1942年前半、日本がまだ快進撃を続けていたときの東條英機は、よく市内に視察へと出かけた。当時、戦争に突入したことから食料が配給制になっていたのだが、そのことによって食料を分配する役人の権力が上がった。それで役人が市民に威張るという光景が全国で見られるようになった。

東條は、それを戒めるために市内を見回ったのだ。そして実際、態度の悪かった役人をその場でどやしつけるということを何度もしている。

首相の東條が役所の職員をどやしつけている姿は、普段から威張っている小役人がヒーローにコテンパンにされるという構図で、まさに水戸黄門そのものだった。だから、市民からの評判はとても良かった。皆が東條のことを褒めそやし、マスコミもこれを盛んに報道した。

それで東條も気分が良くなった。そうしてますますヒーローを気取るようになるのだが、そんなふうにここへ来て、東條の独裁者的なキャラクターがにわかに目立つよ