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明日のライティング術:第12回(1,563字)
2019-01-24 06:00110ptクイズの出題パターンの三つ目は、「概念の組み立て(分解)」である。
例えば、「牛、鬼、カタツムリの三つに共通するものは何?」というクイズが出たとする。すると、この三つの特徴を思い浮かべ、その共通項を探さなければならない。
このとき、回答者にはとても高度な思考が要求される。それは「概念の分解」だ。
この問題を解くとき、まずは三つの動物の特徴を思い浮かべなければならない。それをしてからでないと、共通するものは見つけられない。
そこで、例えば「牛の特徴」から考えてみる。「牛の特徴」とは、牛という存在を構成する概念的な要素のことだ。別のいい方をすると、牛という概念を分解したもののことである。簡単いうと、それを聞くと牛を思い浮かべるもの、のことだ。
つまり、「概念を分解する」というのは、連想ゲームを逆にするようなものだ。「連想ゲーム」とは、複数の特徴によって組み立てられたものを推理するゲームだが、「 -
明日のライティング術:第11回(1,863字)
2019-01-17 06:00110pt仮説を組み立てるためには「推理力」が不可欠だ。そして推理力を鍛えるためには、推理の手がかりとなる「感性」を鍛える必要がある。
「感性」とは、「違和感」のことである。あるいはその逆の「アハ感」のことだ。
例えば、小説によく出てくる名探偵は、事件の捜査に際し必ず最初に違和感を抱く。またその違和感が、最終的に事件解決のきっかけともなる。なぜなら、そこで名探偵が違和感を抱かなければ、重要な証拠は見過ごされていたからだ。そこで名探偵が違和感を抱き、その解消に乗り出したからこそ、はじめて事件の謎が暴かれる。
「アハ感」もこれと同じである。違和感が捜査の始まりを告げるのだとすれば、アハ感は捜査の終わりを我々に教えてくれる。
名探偵は、真犯人に辿り着いたとき、何とも言えない手応えを感じる。それまでの捜査では得ることのできなかった、収まるところにぴったりと収まった気持ち良さを感じるのだ。
そのため、推理力を -
明日のライティング術:第10回(1,803字)
2019-01-10 06:00110pt現代のライティングには仮説を立てることが必要だ。そして仮説を立てるためには、クイズに習熟する必要がある。
なぜなら、クイズを解くには「推理力」が必要なのだが、クイズの出題パターンを覚えていくと、推理のパターンというものも習得でき、仮説を立てることの能力が上がるからだ。
だから、まずはクイズの出題パターンを理解していくことが重要なのだが、それは大きく4つある。
1つ目は「穴埋め」だったが、今日は2つ目を見ていきたい。
クイズ出題の2つ目のパターンは「ジグソーパズル」である。単純に「パズル」でもいい。セパレートされたピースを、最適な形でマッチングさせることだ。
ジグソーパズルをくり返していると、必ず出くわす現象がある。それは、「ハマっているようでハマっていない」というものだ。
ジグソーパズルの切れ目というのは、いくつかのパターンに収斂されるので、ときに凄く似た形が出現する。そして似た形を見つけ -
明日のライティング術:第9回(1,743字)
2018-12-27 06:00110ptこれからのライティングには「仮説」が不可欠だ。仮説を立てられるようにならなければいけない。
そして、仮説を立てるためには「推理力」を鍛える必要がある。なぜなら、仮説を立てるということは、手持ちの情報をもとに推理を構築することに他ならないからだ。
では、推理力を鍛えるためにはどうすればいいか?
それは、「クイズ問題を解くこと」である。なぜなら、巷に溢れるクイズ問題は、基本的に回答者の推理力を試しているからだ。
単に知識力を競うだけでは学力テストになってしまう。学力テストだとエンターテイメント性がないので、解く人が飽きてしまう。
解く人を飽きさせないためには、その人の推理力を問う必要がある。それは、推理力を問うと解く方も「これなら解けるかもしれない」と思って興味が湧くからだ。解こうというモチベーションが生まれる。そうしてエンターテイメント性が担保されるのだ。
そのため、あらゆるクイズ問題には「 -
明日のライティング術:第8回(2,056字)
2018-12-20 06:00110pt仮説を構築できるようになるためには、どうすればいいか?
それには、まずは推理力を鍛えるといい。
推理力を身につければ、それを援用してさまざまな仮説が立てられるようになる。
では、推理力はどうすれば鍛えられるのか?
それには一つ、簡単で有効な方法がある。何かというと、「クイズ」を解くことだ。
その昔、テレビで「アメリカ横断ウルトラクイズ」という番組をやっていた。
中学生の頃、ぼくはこの番組にかなりハマった。特別番組として年に一度、四週にわたって放送されるのだが、テレビにかじりついて見ていた。それこそ息をしないで見つめるくらい夢中になっていた。
なぜそれほど夢中になるのか、当時は分からなかったが、今思うと「クイズを解く」という行為に非常なる興味を見出していたからだろう。
なぜ興味を見出していたかといえば、クイズを解けば推理力が鍛えられると本能的に分かっていたからだ。
当時のぼくは、推理力が貧弱 -
明日のライティング術:第7回(1,729字)
2018-12-13 06:00110pt現代のライティングにおいては、仮説の構築がだいじになってくる。
なぜなら、ライティングは基本的にライターが「読者の知らないこと」を書かなければならないのだが、情報化社会が進んだ現代においては、読者が知らないことというのは絶対的に少なくなったからだ。生半可な情報では読者の「知らないことを知りたい欲求」を満たすことができなくなった。
それでもライターは安定的・継続的に読者が知らない情報を提供していかなければならない。そこで必要となってくるのが「仮説」である。仮説は、ライターが自分で構築したものであれば基本的には読者が知らないことだから、そこで読者の「知らないことを知りたい欲求」を満たすことができ、読むことの満足度が高まるのである。そうしてライターも、プロとして生きていける可能性が高まるのだ。
では、そもそも仮説とは何か?
仮説の本質とは何か?
どうすれば仮説を構築できるのか?
――以上の三つが -
明日のライティング術:第6回(1,919字)
2018-12-06 06:00110pt2現代のライティングは、「情報化社会」ということとは切っても切り離せない。というより、人間社会は常に「情報化」というものとは切っても切り離せない歴史を辿ってきた。情報化こそが、人間社会を大きく変えてきた。また、大きく進化させる源となってきたのである。
我々人類は、これまで大きく五つの「情報化革命」を経験した。
一番目が、5000年前に文字が発明されたとき。これによって、初めて情報が「時代」を超えるようになった。知識が時代をまたいで受け継がれるようになったのだ。
二番目が、3000年前に「紙」が発明されたとき。これによって、情報は「場所」を超えるようになった。それまで、字は石碑に刻み込んでいたので、なかなか場所を越えることがなかった。しかし紙の発明によって、情報は世界中に広まることとなる。
三番目が、500年前に活版印刷が発明されたとき。これによって、情報は「数」を超えるようになった。これまで -
明日のライティング術:第5回(2,279字)
2018-11-29 06:00110ptライティングにおいてはオチが重要だ。
そしてオチをつけるためには、書き手が「伝えたいこと」を持っておく必要がある。
「伝えたいこと」というのは、詰まるところ「情報」のことだ。それも、読む人が知らないであろう情報である。
だから、書く上でのポイントとなるのは「情報を得ること」だ。普段から、質の高い情報を定期的・継続的に収集しておく必要がある。そういう、いわゆる「情報収集能力」が求められる。
では、情報収集能力はどうすれば養われるのか?
今日は、そのことについて見ていきたい。
ただ、これについてはそう難しく考える必要がない。というのも、情報収集には古今東西、確立された基本の方法があるからだ。そしてそれは、ここであらためて述べるまでもないくらい当たり前のことだ。
何かというと、「ニュース」である。ニュースに触れるということだ。特にテキストのニュースを読むということだ。それが、あらゆる情報収集の基 -
明日のライティング術:第4回(1,938字)
2018-11-22 06:00110ptライティングにおいては、オチが重要である。オチがなくてはならない。
そのため、まずは「オチがない状況を避ける方法」について見てきた。それは「逆算」だ。最初にオチを設定して、そこから逆算して前文を構成すれば、オチのない話というのは周到に避けられる。
ところで、ここであらためて「オチとは何か?」ということについて考えてみたい。
ここまで、それは「話のポイント」だと説明した。つまり、「筆者の言いたい」ことである。筆者に言いたいことがなければ、ライティングは成立しない。なぜなら、言いたいことがない文章を、ほとんどの人は「読みたくない」と思うからだ。そして読みたい人がいなければ、文章を書く意味は極端に薄れてしまう。とりわけプロにおいては、その価値を無にしてしまう。
だから、言いたいことがあるというのは重ね重ね重要なのだが、ここではさらに一歩踏み込んで、「言いたいこととは何か?」ということを考えてみた -
明日のライティング術:第3回(1,945字)
2018-11-15 06:00110ptライティングにおいてしてはいけないことの3つ目が「「オチがない」ということである。
では、「オチ」とは何か?
それは、オチがない話しをしたとき、多くの人がするリアクションから定義することができる。オチがない話しをされると、ほとんどの人はこうリアクションする。
「だから何?」
つまり、その話しの「ポイント」が分からないのだ。その話しによって「何を伝えたかったか」が分からないのである。だから、「だから何?」と聞き返すのだ。
逆に考えると、人は誰かの話を聞くとき、必ずと言っていいくらいにそこにオチを求める。オチを求めるということは、そこから「相手の言いたいことは何か?」ということを汲み取ろうとするのである。話しのポイント、話すことの理由を読み取ろうとする。
これは、文章を読むときも全く一緒である。いや、文章を読むときの方が、人の話しを聞くとき以上にそうした気持ちが強いかも知れない。読者は、その文
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