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記事 8件
  • Vol.065 結城浩/講演『数学ガール』の誕生(10)/「教えること・学ぶこと」をTwitter上で考える/

    2013-06-25 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年6月25日 Vol.065
    はじめに - マシンが復旧しました
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読いただきありがとうございます。
    先週「マシンが壊れた!」というお話をしましたが、 あれから無事に修理されてマシンが帰ってきました。
    故障箇所はThinkPadのSSD、つまりファイルを保存している二次記憶装置の不調で、 結果的にSSDの交換(ハードウェアの交換)という対処になりました。 これは結城の側でどうこうできる問題ではなかったので、 サポートセンターにさっさと送ってしまったのは功を奏したことになります。
    故障を起こしたのはたまたま保証期限が切れる数日前(よかった!)。 SSDをすべて交換したけれど費用はまったくかかりませんでした。 おまけに、カバーの一部分が壊れていたのも併せて無償で交換してくれました。 さらにはマシン全体がクリーニングされてきたので、 結果的に新しいマシンを購入したような気分になりました。 ありがたいことです。
    SSDが交換されたので、私のファイルはすべて消え、 我が家に戻ってきた時点ではまっさらのWindows 7がインストールされた状態です。
    ここから、マシンを送り出した時点でクラウド(Dropbox, SugarSync, Evernote)に 保存しておいたファイルを新しいマシンに戻す作業となります。 新しいマシンになってうれしくもあり、 ちゃんと元に戻るか不安でもありというひととき(約二日)も過ぎ、 復旧は無事に終わりました。新しいマシンになってうれしくはありますが、 少なからぬ時間を使ってしまいました。
    まあでも、ファイルをクラウドにバックアップしていたのは本当によかった。 バックアップがなかったらと思うとぞっとします。 Dropbox, SugarSync, Evernoteなどのサーバと同期するタイプのバックアップがいいのは、 「さあ、バックアップするぞ」といちいち考えなくてもいいからです。 いわば「常時バックアップされている」という状況ですから。
    やはりこういうセーフティネットは何も手間を掛けなくても 自動的に行われているようにしておいたほうがよいですよね。
     * * *
    そういえば先日、子供にバックアップの重要性を説明するために、 こんな話をしました。子供のマシンを指さして、
     「いま、この瞬間、機械が机から落ちて壊れたら、困る?」
    と聞いたのです。 子供はちょっと考えて「すごく困る」と答えました。
    実際、結城のマシンが壊れたときも、 前の晩までは正常に動作していたのです。 それなのに朝起動したら既におかしな状態になっていました。
    バックアップは「いま、すぐやる」と考えた方がいいですね。 みなさんのコンピュータ、バックアップは大丈夫ですか。
    ここで流行の、
     「いつバックアップやるの?」  「今でしょ!」
    と言いたくなりますが、がまんがまん。
     * * *
    さて、今回の結城メルマガです。 今回のメインコンテンツは「本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(10)」です。 今回がいよいよ最終回になります。 どうぞお楽しみください!
    目次
    はじめに - マシンが復旧しました
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(10)
    本を書く心がけ - 新シリーズ開始で最も配慮したこと
    教えるときの心がけ - 「教えること・学ぶこと」をTwitter上で考える
    次回予告 - 再発見の発想法
     
  • Vol.064 結城浩/講演『数学ガール』の誕生(9)/マシンが壊れた!/

    2013-06-18 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年6月18日 Vol.064
    はじめに - マシンが壊れた!
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    先週から今週に掛けて(私にとっての)最大のニュースは、
     『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』がアマゾンで予約開始!  http://www.hyuki.com/girl/note1.html
    になるはずだったのですが、個人的には、
     「自分がいつも使っているマシンが壊れた」
    ことの方が大きな影響を与えるニュースとなりました。
    結城がふだんやっている文章書きの仕事というのは、 ノートパソコンと身体一つがあれば場所を選ばずに どこでもできるはずです。原理的には。 でも実際には補足すべき条件があります。
     ノートパソコンが一台
    あればいいのではなく、
     (自分用によくチューンナップされた)ノートパソコンが一台
    あればいい、なのですね。
    結城が使っているWindowsマシンはLenovoのThinkPadです。 ちょうど一週間前、起動した直後から反応がおかしくなりました。 簡単なアプリは起動するのだけど、EvernoteやFirefoxなど 仕事で使うアプリがのきなみハングアップしてしまいます。
     「まあ、再起動すればよくなるだろう」
    という目論見もむなしく、再起動しても状況は変化せず。 長い話を短くすると、水曜日に修理に出すことになって しまいました。
     * * *
    マシンを修理に出したとしても〆切はやってきますので、 仕事の環境を整える必要があります。 さいわい、最近の仕事環境はクラウドに大半おいてありますので 非常用に確保した代替マシンに移すのはそれほどたいへんではない と判断しました。
    代替マシンというのは子供がふだん使っているThinkPadです。 子供が学校に行っている間使わせてもらうことにしました (このあたり、ちょっと情けないですね)。
    「クラウドに仕事環境を置いてある」というのは、 具体的にどういうことかというと、 資料のような長期的に使うものはDropboxに、 普段書いている原稿ファイルはSugarSyncに、 自分のアイディアメモはEvernoteにおいてあるという意味です。
    Dropbox, SugarSync, Evernoteというサービスを利用して、 必要なファイルは常時サーバ上においてあります。 ですから、たとえ自分が使うマシンが切り替わったとしても、 サーバから新しいマシンにファイルを持って来れば シームレスに作業は継続できることになります。
    また、代替マシンで行った作業(具体的にはファイル内容の変更) も常にクラウド側に反映されますから、 修理されたマシンが返ってきた後もシームレスに 作業が継続できるはずです。
    …はずでした。
    でも、現実世界はなかなかそううまくはいかないのが常。
     * * *
    最初にお断りしておくと、クラウドを使ったことで、 代替マシンへの移行が容易だったのは事実です。 マシンが壊れる前、ふだんからクラウドを使っているので、 その点については移行でパニクることもありません。
    問題は、クラウドに入れていないファイルがいくつかあったことです。
     ・アプリケーションの設定ファイルやレジストリ  ・よく使うバッチファイルや小さなツール類  ・銀行関連のセンシティブなファイル
    以上のファイルはクラウドに入れていませんでした。 そして、そのことを自分で気づいていませんでした。 マシンを修理に出すということになり、
     「えっと、このマシンがなくなってもほんとうに大丈夫なのかな?」
    と改めて「真剣に」考えて初めて、 不足しているファイルの存在に気づいたのです。
    上記のファイルは外部ハードディスクに保存することにしましたが、 いざやろうとしてみると、マシンが壊れかけているため なかなか作業が進まない! これには焦りました。
    もう一つの問題は代替マシンがいささかパワー不足だったことです。 ファイルとしては移行が済んだのですが、いざ外で作業してみると 電池の持ちが悪い…。ということで、これまでとは異なる仕事の 進め方をしなくてはならなくなりました。
     * * *
    クラウドは便利だが、忘れていたファイルがあった。 代替マシンはパワー不足。 ということですが、マシンが壊れて気づいた「良いこと」もあります。
    まず、前倒しで仕事をせざるを得なくなったこと。 予想外の状況に備えて、早め早めに動いて仕事を進めるようになりました。 夕方から夜にかかることも多いWeb連載の準備が早めに済みました。 はからずも、強制的に〆切が作られたような状況でしょうか。
     「早目に終わらせる気になればできるじゃないか。  ふだんどれだけ集中力を落としてやってるんだ」
    と自分に言いたくなりましたよ(苦笑)。
    それからもう少しデリケートな「文章の書き方」への影響もありました。 文章をばたばた書いて、ばたばた直すといういつものパターンをちょっと変えて、 一呼吸分だけ文章を頭で練ってからエディタに吐き出すというパターンになりました。 ふだんと違う環境で書かざるを得ないので、 強制的に「無駄な動きを減らした書き方」の練習をさせられている感じでしょうか。
    文章は何度も読み返して直しますから、 結果的にはいつもと同じ文章ができあがるのですが、 その第一歩をちょっぴりていねいに踏み出す感覚です。
    その結果として、正確に測っているわけではありませんが、 トータルの文章執筆時間が短くなったように思います。
    いつもは、ファイルのあちらこちらを参照しながら書いている文章を、 足元からじっくり固めて書いている感覚です。
    (なんだかわかりにくくてすみません。 具体例を挙げるとわかりやすいんですが、 それはいつか「フロー・ライティング」のコーナーででも)
     * * *
    ThinkPadが壊れたのは6月11日でした。 奇しくもAppleの新製品情報が公開されたWWDCの直後です。 結城が「MacBook Airがまたほしくなったなあ」とつぶやいた 直後にThinkPadが壊れてしまったのです。
    家内にこの話をしたら「すねて機嫌が悪くなったのね」と笑っていました。
    そうかもしれません。
    マシンを修理に出すことになって、なんとなく(?)Apple Storeの サイトを眺めているうちに、新しいMacBook Airが欲しくなりました。 家内に購入の「予算申請」を打診してみたところ、
     ・お仕事で使う機械だし、  ・今回のように使っている機械が壊れたときの対処は必要でしょ!
    ということで、購入許可が下りました。 まあ確かに、お仕事のマシンが壊れたときに、 子供にマシンを貸してもらうというのはまずいですよね。 緊急時の対処としてはさておき…
     * * *
    さて、ながながと書いてきましたが、マシンが壊れたことで
     ・ふだん気づかなかった重要ファイルの存在に気づき、  ・いつもと違う書き方を強制されることで文章を書く訓練になり、  ・新しいMacBook Airがやってくる!
    という素敵な展開になった一週間、というお話でした。
     * * *
    マシンの修理とMacBook Airの到着を待ちながら、 今回の結城メルマガは子供の代替マシンで書いています。
    さて、今回の結城メルマガは先週の予告から変わって、 「数学ガールの誕生(9)」をお送りします。 それでは今回も結城メルマガをお読みください!
    目次
    はじめに - マシンが壊れた!
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(9)
    Q&A - 思ってもいない言葉を相手に投げかけてしまう自分
    次回予告 - 講演「数学ガールの誕生」(10)
     
  • Vol.063 結城浩/講演『数学ガール』の誕生(8)/時間配分/再校ゲラ/

    2013-06-11 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年6月11日 Vol.063
    はじめに - 時間配分は難しい
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    一人で書き物の仕事をしていると、自分の24時間をどのように配分するかは 完全に自分の裁量にまかされています。 誰からも指示されることがないのは気楽ですが、 自分が自分に指示しなくてはいけないのはつらいものです。
    仕事にもいろんな種類があります。 単発で依頼されて書いて終わりという短期的な仕事から、 本の書き下ろしのように何ヶ月もかかる長期的な仕事まで、 仕事にかかる時間はさまざまです。
    それに加えて「やればできるとわかっている仕事」もあれば、 「きちんと成果に結びつくかわからない仕事」もあります。 後者は仕事というか、ただの勉強であることも多いのですが。
    一日ずっと一つの仕事をしていることは珍しくて、 たいていはその日のメインの仕事と、それ以外のこまごまとした作業を組み合わせます。
    自分の時間の振り分けが難しい理由の一つは、 「今日の自分の振り分け」が正しかったかどうか、 だれも評価してくれないという点にあります。
    私が今日の一日をどう過ごしたか、 どういう仕事に時間を使ったかは、基本的に私しか知りません。 ですから誰も「それでいいよ。その調子」とは言わないし、 「それはまずいな、もっとこの仕事に時間を使いなさい」とも言わない。 「その調子で進んでも成果は出そうにないからやめたまえ」とも言わない。 ただ静かに時計の針が進むだけです。
    自分の行動を適正に保つためには、 正しい(と思われる)フィードバックをかけなくてはいけません。 それをかけることができるのは自分自身です。 好んでやっていることとはいえ、時に困難を感じることもあります。 特に、長期的な仕事に対してどのように時間を掛けるかは難しい。
    でも、迷ってばかりはいられないのでどこかで「心決め」するしかないのでしょう。
    「遊んでしまって時間を無駄に使う」という危険性はあまりありません。 なぜかというと、その時間遊んで(休んで、さぼって…)しまったことは、 自分でわかっているからです。 「気分転換は終わりにして、そろそろ仕事しなくっちゃ」と思います。
    意外に危険な落とし穴なのは、一見、仕事に見える作業です。 ほら、手を動かして時間を使うと「妙な達成感」があるじゃないですか。 あれがとても危険です。苦労して時間を使ったからよしとしてしまう危険性です。
    ただ、本を書くような仕事、勉強を必要とする仕事では、 ときにその対象を使って「無駄な遊び」が必要になるのも事実です。 無意味に見えるようなプログラムを作ることが、 その開発環境に慣れることにつながることもとても多いのです。
    やはり、時間の使い方の見極めは難しいですね。
     * * *
    さて、今回の結城メルマガのメインは講演「数学ガールの誕生」(8)です。 先週は「再発見の発想法」をお送りすると書きましたが、 諸事情により講演「数学ガールの誕生」の質疑応答に入りたいと思います。
    それから、書籍『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』の再校ゲラを待ちながら思うことや、 大学生さんからの「あせるばかりで何もできない自分が情けない」という質問(?) への回答などです。
    それでは今回も結城メルマガをお読みください!
    目次
    はじめに - 時間配分は難しい
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(8)
    本を書く心がけ - 再校ゲラを待ちながら
    Q&A - あせるばかりで何もできない自分が情けない
    次回予告 - 再発見の発想法
     
  • Vol.061 結城浩/講演「数学ガールの誕生」(6)/コミックのコラムを書く/段取りと想像力/

    2013-05-28 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年5月28日 Vol.061
    はじめに - 段取りと想像力
    おはようございます。結城浩です。
    いつも結城メルマガのご愛読ありがとうございます。 最近は急に暑くなったり、かと思うと朝晩冷えたりと不規則な天候ですね。 薄着で寝たときに限って朝冷えこんで、しかも窓が開いてた!などという 事態が起きて困ってしまいます。ぐすん。みなさんはお元気ですか。
     * * *
    結城は夜に「明日はどんな仕事をどんな手順でやろうかな」 と考えることがよくあります。 一日にできることには限りがあるので、 うまく段取りを付けておかないと仕事が回らなくなるからです。
    それとは別に、朝起きてから「今日はこんな仕事をする一日になるだろうな」 ということもイメージします。あるとき、ふと昨晩メモしておいた 「明日の(つまり今日の)仕事の段取り」を読んでズレを発見しました。
    夜、疲れているときに考えた段取りは、 「朝の元気がよいうちに重要な仕事を片付けておき、 午後はゆっくり軽めの仕事をする」というものでした。
    でも、朝に考えた段取りは 「重要な仕事は後回しにして、軽めの仕事を先にする」 というものでした。まったく正反対です。
    客観的に考えた場合、そのときに正しいのは「夜の疲れているときの段取り」 の方でした。夜つかれているときに、
     「ああ、疲れているとなかなか重要な仕事を進めるのは難しいなあ」
    としみじみと思いました。そのため、 朝の元気なうちに大事な仕事を片付けた方がいい!と考えたわけです。
    でも朝になって元気になったら、昨晩のそんな思慮はどこへやら、 なぜか軽めの仕事に気持ちが向いてしまったわけですね。
    自分は統一的な主体である、とつい思いがちですが、 実際はぜんぜんそんなことはないのかもしれません。 実際には各時点での判断も危うく、矛盾だらけの存在なのかもしれません。
    なにしろ、段取りのメモ書きを見るまでは、 異なることを前夜に考えていたことすら忘れていたのですから!
    Evernoteでも何でもいいのですが、 自分がある時点で考えたことをメモしておき、それを振り返るだけで、 発見がたくさんあるものかもしれないな、としみじみ思いました。 誰かから言われたことなら、反発したり素直に聞けなかったりしがちですが、 他ならぬ自分が考えたことならば、素直に参考にできるのかも知れません。
     * * *
    結城は CodeIQ というサイトで、 IT技術者(プログラマ)向けの問題を出しています。 先週は結城が出した《ピッグデータ問題》の採点と 評価フィードバックを行いました。たくさんの解答を読み、 問題の解説文とともに解答者さんに評価を返すというお仕事です。
    一つの問題に対してたくさんの解答を読むことになりますから、 おのずと解答の違いに注目することになります。 ほとんどの人が正解しているような場合、解答もだいたい似たようなものになります。 書かれているポイントも(内容としては)同じようなものです。
    似ているのですが、その中にふっと目を引く答案があります。
     ・他の人とほんのちょっぴり違った観点で書かれた答案。  ・他の人よりもずっと読みやすく書かれた答案。  ・おもわず「なるほど」と膝を打ってしまうような答案。
    その違いがどこからくるのかを明文化するのは難しいですが、 確かに何かが違うのです。たくさんの答案の中で「ちょっと違うぞ」と思わせる、 それはいったい何なんだろう、ということを考えさせられました。
    単純に文章のうまさとかそういうことではないんですよね…
     * * *
    先日、こんなツイートをしました。
     若者の多くは、自分が立ち向かう老人が、  かつて自分のような若者であったことに気づかない。  老人の多くは、自分に立ち向かう若者が、  いつか自分のような老人になることを知っている。  残された時間が多い点では若者に勝ち目があり、  多くを知る点では老人に勝ち目がある。
    まあ若者と老人がいつも戦っているわけではないですが、 ここに書いたようなことをときどき思います。 結城は自分を老人だとも若者だとも思っていないのですが、 子供の「親」ではあるわけです。
    親として子供にあれこれ言いたくなることはあるし、実際言います。 子供はきっと親が言うあれこれを「うるさいなあ」と思っているだろうと 想像できます。「なんで親ってこんなにうるさいのかな」と。
    どんな親も子供の時代があったはずなのに。 そして親に対してある種の「反抗」や「理解されなさ」に ついて思ったはずなのに。 自分が親になってみると、親としての立場の難しさに驚きます。 どうしても、よかれと思ってあれこれ言いたくなるんですよね。 自分が子供のときは親からあれこれ言われたくなかったくせに。
    親になってみて思うのは、 自分は子供に対して何もできてないなということ。それに比べると、 私の親は自分に対していろいろとうまくやってくれたんだな、 と思わざるを得ません。 つくづく「子を持って知る親の恩」という言葉の深さを考えます。
    どうして自分は子供のとき、 親も自分のような若い時代があったのだと想像できなかったんだろう。 親も同じように悩んだのだ、とどうして思えなかったんだろう。 そんなことを考えます。
    人間の想像力というのはその程度のものなのかもしれません。 実際にその立場になってみないとわからないことはたくさんある。
    うん。そうだね。
    自分はこれから年齢を加えていくのが楽しみです。 きっと、若い人にはまだまだ理解できない世界を体験し、 理解していくチャンスがやってくるわけですから。
    そんなこんなですが、 さあ、今日の一日もていねいに過ごしていきましょう!
     * * *
    今回の結城メルマガのメインコンテンツは「数学ガールの誕生」(6)です。 早く書籍にまとめたいと思っていますので、今週から何回かこの企画が 連続するかもしれません。どうぞよろしくお願いします。
    それでは、お読みください!
    目次
    はじめに - 段取りと想像力
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(6)
    文章を書く心がけ - コミックのコラムを書く
    次回予告 - 講演「数学ガールの誕生」(7)
     
  • Vol.058 結城浩/講演「数学ガールの誕生」(5)/キミ、書いてみない?/文章を書く心がけ

    2013-05-07 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年5月7日 Vol.058
    はじめに - キミ、書いてみない?
    おはようございます。いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    このメールが配送される日(5/7)はゴールデンウイークが明けた日ですね。 昨日までお休みという方も多かったのではないでしょうか。 結城はといえば、あまりゴールデンウイークは関係なく、 淡々といつもの仕事を続けておりました。
    フリーランスの場合には「連休」は特にうれしくはなくて、 むしろいつもと違うペースに巻き込まれることが多いですね。 たとえば、いつも執筆で使っているファミリーレストランが混んでいるとか、 カフェが朝からいっぱいでいつもの席に座れないとか。 というわけで、実は連休が終わってちょっぴりほっとしていたりするのです。
     * * *
    連休中、4月29日は、R-Styleの倉下さん(@rashita2)とランチさせていただきました。
     ◆R-Style  http://rashita.net/blog/
    倉下さん(ふだんは「らしたさん」と呼んでいます)はEvernoteの使い方や、 ライフハックなどの題材で文章や書籍を出していらっしゃる方で、 結城がふだんから親しくしていただいています。 今回ランチを食べながら、書き物やワークスタイルなどのおしゃべりを楽しみました。
    その中で、結城はちゃっかりEvernoteの便利な使い方について個人教授を受けちゃいました。 結城が、
     「本が刊行された後、  執筆中に使ったノートブックはどうしたらいいのでしょうね。  (チラッチラッ)」
    と尋ねると、らしたさんは親切に、以下のようなTipsを教えてくださいました。
     ・その書籍用のタグを作る。  ・ノートブック内のノートすべてにそのタグを張る。  ・ノートすべてをアーカイブ役のノートブックに移動する。  ・もとのノートブックは削除してしまう。
    アクティブな作業は「ノートブック」で行い、 以前のものは「タグ」で処理をするのがうまいやりかたなのだそうです。 「なるほど!」と思って、さっそく試しているところです。 Evernoteの著者さんにライブで教えてもらっちゃいました♪
    とっても楽しいひとときをありがとうございました。
     * * *
    さて、別の話。 最近Facebookである方が紹介していた、以下のWebページを読みました。
     ◆音楽家(作曲家)になるには・なれれば・なれたら  http://yoshim.cocolog-nifty.com/office/2013/03/post-51db.html
    これは、 作曲家の吉松隆さんという方の文章で「作曲家になる」ということを めぐっての読み物です。いくつか興味深い話がありました。特に結城の 心にとまったのは以下の点です。
     ・「一万時間の法則」ひとつのことをモノにするには一万時間の鍛錬が必要。
     ・1日作曲を怠ると3日取り戻せない、   2日休むと1週間は元に戻らない、   3日休むと取り返しが付かない。
     ・「キミ、書いてみない?」と声を掛けられるのが、   作曲家としての仕事をやるきっかけになるパターンが多い。
    長い文章なので話はこれだけではないのですが、 上記の三点は特に結城の心にとまりました。
    一万時間
    「一万時間の法則」というのは別のところでも聞いたことがあります。 一万時間というと、たとえば3時間×365日×10年だと10950時間。 毎日欠かさず3時間かけると、一万時間を達成するのに10年かかるのですね。 極端に毎日8時間だとすると、一万時間を達成するのに3年半。 さてこれは長いか短いか。 オーダーとしてはあっているような気がします。
    これと並べて語っていいかどうかはわかりませんが「10年」という区切りには それなりに意味があるように結城は感じます。 というのは、結城が「C言語」というプログラミング言語に出会ってから、 C言語の本を出版するまで約10年の月日が経っているからです。 もちろんその間ずっとC言語の鍛錬をやっていたわけではないのですが、 約10年くらい時間を掛けると何かしら語れることはまとまるかも… と思うのです。
    一日怠ると
    「1日作曲を怠ると3日取り戻せない」というのはどうでしょうか。 タイピングやプログラミングで似たようなことを感じた経験はありますね。 ある程度頭をふだんから使っていないとどこかさびついてしまう感覚はあります。 言葉がうまく出てこないとか、適語選択に時間が掛かるとか、そういう感覚です。
    キミ、書いてみない?
    「キミ、書いてみない?」という言葉には強く頷くところがあります。 結城自身も、本を書き始めたのはこれに近い言葉を掛けられたことが きっかけになっているからです。
     「結城さんは本を書かないんですか?」
    そういうひとことです。そのひとことで
     「あ、そうか、私も本を書いていいんだ」
    という気持ちになったのです。 たぶん、そのひとことを聞くまで自分が本を書くということを 具体的に考えた経験はなかったと思います。 自分が本を書けるか書けないかではなく、 そもそもそういう選択肢すら考えたことがなかったのです。 でも、いまやそれで生計を立てている状態です。 人生はまったくわからないものですね。
    ただ、大学時代から文章を書く練習のようなものは自主的にやっていました。 系統だってはいなかったけれど、とにかく原稿用紙をたくさん埋める練習です。 身辺雑記のようなものをたくさん書いていました。 当時は原稿用紙に万年筆で手書きでした。大量に書く練習もやっていました。 そういえば、なぜそんなことをしてたんだろう。
    文章を書くことは好きでしたし、自分が書いた文章を読み返すのも大好きでした。 心地よさがいつもそこにありました。表現するために苦悩する感覚は少なく、 むしろ書くことで気持ちよくなる。語ることで何かのカタルシスを得る。 そういう感覚で書いていたことが多かったように思います。
    二十代には二十代の悩みや苦しみもあったわけですが、 書くことによって、文章によって、 それを自分が受容できる形態に変容させていたのかもしれません。
    若い時代には、何らかの強いエネルギーが発散する方向を求めて動いている。 そしてそれが何かの出会いや何かのきっかけで道を見つけて人生が流れていく。 そんな感覚があります。 クリスチャンなら「神さまの導きによって」と表現したくなるような、 「神の配剤」といいたくなるような、偶然とは思えないできごともあります。 まあ、また、それについてはいつか筆の勢いで書くことにして――
    今日のところは、結城メルマガを始めることにいたしましょう。
    今回の結城メルマガのメインコンテンツは、 昨年の講演「数学ガールの誕生」を読み物化したものの第5回目です。 PDFをダウンロードしてお読みくださいね。
    それから「文章を書く心がけ」のコーナーでは、 「知っていること」を書くのか「調べたこと」を書くのか、 そのバランスについてお話しします。
    「Q&A」では、進路について「就職を考えたくない」 と思っている方からのメールにお答えします。
    では、結城メルマガをどうぞお読みください!
    目次
    はじめに - キミ、書いてみない?
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(5)
    文章を書く心がけ - 「知っていること」と「調べたこと」
    Q&A - 就職を考えたくない
    次回予告 - フロー・ライティング
     
  • Vol.053 結城浩/ふと見上げたら桜/講演「数学ガールの誕生」(4)/本を書く仕事をするには?/

    2013-04-02 07:00  
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    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年4月2日 Vol.053
    はじめに - ふと見上げたら桜
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    今年は、朝に散歩する機会が多いため、たくさんの桜を見ています。 腰を落ち着けて「花見」というわけではなく、 「ふと見上げたら桜」や「風と共に花吹雪」という感覚で、 日常を桜が彩っている趣です。こういうのもよいですね。
    今年は「新年の抱負」を風化させないようにするために、 「新年の抱負」をしょっちゅう思い出すように心がけています。 もちろん、新年の抱負をがちがちに達成しようというわけではなく、 「ああ、そうだった。そういう抱負を抱いていたんだ」と思い起こした上で きちんと軌道修正しなくてはと思っているのです。
    実際の「新年の抱負」振り返りは後で行なうとして、 自分の性格に合わせた「予定の実行」について少しお話しします。
    結城はもともとは「きっちりやろう」という性格です。 かなり精密に細かいところまできっちりやるのが好きです。 まあそういう性格はプログラミングをするときにはとても役立ちます。 アバウトにコードを書いてもバグだらけになりますからね。
    でも「きっちりやる」ということは100%いいこと、ではありません (それに気づいたのは20代半ばを過ぎてからなんですが)。 まず、自分の能力やキャパシティというものがありますから、 「きっちりやる」ためには自分の活動範囲を狭くする必要があります。 広く深くやることは難しいからです。 そうすると「きっちりやる」ことを推し進めれば進めるほど、 活動範囲は狭くなっていくわけですね。これはちょっと悲しいものがあります。
    だから、意図的にずぼらに――アバウトになって、 「まあ、ここはこのくらいでいいや!」という見極めが必要になります (私の場合には、ですよ)。で、よくしたもので、 アバウトになればなるほど、今度は世界が広がってくれるようです。 活動の一部を深くするのを止めると、その分だけ活動の幅が広がる ということです。
    日々の活動そのものをやっている視点と、そのように 「自分の現在の活動はどういう深さで、どういう広さでやっているのかな」 という一つメタな視点と、その二つを持つことはフリーランスでやっている以上 とても大切なことではないかと思っています(上司がいませんからね)。
    ああ、これは以前「フロー・ライティング」で書いた「二つのモードの切り替え」に 通じるものがありますね。作業者モードと管理者モードの話です。
    さて、予定の話です。 自分の10代、20代の若い時代には「予定を立てて実行する」というのが苦手でした。 「予定なんか実際にやってみないとわからないんだから、 そんなのに無駄な時間を使うよりは実行しちゃおう」と考えることが多かったのです。 それがうまくいく場合もあり、うまくいかない場合もあり。
    でも30代、40代になってくると少しずつ考え方が変わってきました。 いや、単に能力が落ちたからかもしれませんが、 とにかく「予定」は大事だと思うようになったのです。
    予定が大事だと思うようになった理由の一つは記憶力の低下です (ああ、やっぱり能力が落ちたからか)。 「そもそも、何をしなくちゃいけないんだっけ」や、 「このあいだは、何をしていたんだっけ」と思うことが多くなり、 前もって予定を作っておかないと、 思い出すだけで非常に時間が掛かってしまう。思い出すといっても、 実際には前回自分が書いたり作ったりしたものを自分で見直して、 「ああ、そうだったそうだった」という状態まで 自分を持っていくということです。
    これはなかなか情けない状況ですね。でも現実です。
    予定(作業項目の洗い出しと大ざっぱな日数)を ざっくりでもいいから立てていると、 自分の記憶力は変わらないのだけれど、 比較的すばやく実際の作業に向かうことができるようです。
    予定が大事だと思うようになった別の理由としては、 うまく言えないのですが、人生の味わいのようなものです。
    作業のまわりの景色を楽しみ、 お仕事の全体像を眺めたいという気持ちがあるということです。 作業者モードで作業に入り込むと(それこそフロー状態になると)、 作業そのものに集中し、没頭してしまいます。 それは確かに楽しいのですが、もう少し身を引いて、 全体像をながめて楽しみたいという気持ちもあるのですね。
    予定を立てる、予定を見直すというのは、 ちょうどその「お仕事の全体像を眺める」ことに近いと感じます。 桜の花ひとつを見るのではなく、桜の木全体を見るように。
    結城は複数の仕事を並行して進めていますので、 予定も複数個立てることになります。 そうすると、自分がこれから送ることになる時間全体の様子も 予定を通して少しずつ見えてくる。 その感覚がとてもいいのです。 自分の仕事のポートフォリオを味わっている感覚なのでしょうか。
    「新年の抱負」には、 そのような自分の仕事のポートフォリオの一断面が見えています。
    一人仕事をしていると、大きさは限られていますが、 高い自由度があります。会議もなく根回しもいらない。 だからこそ、作業者モードだけで突っ走るのは危険です。 予定を立て、予定を確かめ、 「私はどんな時間を過ごしていきたいのか」を再確認して、 自分の限られた時間をていねいに生きていきたいと考えます。
    と、偉そうに書きましたが、 そんなふうに自分に言い聞かせていないと、 すぐにだらけてしまうからなんですけどね。
    さてさて「はじめに」がだいぶ長くなりました。 このまま「おわりに」まで突入しても困りますから、 今回のメルマガを始めましょう!
    今回のメインコンテンツは講演「数学ガールの誕生」の4回目です。 今回はコミック版のお話をお送りします。 それから「新年の抱負」と「Q&Aのコーナー」もお送りします。 どうぞお楽しみください!
    目次
    はじめに - ふと見上げたら桜
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(4)
    本を書く心がけ - 「新年の抱負」の振り返り
    Q&A - 本を書く仕事をしたいですが、どうしたらいいでしょうか?
    次回予告 - フロー・ライティング
     
  • Vol.048 結城浩/大学受験/講演「数学ガールの誕生」(2)/フリーランスに向く人/

    2013-02-26 07:00  
    220pt
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年2月26日 Vol.048
    はじめに - 大学受験
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読くださり、ありがとうございます。
    結城は数学読み物「数学ガール」シリーズを刊行していますので、 読者さんには高校生の方もたくさんいらっしゃいます。 Twitterなどでやりとりしている方の中には受験生の方も。
    このメルマガを書いている今日は2013年2月25日(月)です。 国公立前期試験の受験日ですね。たいへん寒いものの、 それほど荒れた天気にならなくてほんとうによかったです (あ、でも東北の方では積雪がすごいとか…)。 どうか受験生が自分の実力を出し切れるようにと心から願います。
    ある程度年齢がいってしまうと「受験」というのは人生の山の一つに すぎなくなってしまうのですが、若い人にとってみればそんなことはありません。 全力で試験に向かえればよいな…と思います。
    考えてみると、受験というのはさまざまな要素が入り交じっています。 生まれながらの能力も、育った環境も、もちろん自分自身の努力も、 また教師や本との出会いも…
    自分が受験生だったころを振り返ってみると、 何もわかっておらず、何がなにやらわからないまま突っ走っていたような 気もしますね。そのくせ鼻っ柱は強くて、まるで世界のすべてを知っているような 気持ちになっている。うむむ…。 そんな生意気な若者を見守ってくれた家族や学校に感謝したいです。
    まあ、ともあれ、今回のメルマガを始めましょう!
    あ、そうだ。 前回のVol.047では「手書きノートのスナップショット」をお届けする予定と 予告していましたが、都合により「講演「数学ガールの誕生」(2)」に 変更させていただきます。すみません。
    目次
    はじめに - 大学受験
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(2)
    特別企画 - 「フリーランスに向く人」をめぐって
    Q&A - 結城メルマガでのプレビュー版がよくわかりません
    次回予告 - 手書きノートのスナップショット(10)
     
  • Vol.046 結城浩/「新年の抱負」はどうなった?/講演「数学ガールの誕生」(1)/

    2013-02-12 07:00  
    220pt
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2013年2月12日 Vol.046
    はじめに - 何だかすてきな「第n週」
    おはようございます。結城浩です。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
    最近「第n週」という考え方が好きになりました。 「月はじめからの第何週」ではなく「年はじめからの第何週」です。 たとえば、このメルマガが配送される2013年2月12日は、 年はじめから数えると第7週の火曜日になります。 日曜日を週の最初とみるか、週の最後とみるかで微妙な違いはありますけれど、 「年はじめから第何週」と考えると、
     いったい今年はどれだけ過ぎたのか
    がかなりはっきりとらえられるように思います。 一年は「365÷7=52 あまり 1」ですから約52週。 ここで、おおざっぱに
     一年は約50週(2週はおまけ)
    と考えてみましょう。そのような概算をすると、一週間の重みがよくわかります。 約50週で一年ということは、
     一週間は一年の「約2パーセント」
    ということになるのですね。今週は第7週ですから、 一年の約14パーセントが過ぎた(過ぎつつある)ことになります。 うむむ、けっこう過ぎてますね…。
    なぜそんな数字に興味があるかというと、 この「第n週」をいつも意識していると、 今年一年で自分がやりたいと思っていることを把握しやすくなるのでは? と思ったからです。
    今回のメルマガでは後ほど「新年の抱負を振り返る」という作業をやります。 新年の最初に考えた抱負を、年末になってようやく振り返ると、 あまりも時間の落差が大きすぎます。 新年最初の抱負なんて年末にはわすれてたりして。
    週ごとに、あるいはせめて月ごとに「自分はいまどんな位置にいるのかな」 と振り返るのは良いかも、と思っているのです。
    それで、と。「第n週」の話。先週ずっとTumblrというブログに、
     ・第6週 月曜日の予定  ・第6週 火曜日の予定  ・第6週 水曜日の予定  ・第6週 木曜日の予定  ・第6週 金曜日の予定  ・第6週 土曜日の予定
    と毎日記録していました。
     ◆結城浩のTumblr  http://hyuki.tumblr.com/
    毎日「第6週」と書いていると、 自然に「ああ、今週は第6週だ」というのが頭に残ります。
    そして、週明け。 私ははっと気づきました。
     「あっ、今日から第7週なんだ!」
    第6週から第7週へ。 この数字の変化をなんだか新鮮に感じたのです。 そう、ちょうど、新年を迎えたみたいに。
    これ、いいかも。
    誰しも、新しい年の初めは新鮮な気持ちになりますよね。 リセットしたような気分。 昨年はいろいろあったけど、今年からは心機一転、新しい気持ちでスタートだ。 そんな気持ちになります。
    新年も、新学期も、新生活も、 すべてすがすがしい気持ちで「やるぞ!」という気持ちになります。
    それと似た気持ちを、ほんの小さな規模ではありますが、 第6週から第7週に変化するときに感じたのです。 いまこのメルマガを書いているのは、第7週の月曜日。 第6週はすでに過ぎ、第7週が始まりました。 新しい週だ。「やるぞ!」
    そんな、新たな気持ち、毎週が新年であるようなそんな気持ちを持ちながら 約50週――つまり一年を暮らしたら、どれだけすてきなことが起きるでしょう。
    結城が最近「第n週」がお気に入りなのは、そんな気持ちからなのです。
    さあ、それでは、今回の結城メルマガを始めましょう!
    目次
    はじめに - 何だかすてきな「第n週」
    本を書く心がけ - 講演「数学ガールの誕生」(1)
    本を書く心がけ - 「新年の抱負」の振り返り
    次回予告 - フロー・ライティング