皆さんこんにちは。
投稿トーナメントの告知と期間中応援してくれる人たちへのささやかな暇つぶし提供という名目でしばらくブログを書き続けています。
しかし全然関係ない思い出話など、本来予定になかった記事ばっかり出してしまっていたので、そろそろトーナメントに関係する話をしようかなと思います。
そんなわけで今回は投稿トーナメントの戦場こと「マンガワン」の、ぜひ読んでもらいたいおすすめ漫画を紹介します。
マンガワンをダウンロードしてぼくのトーナメント参加を応援してくれている皆さんがアプリを入れたまま触らなくなってしまうのはもったいないので、
せっかくならいろんな漫画を読んで楽しんでもらえたらいいなという思惑の記事です。
今回は最初のおすすめ作品ということで、ぼくが最初に出会ったマンガワンの作品、
「懲役339年」の紹介です。
とても雰囲気のいい世代交代ものです。
タイトルが持つ引き付けるパワーがすごいです。
紹介する過程で少なからず話の中身を説明してしまうので、ネタバレが苦手な方は読みに行っちゃってください。
当たり前ですけどこの記事よりめちゃくちゃ面白いので、迷いがなければそっちに時間を割いたほうがアドです。
・おおまかな概要
生まれ変わりが信じられていて制度に組み込まれている国家を舞台にした世代交代もののストーリーです。
この漫画の世界では前世が何だったかによって人生が大きく左右されます。
偉大な人物の生まれ変わりは赤ちゃんの時から優遇されるし、前世が悪人だとその悪評を産まれたときから背負わされる…という感じに。
そして輪廻思想に基づいた「犯罪者が刑期を終えずに死ぬと残った刑期を生まれ変わりが引き継ぐ」という制度があり、タイトルの通り懲役339年を言い渡された大罪人は獄中死→生まれ変わりの赤ちゃんが収監…という流れを繰り返して服役しています。
タイトル→設定の流れがテクニカルで読む前から既に面白いあたり、創作の能力の中でもギミックを組む技術力のような分野の強さを感じますよね。
そんな世界で大罪人やその周囲の人たちの小さな思いや勇気が世代を超えて繋がっていき、国家の歪みに少しずつ届いていく…というのが大まかなストーリーです。
全4巻で非常にまとまりが良く、芸術点が高い漫画だなぁと思います。
・サブカルであり王道
ストーリー、絵のタッチともに系統的にはサブカル系になるのですが、すごいと思うのはサブカルのいい所を持ちつつ王道エンタメの長所も入っているという点です。
キャッチーなテーマを遂行しつつまっすぐに響くストーリーを書き出しているので、斬新な切り口でありながら斜に構えた感じがまったくありませんでした。
漫画というコンテンツが持っている文学性と娯楽性のちょうど真ん中でうまく調和してるような作品です。
・心地よい冷たさの距離感
ぼくがこの作品をはじめて読んだときには、人形が動く仕掛け付きのオルゴールが誰もいない部屋で淡々と鳴っているような、静かで俯瞰的な眼差しで一人一人のキャラクターの辿る道を描き出している印象を感じました。
そのたとえで言ったらぼくが書くものはどうあがいてもキャラクターと一緒になって騒いでるってくらい肩入れしてしまうので、キャラに同情しすぎない距離感だからこそ作れるドラマの存在を感じた作品でもありました。
話の中でどんどん時代が進んでいく作品なのでキャラも死ぬときは死ぬんですけど、ひとりひとりのキャラは物語という大きな機械の歯車のひとつに過ぎなくて、命のリレーでひとつの「輪廻制度に立ち向かう人々」という主人公を完成させていることに引き込まれました。
ストーリーの展開は王道で熱いし、大きすぎるものに立ち向かった人たちが過去になっていくのを見送るのは切なくもあるんですけど、俯瞰で見ると全体としては淡々とした作品だと思います。
こういった川の流れとか機械仕掛けみたいなニュートラルさは、キャラに同情しすぎるぼくには絶対出せない味わいなので本当に憧れます。
ぼくはキャラに同情しすぎるどころかキャラを救うために物語を書く人間なので、このようにいい物語を書くためにキャラを的確に起用するテクニックを見ると「職人の仕事だなぁ…」って思い知らされます。
特に最終話の締め方が物凄く好きなのですが、一番言っちゃいけない部分なので口を閉ざすしかないのが悔やまれます。
並べた積み木や人形をおもちゃ箱に片付けて、灯りが消えて綺麗に終わるみたいなニュートラルなエモさなんですよね。
この作品は完結からだいぶ時がたった今でも、サブカル好きの有名人がおすすめしたりして定期的に話題に上がっています。
やっぱりぼくの感じ方だけでなく世の中から見ても鮮度が落ちない名作なんだなぁと思います。
・師匠
この「懲役339年」という作品は、実はぼくが今参加している投稿トーナメントの2代目チャンピオンなんです。
初代のチャンピオンは事情があったのか連載には至らなかったようなので、投稿トーナメントで優勝して連載に進んだ作品としては最初の存在です。
当時は今より参加者も多く、予選→決勝の2ラウンド制ではなく3ラウンド制だったのでより過酷な戦いでした。
そんな中で他の参加作としのぎを削りながらチャンピオンに輝いた作品だということは読んでみれば納得できると思います。
トーナメント参加部分に当たる最初の3エピソードが面白いのはもちろんその後の連載部分ではもっと盛り上がるので、読み切り力より連載力のある作家を発掘するという投稿トーナメントのコンセプトに相応しいチャンピオンだとぼくは感じています。
そして何を隠そうぼくに漫画の手ほどきをしてくださったのがこの作品の作者である伊勢ともか先生であります。
ストレスに苛まれて心が腐っていた時に(今も十分腐ってますが)声をかけてくださって以来幾度となくお世話になっています。
そもそも人を疑うことしか知らないぼくが最初に声をかけてもらった時に「この人は信用できるな」と思えたのはこういった真っ当で面白い作品をお書きになっていたからです。
酷い話なのですがぼくは創作の腕前や作風をみて判断するカスな部分もある人間なので、もし情報量ゼロの捨てアカウントから同じようにコンタクトを貰っていたら間違いなく無言でブロックしていたでしょう。
だからここに至るまでの経緯は本当に順番が滅茶苦茶です。
マンガワンより先に投稿トーナメントを知り、
投稿トーナメントより先に懲役339年を知り、
懲役339年より先に作者の伊勢先生を知っているのです。
いろいろ書き散らかしてしまいましたが、何が言いたいのかというと恩人の作品だからお世辞を言っているのではないということです。
この作品がめちゃくちゃ面白かったことがきっかけでぼくという猜疑心の怪物が伊勢先生に心を開き、今のこの状況があるということです。
なので本当に面白いです。
全4巻、読みましょう。恩人の作品に対してこんな勧め方をするのはめちゃくちゃ失礼なのですが、自分のオススメ漫画デッキに入っていると漫画談義でめちゃくちゃ強く出れるタイプの名作です。
・大会裏話
伊勢先生には漫画の勉強をし始めの段階から特訓に付き合って頂いて、ぼくですら読み返したくないレベルのクソみたいなネームを何本も真剣に読んで助言して頂きました。
1年前はソフトの使い方やコマ割りや尺の感覚など基礎の基礎から何ひとつわかっていなかったぼくが最低限読めるネームを書けるようになり、相方に恵まれて賞にまで参加しています。
これが誰のおかげなのかは確定的に明らか。
実はマンガワンのトーナメントに出ようと思った理由のひとつは師匠と同じ賞を取るためだったりもします。
ただそれは取ったら熱いし話題にできるというあざとい打算もあるので、そこまでいい話ではないです。
ハンターアンドアクマガールという漫画の極めて大雑把な構成グラフが作画と作話で50%ずつだとしたら、作話領域の半分に当たる25%は伊勢先生のスキルや人柄がぼくに与えてくださった力です。
残りの25%から運を引いた10%くらいがぼくの元から持っていた要素で、それはノリと卑劣なタクティクスが主要な構成要素なので努力は1%にも満たないです。
師匠と相方の実力と運とその他で99%、そしてぼくの努力1%が織りなす漫画、ハンターアンドアクマガールもよろしくお願いします。
今回のおすすめ漫画「懲役339年」はマンガワンのアプリで読むことができますので、アプリ内で検索してみてください。
アプリを入れていないけど読んでみたくなった!という方は下記の公式サイトからダウンロードに進めるのでぜひ読んでみてください。
https://manga-one.com/