-
語り処_2023.09.08
2023-09-08 20:30330pt1. ひとことオピニオン
岩手県知事選で確認できたオール野党の力 9月3日に投開票が行われた岩手県知事選で、現職の達増拓也知事が五選を果たしました。これは岩手県政史上初めての快挙で見事です。達増知事の県政ひとすじ、利権とは縁のない清廉で真摯な姿勢が幅広い層から支持されたのだと思います。逆にいうと、国民の多くが今の自公政権の利権絡みの政治にうんざりしているということです。自民党はいつにも増して闘志をむき出しにして、影では相当本気になって票まとめをしていましたが、岩手県民の良識が発揮された県知事選だったといえます。
有権者は決して今の自公政権をよしとしているわけではなく、とくに自民党政治には不満を持っています。その自民党と対峙するには、1対1の構図をつくることです。たとえば、オール沖縄とかオール岩手というようなかたちで自公と一騎打ちの構図ができれば、国政野党は大きな力を発揮し、勝利に結びつけることができるのです。
しかし、現段階では野党の協力体制が全くできていませんので、岸田政権は安泰です。一部では今年11月か12月に選挙という噂もあるようですが、衆議院解散総選挙は来年の自民党総裁選後ということになるのではないでしょうか。そういうなかで我々野党は、小選挙区制という「1人を選ぶ=大きな2つのグループの中からどちらかを選ぶ」選挙だということを自覚し、どうすれば自公グループから政権を奪取できるかを真剣に考えるべきです。その答えはすでに見えているわけで、政権与党と対峙するオール野党という構図をつくって総選挙に臨むしか、小選挙区制における勝利の方程式はないのです。あとは野党がこれを本気になってやれるかどうかだけです。野党議員の一人ひとりには、政権交代に向け、勇気をもって変化を恐れず創造的な行動をすることが求められのではないでしょうか。
2.季節の話題
地場産業を育成して内需拡大を! 日本経済復興のためには、ものづくりの二次産業を育て元気にしていくことがポイントになると思いますが、そのときに国際的な景気に左右されやすいグローバル企業に頼りすぎないようバランスを考えることも重要です。地方では最先端の産業を誘致すると同時に、本来の日本のものづくり、言葉を代えると地場産業を盛り上げ、国内で製造と消費を循環させるような構造をつくり上げていかないと、地方における本当の安定と安心、住民の定着はないと思います。
そして、日本経済を立て直すためには、一日も早く強固な内需を中心とした経済社会構造にシフトしていかなければなりません。しかし、今の政府がやっていることはその真逆で、観光立国によるインバウンド消費を増やそうなどと言っています。GDPでいえばインバウンド消費は外需(輸出)です。物価高と低賃金で国民が苦しんでいる一方で、円の価値が下がったために外国人旅行者にとって日本は安価で手頃な観光地になるというわけです。なんとも皮肉な話で、「安い日本」を大いにアピールしようというのが今の政府のやり方です。これでは日本は途上国か衰退国と同じで、日本国民は自信を喪失し、プライドは傷つけられ、愛国心も何もあったものではありません。そうではなく、日本国内である程度の経済を回し、神戸牛も短角牛も牡蠣も蟹も、関さばも関あじもみんな、国民が稼いだお金で国民が食べられるような社会にしていかなければなりません。僕は今回の県知事選で岩手県に何度も入り地方から日本を見つめ、このことを改めて実感しました。
3.Q&A
日米韓首脳会談について 米国が日米同盟・米韓同盟を基本とする東アジアの安全保障構造から一歩踏み込み、三国同盟のようなかたちに急激にかじを切ってきたのはもちろん中国の存在があるからです。バイデン大統領その成果を自賛していますが、その先行きは必ずしも予断を許さないと思います。
むしろ私が注目しているのは、この春から日韓の友好ムードが少しずつ出てきたことです。これは本当に良いことだと思っています。そして、尹大統領が強い意志をもって日韓友好関係強化を貫き通しているのは、とても立派な姿勢だと感心しています。だからこそ、こういうときにチャンスを逃さず、日本側から半島の反日感情を解消させるような画期的な譲歩をして、両国間のこれまでの冷えた関係を一気に氷解させるべきです。私はそれなりの具体的なアイデアも持っていますが、残念ながら今は政権を持っていないので、これ以上は申し上げません。日韓関係が更に踏み込んで、本当に信頼に満ちた緊密な関係になっていけば、中国にとって相当な脅威になると思います。それが台湾問題にも、もちろん影響してきます。
その中国ですが、3期目に入った習近平(シーチンピン)国家主席の動向をみていると、権威を振りかざしすぎて非常に危ういと思います。しかし経済は危うく、また中国を取り巻くアジア周辺国の感情は必ずしも良好とは言えません。中国国民も景気が悪化すれば大人しくしておらず、最悪の場合、農民一揆に代表される中国特有の大衆運動、大衆蜂起が起きることも考えられます。それはすなわち、北朝鮮の暴発をも意味します。そのとき日米韓同盟があるといっても、米国がどこまでコミットするのか、コミットできるのかは不明です。ですからその時に備えて、今からでもアジアの国同士できちんとしたパートナーシップを確立し、とりわけ日韓の信頼関係を醸成し絆を強め、アジアの問題はアジアの国々の力で解決できる環境を整えておくことは重要です。それがまた、中国を抑止し牽制することにもなります。今の日本はそういう所まで来ているのですが、岸田政権屋自民党にその覚悟があるのか否か。日本もアジアも、いま大きな岐路に立たされていると思います。
-
語り処_2022.12.04
2022-12-04 20:00330pt1. ひとことオピニオン
野党よ、国民よ、目を覚ませ!
7月の参議院議員通常選挙中に安倍元首相が凶弾に倒れてから、自民党と旧 統一教会の癒着構造が明るみになり、そこから派生するさまざまな問題が噴出してきました。 それなのに、国会では何事もなかったかのように、補正予算が可決・成立しました。本来なら補正予算の審議を止めてでも、野党の責務として岸田内閣を追求し、退陣に追い込まなければいけません。そういう状況をつくることによって、次の選挙で政権交代を果たすことができる可能性が出てくるのです。ところが誠に残念なことに、野党にはそういう大局観と展望、そして気概が全く感じられません。しかし一方で、こういう野党政治家を生んだのも、国民の政治や社会に対する無関心のためです。日本人の最大の欠点は、目の前の事象を当事者として判断することを忌避し、集団の匿名性に最終決断を委ね、それでいて陰で文句を言うことです。そうではなく、自立した一人の人間として、何事も自分の頭で考え、自分で判断する。私たち日本人はそういう訓練をもっと積んでいくべきです。この自立ができて初めて、社会の連帯という共生の精神が生まれてきます。そしてその自立と共生の力によって、日本の政治を変え、今の閉塞状況を打破していくことができるのです。
2.季節の話題
100回目を迎える勉強会「小沢一郎政経フォーラム」 12月に 達増拓也 岩手県知事を講師に迎えて、第100回「小沢一郎政経フォーラム」を開催します。 僕の政経フォーラムはみなさんからご支援をいただくというのも目的の一つですが、それだけではなく、みんなと勉強していこうという思いが強くあります。ですから毎回、講師の先生に来ていただきみんなで話を聞きます。それも顔見世程度に話していただくのではなく、講師には大変なご負担をおかけしていますが、1時間たっぷり講義していただき、その後に質疑応答もあるという本格的な勉強会です。この政経フォーラムは僕の持論である、国民一人ひとりが自立し自分で判断できるようにならなければならない、という考えを実践する場でもあるのです。
3.Q&A
米中間選挙の評価
米国の 中間選挙は10代から20代の 若い人たちの投票率が高かったことでかろうじて民主党が善戦できました。民主党の政策では自分たちは豊かになれないけど、あのトランプ前大統領のやり方でいいの? という米国民の迷いが今回の中間選挙の結果からは読み取れます。 ただ、 いずれにしろ、問題をたくさん抱えながらもアメリカは二大政党制をなんとか維持し、曲がりなりにも民主主義が機能しているといえる。一方で、米国に対抗するもう一つの大国である中国は、 習近平体制が3期目を迎え 「ゼロコロナ」政策に抗議する暴動があちこちで起きている。 いよいよ台湾問題に手をつける可能性が高くなってきている。しかし、米国の力が落ちてきたとはいえ、中国も米国とまともにぶつかりたくないのが本音だから、いきなり台湾本島を攻撃してくることはせず台湾海峡の金門島や馬祖島が狙われる可能性が高い。おそらくその程度だと、腰が引けている米国は深く介入せず「当事者同士の話し合いで解決を」ということになるのではないか。そうなると尖閣諸島も同様に自分たちで解決しろと米から言われる可能性が高いと思います。こうしたなかで政府与党は現在、やれ 敵基地攻撃能力の保有だ、国防費の増強だと騒いでいますが、私にはこうした議論は日本のことを真剣に考えているというより 、政治家が利権を漁るための方便でしかないように思えます。いま問われているのは、本当に台湾有事などで今の内閣は本気で腹を据えて日本国民のために相手国とタフに交渉をすることができる内閣なのかということです。そして、国民は本当に日本の領土を守る気概をもっているのか、ということです。この2つはコインの表裏のような関係で、最終的には国民が日本という国を自分たちの国として支え続ける気概を持っているのか、ということに帰結します。
1 / 1