『耳をすませば』という映画は、オープニングが夜なのに、そこから周到に夜を描かない。しかし最後の最後にまた夜を描くという見事な構成になっている。これは構成を意識しなければ絶対に気づかないが、しかし意識せずとも無意識に訴えかけてくる強い力がある。

それは、人間だったら誰しもが夜に対する特別な思いを持っているからだ。その特別さとは、前回にも書いたように恐さとやさしさという二つのアンビバレントな思いである。人は夜に複雑な感情を抱いている。逆にいうと人間に必要な複雑さを学ぶ場所こそ夜ともいえよう。

地球上のどの場所であっても、一年の半分は昼だが、半分は夜である。そして赤道に近いほど、夏至と冬至の時間差が少ない。日本は赤道と北極の中間くらいの緯度にあって、これがいわゆる「四季がある」といわれることの所以ともなっている。

それだから、日本の建築にはきわめて大きな特徴がある。それは「軒」を重視すると