
石原莞爾と東條英機:その90(1,861字)
1940年、陸相に就任した東條英機は、その辣腕ぶりを発揮する。陸軍からは軍の要求(すなわち日中戦争の継続)を政府に対して強く申し入れる「交渉者」として、また政府にとっては、これまでの陸相とは違った話の通じる「相談者」として、どちらにとっても得がたい「協力者」となった。
東條はもともと八方美人の「調整者」で、上下左右、誰とも仲良くすることができた。しかしそれは凡人のときに限り、強烈に頭の良い人が相手だとどうにもコンプレックスが発動し、萎縮してしまう傾向があった。
東條英機の人生には3人の天才がいる。陸軍大学初代首席卒業者の父・東條英教。運命の師・永田鉄山、そして石原莞爾である。父と永田は心から愛したが、石原だけは心から憎んだ。いや、憎しみは愛の裏返しなので、石原に対しても愛を抱き、強烈な尊敬の心を持っていた。
だからこそ、石原から疎まれることは東條自身が理解できなかった。父や永田との関
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