ぼくは中学生のときに目を悪くして以降、あえて目を使わないようにした。力が強すぎるのでそれをセーブするようにしたのだ。すると人生が好転した。目はそれ以上悪くならなかったし、またほかの感覚が発達するようになったからだ。

取り分け触覚が発達した。だから触覚と視覚はトレードオフの関係にあるのかもしれない。よく目が見えないと聴覚が発達するといわれているが、触覚も発達するのではないだろうか。

目の見えない人がピアニストになったり按摩になったりするのも、聴覚と同時に触覚が発達するからだと思う。両者とも実は触覚、特に指先の鋭敏さがないと成立しない職業だからだ。

ぼくの場合も、指先の触覚が発達したと思う。特に細かな作業がより得意になった。ぼくは東京藝大建築科を受験する際、絵を描いたり模型を作ったりする課題に迫られた。その際、どうしたって手先の器用さが求められたが、それは目を使わなくなったおかげで発達し