1973年秋期四国大会。愛媛県・松山球場で行われた一回戦第一試合は、優勝候補の高知高校と、どん尻候補の池田の対戦だった。

先攻の池田は一回表、先頭バッターの雲本博が出塁すると、サードまで塁を進めた。その後ツーアウトとなるのだが、ここでなんとホームスチールを敢行する。結果はアウトだったが、池田の積極的な攻撃が、相手チームに少なからぬプレッシャーを与えることとなった。

三回表、池田の攻撃は再び雲本からで、先ほどのホームスチールがあったから、相手にも緊張が走った。すると、そのプレッシャーが効いたのか、雲本のセカンドゴロを相手がエラーし、出塁となる。さらに、盗塁を警戒する余りに何度も牽制球を投げさせ、ついにはそれが暴投となり、ノーアウト三塁の大きなチャンスを迎える。

この場面、通常の蔦文也監督だったら文句なくスクイズバントのところである。しかしここは四国大会で、相手は優勝候補の高知高校。宿敵