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オガワコウサク「それはもう、祁答院が作るゲームが面白いからですよね」(代表作:『コープスパーティー』)
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オガワコウサク「それはもう、祁答院が作るゲームが面白いからですよね」(代表作:『コープスパーティー』)

2013-03-29 19:40
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■チームグリグリ公式サイト
 http://www.gris2.com/

たまたま同じゲーム会社に転職!?

―――オガワさんと『コープスパーティー』(96年)との接点はいつからあったんでしょうか?

オガワ 祁答院や音楽担当の濱本(麻央)と同じ大学だったので、そこからですね。Dante98で制作された最初の『コープスパーティー』にも、テストプレイヤーとして参加はしていたんです。

―――では、祁答院さんが『コープスパーティー』を作る過程も近くからご覧になられていたということですか?

オガワ そうですね。祁答院は大学に行かずゲームを作っていたので、代返(休んだ人の代わりに出席点呼の返事をすること)とかもしていたように思います。学科も同じだったんでね。これは言っていいのかわかりませんけどね。

―――いやあ、もうそれは重要なスタッフのひとりですよ。

オガワ ははは。でも僕はプログラムみたいな直接的な制作には関わってないんですけどね。どちらかというとサポートみたいなことをしていました。

―――オガワさんは『コープスパーティー』をはじめてプレイしてみていかがでしたか?

オガワ 面白かったし、斬新でしたよね……なんて言えばいいんかわからないですけど、なんでRPGツクールでアドベンチャーゲーム作ってんねんみたいなことですよ。敵も出さないし、そういう発想はオモシロいなあと思って。あと、かわいいキャラでエログロをやっているのを見ると、商業ゲームしか見たことのない人間からしたら「尖ってるなあ」と思ってました。アマチュア作品は尖った部分があるから面白いってことを『コープスパーティー』ではじめて知りました。14669aef95675c894320a5cdf92030e028c6d6c0
※『コープスパーティー』は、雑誌「LOGIN Sofcom」にて発表。96年に行われた第2回アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテストで最優秀賞を受賞し、その名を知らしめた。タイトル画面には「KENIX SOFT」なる表記があるが、オガワさん曰く「祁答院の若気の至り」だったそうだ。


―――『コープスパーティー』発表後の盛り上がりも体感されたんですか?

オガワ 近々にはいませんでしたね。傍から観ていた感じです。当時はインターネットもないから、正直な話あんまり反響が僕にも届くということはありませんでしたからね。

―――オガワさんは大学卒業後どういった道に進まれたんですか?

オガワ 私は大学卒業後にゲームの制作会社に入って、PlayStationやポケットステーション用のゲームを作っていました。その後祁答院も濱本もゲーム会社に入って、後にゲームグリグリを立ち上げることになるメンバーは全員商業ゲームを作る道に入るんですけど、勤務地も会社も別々だったので一旦離れ離れにはなったんです。

―――3人はいつ再び集まるようになったんでしょうか?

オガワ それがですね、たまたま同じゲーム会社に転職しちゃうんですよね(笑)。そこで再会して、また連れ遊ぶようになって。そこで2年ぐらい働いて、1999年に時期は違うんですけど3人ともフリーになったころから、3人チームでの仕事も受けるようになったんです。それがチームグリグリの原型になりました。

―――基本的にはフリーだけど、3人で仕事を受けるようにもなった?

オガワ そうですね。チームグリグリとして作ったんではないんですが格闘ゲームの『Virgin Queen』(03年)が、チーム最初のゲームだったように思います。僕はちょっとしか参加していないんでおこがましくはあるんですけどね。3人でちゃんと1本作ったのでいうと、『DREAD LOCK』(06年)というシューティングゲームがはじめてでした。


『コープスパーティー』の雰囲気のルーツ


―――『コープスパーティー』はその後、携帯アプリの『コープスパーティー NewChapter』(07年)として、登場人物の設定はそのままにストーリーや演出を再構築されることになりますけど、制作のきっかけはなんだったんですか?

オガワ 『NewChapter』はエンターブレインさんからの依頼だったみたいです。祁答院が依頼を受けて、ほぼ1人で作っていました。

―――『NewChapter』のさらなるリファイン版である、Windows版の『コープスパーティー ブラッドカバー』(08年)をチームグリグリで制作されたのもその流れで?

オガワ そうですね。「携帯以外でも遊べるようにしてほしい」という意見をたくさんもらっていたのと、僕らのほうから作ってみるかみたいな雰囲気があったので、作ることになりました。大学生のときからしたら各自ゲーム作りのノウハウもけっこう貯まっていたので、リファインしたくなっていたんでしょうね。『NewChapter』の後から私もチームグリグリに正式に参加するようになって、『ブラッドカバー』から本格的に『コープスパーティー』の制作に携わるようになりました。それが2007年のことでしたね。

―――Windows版ではそれぞれどういった役回りで制作されているんでしょうか。

オガワ キャラクター案とシナリオは祁答院、音楽は濱本、キャラクターデザインは新メンバーの神城(咲弥)、それ以外は私がやっているという感じです。だから私はメンバーが個性を出せるようなツールも含めて作っています。祁答院の個性を出すのに一番適しているのはやっぱりRPGツクールなので、ツクールライクのミドルウェアを用意したりとか、あとは背景を描いたりとかもしてます。

―――オガワさんは縁の下の部分を支える役割なんですね。内部に入ってみて、新しく感じた『コープスパーティー』の魅力はありましたか?

オガワ 話の構成の巧さっていうのは感心させられました。『ブラッドカバー』はシナリオごとにChapterで分けられているんですけど、1回バラしてみて改めて話の組み立て方の妙に気付いたというか。本当に祁答院は独特の世界を持っているんですよ。じゃあ具体的にそれはどこなんだと言われると難しいですけど、とにかく雰囲気作りが巧いんですよね。だから演出にもメチャクチャこだわりますしね。

―――『コープスパーティー』のあの雰囲気というのはどのあたりにルーツがあると思いますか?

オガワ やっぱり祁答院にとってはファミコンの『スウィートホーム』(89年)が大きいんでしょう。板切れを拾う時点で『スウィートホーム』ですからね。あとホラー映画がホントに好きな男なので、今までのホラー映画経験みたいなものが濃縮されているんだと思いますよ。ひどいときは週1でホラー映画観てるぐらいですからね。単館上映系のマニアックなホラー映画なんか相当知っていますし。

―――どこかひとつにこだわるというよりは、自分の持つホラーの世界を全部取り込んで作ってやろうというか。

オガワ ゲームとしてはジャンルにはあんまり囚われている感じもなく、祁答院の好きなものが出ているなあっていう感じがあります。祁答院にとって大切なのは自分がやりたいシチュエーションはどうやったら表現できるかってことで、そのシチュエーションが表現できるならアドベンチャーもアクションもないまぜにして入れてくれという感じで言っているんでしょうね。いろいろ注文出されて大変ですよ(笑)。


「音」へのこだわりでDVDがパンパンに?


―――オガワさんぐらいの実績と実力ならば、大きな商業ゲームでもプロジェクトを進められると思っています。でもそのなかで、現在チームグリグリのメンバーとして本腰入れてゲームを作っていこうと思った理由はなんだったんでしょうか?

オガワ それはもう、祁答院が作るゲームが面白いからですよね。それ以外にはないと思います。

―――クリエイターの視点からみた、祁答院さんの作るゲームの面白さってどうなんでしょうか。

オガワ 制作側に回って祁答院と一緒に仕事すると、作っているときはシンドイわけですよ。メチャクチャこだわりを言われますし。私は技術の人間だから、「これは技術的に難しい!」ってことを把握しているんですけど、祁答院は良い感じで把握していないんですよ。

―――はいはい、なるほど。

オガワ だから悪気はなしにとんでもないことも言うんですね。でもその発想は私にはなくて、しかもメチャクチャ面白い。そこで僕も技術的に頑張って、祁答院のこだわりが実現すると、システムも相乗効果で面白くなってくれるんじゃないかなと思って作りたくなるんです。それも面白いんですよね。

―――それはゲーム制作会社では、味わえない楽しさっていうのもあったんでしょうか?

オガワ ゲーム制作会社で働いているとなると、どうしても下請け作業という感じのものが中心になるんですね。仕事自体は考えながらやるんですけど、どうしても自分がこのゲームを「持っている」という感覚にはなりづらいんです。その点で言うと、チームグリグリでは意見を交わしつつ、たまにとんでもないこと言われるけど一緒にやれている感覚あるし、持っている感覚がします。ただ逆に言うと、今ゲームを作っているのは、会社にやっていたころのノウハウがあればこそなんです。今までの経験も活かせている分だけ、やっぱり楽しいですよ。

―――なるほど。では、Windows版で祁答院さんのこだわりが特に出ているなあと思うところはどこですか?

オガワ 音ですよね。Windows版からはキャラクターに声がつくようになったんですけど、それは祁答院たっての希望だったんですよ。私の知らないところで勝手に声優募集も始めちゃうぐらいですから(笑)。

―――ははは。

オガワ でね、これが大変だったんですよ。祁答院はもちろん、僕も音声圧縮の技術を持っていなかったんです。WAVファイルでそのまま突っ込んでるんです。だからChapterを追うごとに容量がすごいことになって。見てもらえばかわかるんですけど、コープスパーティーのChapter1~2のころは声は少ししか入ってないからいいんですけど、Chapter5のころにはDVDがほぼパンパンなんですよね。あれほとんど声優さんの声のWAVファイルなんですよ。

―――いきなり声優募集を始める祁答院さんを止めるオガワさんの図が思い浮かびます。

オガワ やってくれたなって感じですよね(笑)。でもね、声入れたらキャラクターが生き生きとしはじめたんですよね。ははあ、こういうことかと思いました。『コープスパーティー』は画面上だけならドット絵のキャラがちょこちょこ動くだけなんですけど、声がつくことによって雰囲気が見違えるように変わって。声がない部分のテキストでも、脳内で声が再生されるから、いろんなことをまた想像できるんですよね。実際、声を付けてからはキャラクター人気も出るようになって。「Dante98」版から携帯アプリ版ぐらいまでは、ロリということもあっ持田由香(主人公・持田哲志の妹)に人気か集中していたんですね。でも、Windows版以降はチームグリグリに新加入した神城の絵柄とあいまって、男性キャラクターの人気が上がってきて。岸沼良樹(哲志のクラスメイト)とかは私自身も、ああ良樹ってこういう奴だったんだなあと改めてキャラの良さに気付いたりしたんですね。

―――音といえば、PSP版『コープスパーティーブラッドカバー リビティッドフィアー』(10年)ではダミーヘッドを使ってのバイノーラル録音もされていますよね。

オガワ あれも、祁答院のたっての希望でしたね。ずっと前から「ホラーといえばバイノーラルだろう!」と前から言っていたので、できるとなったらもうやるしかないという感じで。

―――奥のほうで鳴っているアンビエント的な音とか、すごく良かったです。でも、今でこそホラーゲームで音にこだわるのは当たり前ですけど『コープスパーティー』は先んじてBGMも含めこだわっていたように思います。ゲームの最初に「音量を上げてプレイしていただくと、意外な音が楽しめます……」というメッセージを入れていたりとか。

オガワ それは濱本のこだわりもあるんですけどね。でも濱本にもすごい言っていましたよ。ゲーム音楽ももちろんなんですけど、とにかくホラー映画の音楽を聴けと。あいつの音へのこだわりはハンパないですね。

―――「同人」とか「自作ゲーム」となると、なんとなくこぢんまりとしたものを想像する人も多いかと思いますけど、やっぱり支持を集める自作ゲームはどこか枠に収まらない突き抜けたこだわりがあるように感じます。『コープスパーティー』の場合はストーリーやエログロももちろんですけど、「音」も突き抜けたこだわりがあったんですね。

オガワ たぶんそれこそが「同人らしさ」だと思うんです。どうしてもコンシューマーには締め切りがあってクオリティにもだいたい基準があるから、平均点が高いゲームが生まれる。でも、自作ゲームは表のこだわりもそうですけど、作者が無意識でやっている内々に籠ったようなこだわりも、ユーザーに指摘されてひとつの個性として認められるところがある。ヘンなところが尖っていることもあるかもしれないけど、そこが面白いんです。
だから『コープスパーティー』を作っていても、私たちが気付いていない尖った部分や新たな魅力、それこそさっきいった声を付けることで変わったキャラクターの魅力とか、演出でも意図しない部分で怖がってくれてそれが一番怖いと言ってくれることとかね。自分が「持って」作っているゲームなだけ、そういう反応が返ってくるのも面白いんです。これも同人ゲーム、自作ゲームならではの楽しみな部分だと思います。


自作ゲームが商業化する利点は……


―――『コープスパーティー』は、先ほど話に出ましたPSP版をはじめ、OVAとしてアニメ化されるなど、商業への展開を見せるようになりましたが、商業展開したきっかけはなんだったんでしょうか?

オガワ 商業展開の話自体は、私たちから出たものですね。まずは私がそろそろコンシューマーで出してもいいんじゃないかと提案したんです。

 
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※商業ではPSP用ソフト『リビティッドフィアー』のほかにも、『リビティッドフィアー』の番外編的なオムニバスアドベンチャー『コープスパーティー Book of Shadows』(11年)、9人のシナリオライターによるエピソードが収録された『コープスパーティー -THE ANTHOLOGY- サチコの恋愛遊戯 Hysteric Birthday 2U』(12年)が発売。ドラマCDや小説、漫画などメディアミックス作品も幅広く展開している。(画像はOVA『コープスパーティー Tortured Souls -暴虐された魂の呪叫』のホームページより)


―――それはどういった理由から?

オガワ 本当に「面白いゲームだからもっと遊んでもらいたい」というぐらいなんですよ。それでパブリッシャーさんはいないかなと当たってみたら、5pb.さんとお話ができて、『リピーティッドフィアー』になったと。

―――商業になったことで、利点だなと思ったことはありますか?

オガワ 私たちの場合、PSP版にもアニメにもわりとガッツリ関わらせてもらっているんですね。だから商業展開は商業でってことで、インディーズ的なマインドも保てていますし、商業にどうにかされたとかいう不満はないんですよ。まあ人がたくさん関わるようになるんで、細かいところではあるにはあるんですけど、楽しくやっています。そういう立場にいれるからこそかもしれませんけど、単純に遊んでくださるユーザーさんが増えるようになって、ここが楽しんでもらえているんだとかがよりわかるようになったんですね。そこは利点のひとつだなと実感しています。

―――商業展開をしてみて大変だなと思うところはありますか?

オガワ 作品が持つテイストの維持とかは本当に大変だと思います。祁答院もいろんな会社を飛び回りながら自分の持つ『コープスパーティー』の世界を伝え回って折衝しているのを見ていて、大変だなと。でもそれも悪いことではないと思います。技術的な恩恵も受けられるようになりますし、それとは別に私たちも今『コープスパーティー2』を作っているんで、商業での経験を活かした新しい『コープスパーティー』を作ることができればいいですよね。
 
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※『コープスパーティー2』の開発画面。舞台は学校から病院へ。『1』から時間軸も進み、キャラクターも一新されている。果たして前作との繋がりはあるのか!?
プロモーションビデオはこちら。



―――同人と商業の両輪で活動している自作ゲームとしても、『コープスパーティー』は理想的な作品だと思います。最後に、オガワさんがゲーム制作者として「ニコニコ自作ゲームフェス」について思うことをお聞かせください。

オガワ ゲームっていうメディア自体は作って終わりではまずないんですよ。もちろんゲームのことを広めるという意味でもそうですけど、ユーザーの反応を観るというのもやっぱり大切で、そういう意味で言うとニコニコ動画はダイレクトに反応が届くのでいいと思います。その反応はゲームを作っている人にとって財産になりますし、その財産を使って次の作品を作っていってほしいと思いますね。期待しています。


【インタビュー記事一覧】

ならむら「英語圏で出したいというアクションを起こせば機会は増える」(代表作:『GR3』『LA-MULANA』『薔薇と椿』)
八百谷真「ゲーム作りは欲求不満放出の場」(代表作:『囚人へのペル・エム・フル』)
なりた「商業に応用できるアイデアや可能性を同人ゲームで探っていた」(代表作:『MELTY BLOOD』)
cutlass「これからのノベルゲーム文化を自分が背負わないで誰が背負うんだ!」(代表作:『NOeSIS~嘘を吐いた記憶の物語~』)
海原海豚(黄昏フロンティア)「自作ゲーム制作にはブッ飛んだ愛が必要」(代表作:『東方萃夢想』『ひぐらしデイブレイク』)
奥井晶久「ニコニコはゲームとユーザーの接点を作ってくれる」(代表作:『ワンナイト人狼』)
支倉凍砂「目標はハリウッドで映画化でした」(代表作:『狼と香辛料』『ワールドエンドエコノミカ』)
竜騎士07「ニコニコ自作ゲームフェスはいい“試練の場”になる!」 (代表作:『ひぐらしのなく頃に』)
ZUN「『東方Project』は自分のライフワークみたいなものになっている」(代表作:『東方』シリーズ)
SmokingWOLF「2Dゲームでできることはほぼなんでもできてしまうんですよ」(代表作:『シルフェイド見聞録』)
【後編】泉和良「自作ゲームは一生自分の体から離れないものになった」(代表作:『自給自足』『エレGY』)
【前編】泉和良「自作ゲームしかなくなっちゃったんですよ」(代表作:『自給自足』『エレGY』)
八百谷真「ゲーム作りは欲求不満放出の場」(代表作:『囚人へのペル・エム・フル』)
飯田和敏「自分が面白いと思うゲームを作るのが一番!」(代表作:『アクアノートの休日』)
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コープス2だと…………!?
65ヶ月前
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コープスは絵の恐怖と音の恐怖がいいバランスで備わっているし脅かしじゃなくて雰囲気で怖がらせているのがいい
もっと評価されて欲しい作品だよ あとBGMがいい
59ヶ月前
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