• このエントリーをはてなブックマークに追加

カラマさん のコメント

同人で艦これに勝つとか調子のんな
No.20
70ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
特設サイトは コチラ Twitterは コチラ ノベルゲームにドキドキしていた ―――本日は『 NOeSIS 』(11年)を通して、ノベルゲームとの出会いから、今ノベルゲーム作る理由、cutlassさんのノベルゲームへの思いをお聞きしたいと思っておりますが……。 cutlass  今は、自分がノベルゲーム文化を作っていくしかないと思っています。『 月姫 』(00年)『 ひぐらしのなく頃に 』(02~06年)以降、ノベルゲーム文化は衰退の一途をたどっていると思っています。だからこそ、自分がやらなきゃ誰がやるという感じで活動しています。 ―――おお。cutlassさんがそこまでノベルゲームに思いを込める一番の理由はなんなのでしょうか。 cutlass  難しい質問ですね……今思うと“あの時代”が猛烈に好きだったんだと思います。ログインという雑誌で『 MOON 』(97年)の記事を見つけて、なんじゃこりゃ! と思ってから、KeyやLeaf作品、そして『ひぐらし』までの、ノベルゲームの最盛期に至る時代が大好きだったというか。 『NOeSIS~嘘を吐いた記憶の物語~』は、Android/iOS/Windows対応のフリーゲーム。無料。主人公・時雨と、二重人格を持つ一夜、人形を両親代わりにする幼馴染・こよみら“どこか欠けた少女達”らがある事件に巻き込まれる姿を描く。 ―――ノベルゲームのどこに一番惹かれたんでしょうか? cutlass  エロだエロだという人もいますけど、自分にとってはエロなんかあくまで一要素に過ぎなかったんです。エロなんてエロ本読めばいいだけですし。ノベルゲームをやっていること自体に、ものすごいドキドキがあったんですよね。 ―――エロだけではないドキドキ。 cutlass  ノベルゲームは面白ければなんでもいいじゃないですか。『 Kanon 』(99年)も『 君が望む永遠 』(01年)も、『ひぐらしのなく頃に』も『月姫』も、はたまた『 吸血殲鬼ヴェドゴニア 』(01年)でも『 鬼哭街 』(02年)でもオッケーという感じがすごくいいんです(笑)。 ―――ははは。その中でcutlassさんは、『ひぐらしのなく頃に』、また『月姫』に特に影響を受けたということですが、その理由はなんだったんでしょうか? cutlass  最初のとっかかりは同人即売会から出た作品だった、ということでした。同人ゲームなのに、とらのあなとかメッセサンオーにいっぱいポスターが貼られていたのに驚いたし、たくさんのお客が店で『ひぐらし』や『月姫』の話をしている光景に、すごいものが出たんだな、と思っていました。 ―――同人作品が商業のメインストリームにもなっていく過程は衝撃的ですよね。 cutlass  でも、作品をやってみると同人ゲームであることとかはどうでもよくなったんです。作品そのものに惚れたんですよ。もちろん、『MOON』のころからノベルゲームにハマってはいたんですけども、この2作品を機にさらにノベルゲームに没入していきました。 ―――しかし、『NOeSIS』の制作が始まる2010年まで、ゲーム制作をされてこなかった。2010年にいざ作ろうと思い立ったのはなぜだったんですか? cutlass  作りたかったですよ。私はずっと、ノベルゲームの原画家になりたかったんです。だから、学生時代から同人活動を始めて、即売会に出て、オンリーイベントに出て、ということをしていました。 ―――制作会社に入るのではなく同人活動を? cutlass  そうです。でも、誰からもお声が掛からなかった。10年間ぐらいやっていて、最初はあんまり売れなかった同人誌が売れるようになったり、いろんなイベントに参加したりしましたけど、お誘いは全くないまま、同人は趣味になっていました。   同人活動は今でも精力的に行っている。「ゲーム制作を始める直前ぐらいまでは『 School Days 』(05年)とか『 SHUFFLE! 』(04年)の二次創作をやってました。ヤンデレ好きなんですけど、一気に流行って一気に廃れたので複雑でしたね(笑)」 「Androidでゲームを作ろう!」と決めたとき ―――では、直接的なきっかけはなんだったんですか? cutlass  ……ノベルゲームが衰退したからなのもあるのかな。2005年ごろから、同人界で自分の居場所がどんどんなくなっている気がしていたんです。 ―――居場所ですか? cutlass  自分は即売会でノベルゲームの二次創作を発表していたんですけど、だんだん自分たちのシマが狭まっていっていたんですね。2010年ごろになると、自分の本も100冊売れなくなってきた。いつも買ってくれる人も「そろそろ後進に席を譲らないんですか?」とか真顔で言われたりして。 ―――キツいですね。 cutlass  “同人”でも、売れないとダメなんだなってその時痛感したんです。即売会でも売れないと次に席が用意されているかわからないし、店に置いてもらえるかどうかもわからない。売れないから赤字はかさむし……正直、自分の同人活動はもう厳しかったんです。 ―――そこからどうやってゲーム制作に? cutlass  偶然見つけたというか、思い付いたことでした。当時auのIS03というスマートフォンを買って、触りながらなんとなく考えたんですね。「今まで気付かなかったけど、ノベルゲームは自分で作ることができるんじゃないか」って。 ―――おお。 cutlass  横になりながらいじっていて、かつて自分がザウルス(シャープが発売していたPDA端末)を使って『MOON.』とか『Kanon』をやっていたことを思い出したんです。これじゃないか、スマートフォンはノベルゲームにピッタリなんじゃないかと。「流れが来た!」という感じですよ。 ―――タイミングが良かったんですね。 cutlass  あと、Androidなら同人誌よりも安く作れそうだなって思ったんです。作るための端末もすでにあるし、実際3~4万円で作ることができましたからてなにより、これでノベルゲームの原画家になれる。こんなうれしいことはなかったです。 ―――10年越しの夢が叶うときが急に訪れた感じですね。 cutlass  Androidでノベルゲームを作ることに、すべての着地点があると確信しましたね。ノベルゲームの原画家になれる、安く制作できる、制作会社に入ることもなく、自分の好きなように制作できる。そこからはもう、俄然燃えましたね。 ―――そうして出来上がった処女作が『NOeSIS』になるんですね。ストーリーや設定も、10年間で貯めていたものを一気に出したという感じだったんですか? cutlass  いや、それはないです。「Androidでノベルゲームを作ろう!」と思い立ったときに、同時にひらめいたアイデアをそのままゲームにした感じです。 ―――またそれは意外です。 cutlass  練習作のつもりだった、というのもありました。でもやっぱり、そんな10年も積み重ねているようなネタを使ったって、古くさいものにしかならないと思っていたんですよ。だから熱とか感性に任せて作っていました。 ―――それでも『NOeSIS』にはcutlassさんの“あの時代”への愛が出まくっていて、面白いです。 cutlass  タイトルにも出ているんですよね。パートナーのたぬきまくらさんとも話していたんですけど、今風にタイトルつけるなら、『NOeSIS~嘘を吐いた記憶の物語~』なんてタイトルにはならないだろう。これは“あの時代”のタイトルだよって。売れ線を考えていたら「俺の妹は連続殺人鬼かもしれない」とかになっているはずだと(笑)。 ―――ははは。作品を発表してみて、嬉しかった反響はどんなものがありましたか。 cutlass  それが、意外と10代の女の子とかもやってくれるんですよね。ちょっと古くさく見えるのが物珍しいだけなのかもしれないですけど、「こういう人もやってくれているんだ!」っていうのは自分の更なるモチベーションになりました。やっぱり反響があると嬉しかったです。 自分のゲームは「小説家になろう」にも 「艦これ」にも勝たないといけない ―――cutlassさんは「自分がノベルゲーム文化を守る」といった、ある種の使命感に満ちたことを仰っていますが、その考えというのは『NOeSIS』を作り始めたときからあったんですか?  cutlass  いや、全然考えていませんでした(笑)。今自分がノベルゲームを作らなければ、文化や“あの時代”が消えちゃうんじゃないかと思ったのは、商業化の話をいただいてからでしたね。 ―――最初から志高いわけでもなかった(笑)。 cutlass  商業化のプロセスを体験して、特に竜騎士07さんの偉大さを感じたんですよね。 ―――竜騎士07さんの偉大さ。 cutlass  僕はなんで自分が商業化できたかというと、端的に言えば『ひぐらし』があったからですよ。竜騎士07さんが切り開いた、ノベルゲーム文化の恩恵を受けているだけなんです。 ガンガンオンラインで連載しているコミカライズの担当編集者さんは、元々「ひぐらし」のコミカライズ版の担当編集さんだったりするし、星海社さんとのご縁も、いわば『ひぐらし』が取り持ってくれているものです。自分は今、先人が敷いてくれたレールに乗っているだけなんです。 だから、そのレールに乗っかっているだけでいいんですか? ということですよね。しかも、『ひぐらし』や『月姫』の先で時計は止まったままだよと。これからのノベルゲーム文化を誰かが背負って先に進めなきゃいけないこのときに、私が背負わないで誰が背負うんだ! という感じで。 ―――では、ノベルゲームを背負おうとする人がそこまで現れないのはなぜなんでしょうか? cutlass  ぶっちゃけた話、今は文章書きたくなった人は「小説家になろう!」に投稿するし、絵を描きたくなった人はお絵かきサイトに行きますよ。ノベルゲームは労力も人もかかるし、どっち選びますかっていったら、よほどのことが無い限りノベルゲームは作られませんよね。それが良い悪いではなくて……。 ―――たしかに。 cutlass  あと、ノベルゲームは高いんですよ。商業のフルプライスで9000円近く、同人でも2000円とかしますから。昔は、同人ゲームはフルプライスよりも7000円近く安くやれるということにすごく価値がありましたけど、今2000円って聞いても高いって言われます。 その上、ゲームの選択肢に基本無料で遊べる『 艦隊これくしょん 』(13年)とかあるんですよ。『艦これ』みたいなブラウザゲームにも勝たないと、ノベルゲームがより遊ばれなくなるということですから。 『NOeSIS』がフリーゲームであるそもそもの理由は、「機種ごとのサポートが大変だから、無料ってことで勘弁してもらいたかったんです(笑)」「あとは有料じゃみんな買ってくれないので、このゲームを機に自分の同人誌が売れてくれればペイできるかなという目論見もあったんですけど、同人誌はなかなか売れなかったですね」とのこと。 ―――かなり切実な問題ですよね。 cutlass  夢ばっかり言っているみたいに見えますけど、じつは現状にはかなり醒めているんです。先ほども言いましたが、同人活動をしていて思い知ったことに、「人気が出ないと次を作ることができない」ことがあって、ヘタやると次が出せなくなるという恐怖感は常にありるんですよ。 ―――『NOeSIS』の商業展開自体はどうお考えになっているんでしょうか。 cutlass  そういう意味でノベライズを書かせてもらっているのも、お金を稼げる、あといろんな人に「cutlassはノベルゲームを作る人間だ」って認知してもらおうとしてやっています。 『NOeSIS』はフリーゲームな分だけ、ノベライズやコミカライズでたくさん稼ぎたいんですよ。そして集めたお金で、お世話になった人にお金を払いたいし、次のフリーノベルゲームを作りたいんです。 ―――失礼な言葉かもしれないですが、ここまで「ノベルゲームを作る理由」を持っている人と初めてお話しましたような気がします。 cutlass  勘違いとも守銭奴とか言われるかもしれないし、次は制作費が10万円かかるのか1000万円かかるのか未だにわかっていないところもあるんですけど、私はフリーゲームでやるって決めているから、っていうことだけですね。ハッキリ言って私のやり方が参考になるかはわからないです(笑)。 ―――恐ろしく業の深い話ですけど、技術とかとは違う意味で自作ゲーム製作者の力になる話だと思います。では最後に、ニコニコ自作ゲームでAndroidゲームやノベルゲームを投稿している/しようとしている人にアドバイスがあれば教えてください。 cutlass  ははは、急に戻りましたね(笑)。Androidでの自作ゲーム作りは面白いと思います。自分もノベルゲームだけじゃなくて、フラッシュゲームでも作ってみたいなって思ってるんですよ。ノベルゲームを作りたいっていう人も、ライバルは『艦これ』とかで、取り巻く環境はさらに厳しいものになっていますけど、なんとかやってほしいですね。 ( 村井克成 ) ■■作品情報■■ 2013年10月16日に小説版第二巻を発売! 表紙絵は 本邦初公開 ! 購入は コチラ から。 コミカライズ版も好評発売中! 購入は コチラ から。 【インタビュー記事一覧】 ・ ・ 八百谷真「ゲーム作りは欲求不満放出の場」(代表作:『囚人へのペル・エム・フル』) ・ なりた「商業に応用できるアイデアや可能性を同人ゲームで探っていた」(代表作:『MELTY BLOOD』) ・ 海原海豚(黄昏フロンティア)「自作ゲーム制作にはブッ飛んだ愛が必要」(代表作:『東方萃夢想』『ひぐらしデイブレイク』) ・ 奥井晶久「ニコニコはゲームとユーザーの接点を作ってくれる」(代表作:『ワンナイト人狼』) ・ 支倉凍砂「目標はハリウッドで映画化でした」(代表作:『狼と香辛料』『ワールドエンドエコノミカ』) ・ 竜騎士07「ニコニコ自作ゲームフェスはいい“試練の場”になる!」 (代表作:『ひぐらしのなく頃に』) ・ オガワコウサク「それはもう、祁答院が作るゲームが面白いからですよね」(代表作:『コープスパーティー』) ・ ZUN「『東方Project』は自分のライフワークみたいなものになっている」(代表作:『東方』シリーズ) ・ SmokingWOLF「2Dゲームでできることはほぼなんでもできてしまうんですよ」(代表作:『シルフェイド見聞録』) ・ 【後編】泉和良「自作ゲームは一生自分の体から離れないものになった」(代表作:『自給自足』『エレGY』) ・ 【前編】泉和良「自作ゲームしかなくなっちゃったんですよ」(代表作:『自給自足』『エレGY』) ・ 八百谷真「ゲーム作りは欲求不満放出の場」(代表作:『囚人へのペル・エム・フル』) ・ 飯田和敏「自分が面白いと思うゲームを作るのが一番!」(代表作:『アクアノートの休日』)
RPGアツマール
ニコニコ自作ゲームフェスは、「ゲームを作るひと」「遊ぶひと」「二次創作」をするひとをつなぎ、個人で作ったゲームがもっと多くのひとにプレイされるようになることを目指すお祭りです。