足軽一行が讃岐に到着して早くも一週間が経過した。

正確には足軽と、浪人たちの一行である。


「納得できねぇーーーっ!!!」


三郎左衛門は雑草のような頭からふんすふんすと煙を上げていた。
思い出されるのは一週間前の出来事である。


「もともと一人だけって話だ。オメーらまで雇い入れる余裕はねえ」


三郎左衛門とつばめは、讃岐に到着するなり甚之丞からこう告げられた。
そしてわずかばかりの金子を持たされ、まったく無縁の土地に放り出されたのである。

そもそも亡命者を受け入れるという危ない橋を渡っている甚之丞の立場からしてみれば、無理もない話ではある。
突如として無職の谷に突き落とされた事実を、当の本人たちが受け入れられるかどうかは別として。


「某としても残念でならんが致し方あるまい。そういうわけだ、達者でな」


淡々とした兵庫介の態度もまた、二人の怒りに油を注いだ。

そしてその怒りは食へと向いた。
そう、立った腹は寝かしつけてやらねばならない。
それには温かいものを入れるのが一番である。


「ちくしょーっ! 兵庫のやつ、自分ばっかり美味しい思いしやがって! もぐもぐ!」

「私たちだって美味しい思いしたいぞーっ! むしゃむしゃ! 美味しいーっ!」