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なぜぼくは教えるのか?(1,749字)
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なぜぼくは教えるのか?(1,749字)

2014-10-31 06:00
    「もしドラ」が出てから5年。
    その間、いろいろな仕事をしてきたが、ぼく自身、自分が最高のパフォーマンスを発揮できているなと感じたのが、「人に何かを教えること」――すなわち教師だった。
    教師としてのぼくがどういうものかは、先日からYouTubeに動画を上げているので、下記を参照されたい。

     岩崎夏海が福岡の九州大学で2014年10月11日に特別授業を行った!(1/6)

     岩崎夏海が福岡の九州大学で2014年10月11日に特別授業を行った!(2/6)

     岩崎夏海が福岡の九州大学で2014年10月11日に特別授業を行った!(3/6)

    岩崎夏海が福岡の九州大学で2014年10月11日に特別授業を行った!(4/6)

    教えるとき、ぼくに特徴的なのは、ほとんどアドリブで喋っているということだ。教えることは、ぼくにとってはインプルヴィゼーション(即興)なのである。
    だから、自分でも何を喋ったか覚えていない。瞑想状態となって、無意識の領域にある言葉を吐き出しているからだ。

    おかげで、後からVTRを見ると「こんなことを言っていたのか」と驚かされる。ときには「いいこと言うな」と感心させられることもある。自分が喋ったこととは思えないから、他人事のような感想となるのだ。

    そういう精神状態は、なぜか人に教えるときだけ発揮される。
    「なぜか?」と書いたが、理由は分かっている。それは、そこに「生徒」がいるからだ。生徒は、ぼくが無意識の領域に踏み込むためのトリガーだ。彼らがいなければ、ぼくは無意識の領域に踏み込めない。

    ではなぜ生徒がいると無意識の領域に踏み込めるのか?
    それは、生徒を前にすると、「彼らの内に隠されている言葉を引き出さなければならない」と思うからだ。生徒は、彼らの心の内に彼らが聞くべき言葉を持っている。ただ、それにはまだ「言葉」そのものが与えられていない。喩えていうなら、お腹の中に胎児がいるが、まだ生まれていない状態だ。

    それに対し、ぼくは産婦人科医だ。彼らの心の中の言葉を取りあげ、形を与える。
    そういうイメージで、ぼくは生徒を前に話している。そうして、彼らの心の声に耳を澄ます。話す際、目を閉じているのはそのためだ。目を閉じると、彼らの心の声によりアクセスしやすくなるのである。

    そうやって生徒の心の声に耳を澄ますとき、ぼく自身の自我が消える。そして、瞑想状態になる。だから、無意識にアクセスできるのだ。
    これが、講演で一般聴衆を前にして話すと、ここまで瞑想状態になれない。なぜなら、少なからず遠慮が生じてしまうからだ。
    それは、「彼らはぼくの話を聞きたくないのでは?」という遠慮だ。言い換えるなら、「彼らは自らの内に聞くべき言葉を持っていないのでは?」という「疑い」である。そういう疑いを抱いてしまうと、もう瞑想状態には入れなくなる。

    それが、生徒相手には信頼を抱ける。「彼らは言葉を待っているからこそここに来た」という確信を抱ける。
    だから、集中して彼らの声に耳を澄ませられる。そうして、瞑想状態に至り、無意識にアクセスできるようになるのだ。


    ぼくのここ5年の営みは、ほとんどこの無意識の領域にアクセスする力を磨くことに充てられた。だから、教えることのパフォーマンスが次第に高まってきたというのは、自分でも感じるところだ。
    そのパフォーマンスをもっと多くの人に届けたいという思いから、2014年7月、ぼくは「岩崎夏海クリエイター塾」を始めた。ここには、自らの内に隠された言葉を聞きたいと考えている20名の生徒たちが集った。だから、ぼくは遠慮なくその言葉を取りあげ、形を与えることができている。

    そういう場を、これからも継続していきたい。その思いから、来年――2015年1月に、岩崎夏海クリエイター塾の第2期を開始することとした。
    その生徒を、募集している。
    自分の内に隠されている言葉を聞きたいという人は、ぜひ参加していただけたらと思う。

    また、塾の内容をもっと詳しく知りたいという方のために、11月8日(土曜日)午後に、渋谷でサロンを開催する。そこでは、集まった方々に、ぼくが無意識の領域にアクセスして話す言葉を聞いてもらおうと考えている。


    詳細は、以下の動画、あるいはリンク先に記載してあります。
    よろしくお願いします。

    「岩崎夏海のエンタメサロン2014年秋」11月8日(土)に開催いたしします! - YouTube

    岩崎夏海のエンタメサロン 2014年秋 - 源氏山楼
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