ハックルベリーに会いに行く
『はだしのゲン』の中に、戦争中、道に描いた角を生やしたルーズベルトとチャーチルの似顔絵を、広島の子供たちが踏みつけるというシーンがある。ぼくがこれを初めて読んだ子供のときには意味が全く分からなかったが、今はその心情がよく分かる。
要は、日本人は両者のことが憎くてしょうがなかったのだ。特にルーズベルトが憎かった。日本人にとって、ルーズベルトはまさに赤鬼そのものだ。日本の財産を横から奪う、悪の象徴みたいな人物だった。
それは桃太郎における鬼ヶ島の鬼そのものである。それで昔話の桃太郎は戦中に一気に広まった。大東亜戦争は鬼を退治する正義の戦いであるというのは、日本人にとってこれ以上なく分かりやすいナラティブだった。
そうして桃太郎は日本で一番有名な昔話になった。これがルーズベルトのおかげ(せい)というのが、なんとも皮肉な話である。
ルーズベルトは、東部出身の名家の出の高身長の白人で弁護士と
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