ハックルベリーに会いに行く
東條英機は寝返った。内大臣・木戸幸一と昭和天皇の策略で、首相に据えることの交換条件として、開戦派から非開戦派に一瞬にして寝返ったのだ。
木戸は、「東條は首相になりたいだろう」と読んでいた。東條は巧妙に隠していたが、そういう出世欲が垣間見得た。木戸はその東條の秘めたる欲を利用した。総理大臣に就ければ、こちらの言うことを聞くだろうと目論んだのだ。
その目論見は確かに当たった。東條はこの瞬間まで、自分が総理になれるなどということは露ほども想像していなかったが、いざ打診されてみると、その魅力は余りにも大きかった。交換条件として何を出されても、それに抗えなかった。そうしていとも簡単に、非開戦を約束したのだ。
それで木戸と天皇は万々歳となった。先行きは明るく見えた。このアクロバティックな人事が、日本を窮地から救ってくれそうに思えた。
しかし二人はまだ知らなかった。寝返る男は、また寝返るのである
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