100といっていい。どんな建物、どんな家にも絶対に玄関はある。

それにもかかわらず、99%の人が玄関について真剣に考えたことがない。建築家はさすがに少しは考えるだろうが、一般人が真面目に「玄関論」について熱く語るのを聞いたことがない。議論を聞いたこともない。皆玄関の存在は知っているが、それについて語る言葉を一つも持っていないからだ。言葉どころか、意識すら持っていないだろう。

玄関論についてわずかに持っているとすれば、それは「狭さ」に関してだ。狭い玄関の場合、少なからずの人がその不便さは意識する。「この玄関、狭くて使いづらいなあ」とは思う。
ところが、肝心なのがここからで、思うだけで、