自作ゲームフェス2016 受賞作品が以下にて発表されました。
ご応募ありがとうございました。
http://blog.nicovideo.jp/niconews/ni059925.html
今回下読みに参加した一部の運営より、
総評と、個人的に印象に残った推しゲームを当記事では残させていただきたいと思います。
【運営Aより】
■総評
1回目から何度か下読みを担当しています。
今回全体を通してみると、スマートフォン向けゲームが増加し、クオリティが上がっているように思いました。これは今後も続く傾向でしょう。
ツールを見て見てみると、「RPGツクールMV」や「インディーゲームクリエイター」「Unity」といったツールがHTML5書き出しに対応しています。「HSP」も様々な場で再生できますし、「ノベルスフィア」のようなはじめからweb前提のツールもあります。これまで特定のデバイスが自作ゲームの中心でしたが、今後は様々な場がターゲットになるのではないでしょうか。
また、自作ゲームが「国内に閉じない」ようになってきたのも昨今の特徴です。SteamやAppStoreというマーケットがグローバルであること、そしてゲーム実況が世界中で当たり前になってきたことです。自作ゲームフェスにも海外からの投稿があらわれましたし、過去の受賞作品がSteam等で発売され、評価を得ています。
こうした環境下で求められるのは、本当にどこまでもストレートに「世界で唯一の良いゲーム」ではないでしょうか。もはや小手先のマーケティングなどは通じず、単純にファンが生まれる素晴らしいゲームが求められていると思っています。
自作ゲームフェスでは何度か投稿してくださっているクリエイターのかたが、着実にレベルアップしていくのが非常に心強く思いました。「世界で唯一の良いゲーム」というのは単に良いアイディアや良い素材があれば良いのではなく、作り、遊んでもらい、改善し、そしてまた作るという泥臭い作業が必要だとおもいます。その繰り返しで確実に人は成長するのだ、ということが皆さんの作品をみていると痛感します。
また、初めて投稿してくださったかたも、ぜひ次作に挑戦していただければとおもいます。確実にゲーム制作が上達します。自作ゲームフェスでは過去のゲームの「どこがよかったか」を極力コメントに残すようにしています。また、良いゲームは本当に良いです。先日名作RPG「Ib」を再プレイしたのですが、ギミックや演出のすばらしさを再確認しました。今回の受賞作やニコニコゲームマガジン掲載の各作品も、やはり良い点が多数あります。ぜひ、面白いゲームを沢山あそんで、良いゲームを作っていただければ、とおもいます。
■個人的な推しゲーム
◆ゆけゆけレギオン
編成は燃えます。
◆恋の筆触分割
企画の切り口が素晴らしいです。とてもオーソドックスで丁寧な作りなので、もう少し「熱量」を期待してしまいました。「馬鹿だけどときめく」というような。
◆コロッコトロッコ
アニメーションが天才的です。「ゲームで表現する」ことに本当に長けているんだなあとおもいます。
◆いじめっこ虐殺ゲーム2
設定がとても良いです。マップが広いので小さくして、体験時間あたりのイベントの量を増やしてあげると寄り良くなるようにおもいました。
◆箱詰め鑑定士
仕分けゲーとしてよかったです。長時間続けたときに変化が欲しい気も。
●PROJECT FARDRAUT
ゼビウスの3Dアレンジとして非常にレベルが高い作品です。3Dシューティングのツボが抑えら得ているので、快適にあそべます。
●Polar Snow Fantasy
シューティングアクションです。こうした作品は動きの作り込みで快適さがかなり変わってくるので、もうひと練りしてほしかったようにも。東工大サークル作成ということで、大学でのゲーム制作が盛り上がることを期待します
◆ドブネズミアクターズ
キャラクターが可愛いです。「デュラララ!」や「ペルソナ」シリーズを思わせる世界観が素敵です。ここまで世界観を作り込めるのであれば、ズバッとした驚きのある切り口も期待してしまいます。
◆一輪と女
ちょっと難しく、歯ごたえがあるようになりました。一輪車操作がとても楽しいのですが、この操作ならではの驚きがもう少しあれば、とおもいました。任天堂のタッチパネルやwii操作がそうなのですが、「今度はこう使うのか!」というデバイスの利用法を提示していくのがこの手のゲームの王道の演出かな、とおもいます。
◆燃えげー!2D格闘アクション「サラリーマン忍者」
非常に丁寧に作られたゲームで、好きです。もっとサラリーマンネタであるあるに尖っていくのもアリじゃないでしょうか。
◆言霊の迷宮
実は最初下読み委員のなかでは高い評価ではありませんでした。しかし、ある一名がこの魅力を発見し、プレイして議論していくうちに大賞候補となりました。既存のゲームをパワーアップさせた作品を評価するのは簡単なのですが、「新しいゲーム」を見つけるのは本当に難しく、取りこぼさないだろうかといつもひやひやしています。良いゲームです。
◆Rogue Runner
基本アイディアがとてもよく、すごく面白くなりそうなのですが、現状まだ消化し切れていないようにおもいます。バランス調整でぐっと良くなる可能性も。
◆「Sカレ、Mカレ」
ぬるぬる動くのが素敵です
◆ゆうしゃしっかく
ドラクエ好きが伝わってきました
◆魔女と偽りの影
面白くなりそうなので完成版に期待しています!
◆ナバナと森のラビリンス
可愛いゲームでした。
◆スマホで鍛冶屋タップスミス
武器をタップでつくるところがとても面白いです。しかし、その形にちょっと意味が弱いように思いました。「ラクガキ王国」のように作った形をとことん活用できると、さらに魅力が広がるかとおもいます。
◆飛べ!イカロス
下読み委員のなかに激推ししているファンのひとがいました。全体のゆるさが好きです。
●トマトマトマトⅡ
お話のテンポが超良い! ツクールでお話つくるなら必見です。この速度で読みたいです。ちょっと「I」をプレイ済み前提なところはちょっと気になりました。
◆つみヨガ紹介
く3Dプリンタで作っているコマのデザインが秀逸でした。本ゲームですが、自作ゲームフェスは「無料で体験可能」という条件があるので、このゲームは有料部門として評価させていただきました。
◆ラーメンのスープの油をつついて大きくするアプリの続編を作ってみた。
地味だけど好きです
◆音フェチ系ホラーゲーム「怪音館」
バイノーラル録音の音が良いです。ホラーは音が大事なので、そこに注目したのは本当に素晴らしいです。声も良かったです。ただ、ゲームとしてもうちょっと親切なほうがよかったかもしれません。ウリの部分以外はシンプルにしたほうが伝わりやすいかな、とおもいます。
◆ゴリラのレクイエム~リターンズ~
意味不明さ好きです。もっともっとゴリラすることに期待してしまいます。
◆リンドウ-狂乱の華-
OPの展開と、ツクールでの生活感の出し方にしびれました。素晴らしいです。ツクール演出でここまでできるんだと感動します。
◆わくわくベジタブル
シュールで独自のギャグセンスです。この手の作品が好きなひとはいるはず。
◆Call of 棒人間
グラフィック表現がとても良いです。この表現ならではの要素が欲しい気もしました。
◆アトの跡
女の子を守る設定にワクワクしました。2Dマップアクションは面の作り込みと主人公アクション性が命なところがあるので、制作ボリューム大変だとおもいますが、完成を期待します。
◆オリュンポス神話伝
「俺の屍を越えてゆけ」系ゲームです。とても作り込みがしっかりしているので、俺屍ファンにはオススメ。
◆WWII英雄列伝"最強の虎"クルト・クニスペル&オットー・カリウス
史実へのこだわりをかんじました。リアルなシミュレーションが好きなかたにオススメです。
◆バイバイⅡ ~そして拷問へ...~
ああ^~いいっすね~
◆うさぎのみみのりみるちゃん第000話みんなのしょうかい
200話以上公開されているツクールによるショートストーリー集。とても柔らかい語り口のお話で、なによりその作品量に驚きました。素晴らしい作品群。
◆もちこさん
とても可愛く、ていねいにまとまっています。
◆お前を守るためならば喜んで何回でも死ぬと未来のファーストボーイが申しています!
幕末40名と恋するBLゲームです。ゲーム的欠点なんてどうでもよくて、この熱量が素晴らしいとおもいます。丸くならず批判にめげず、制作を続けて欲しいです。元気になれます。
◆福ワロス
動画を一時停止するだけ! というアイディアが良いです。絵のゆるさもたまらない。このアイディアはもっといろんなことができそうです。
◆俺のマグナムは黒光り!
システム流用のお馬鹿ゲーム。下ネタは好き嫌いがわかれますが、美少女は正義ですね!
【運営Bより】
■総評
第2回からほぼ全作品を見ていますが、回を重ねるごとに投稿されるゲームの幅は広がっており、もはや傾向がないことが傾向と言えそうです。フェスへの参加姿勢も、ガチで賞を狙う意気込みを感じるものから、動画一本で参加できるので、と気軽に投稿された風のものまで幅広く、このカオス感こそが良い意味でのお祭りムードを醸し出していると感じます。
また、12月に日本語版が発売された最新のRPGツクール「RPGツクールMV」製のゲームも早速かなりの数がみられました。MV製ならではのスマートフォン・ブラウザー向け作品もいくつかプレイさせていただきましたが、操作性や読み込み速度の面ではまだまだPCスタンドアロン型のゲームには及ばない印象で、しばらくはターゲット・プラットフォームを慎重に選ぶ必要を感じます。現状でも、気軽に遊べる短編アドベンチャー作品などを公開する手段としては非常に向いていると感じました。RPGツクールMV自身のアップデートや、配信環境の拡充にも期待したいですね。
今回から有償作品の投稿も可能になり、こちらも数は多くありませんが、早速同人ゲーム等の参加がみられました。国内のオリジナル同人・インディーゲームはコミケを中心に長い歴史を持つものの、一部の好事家を越えて大きく広がるには、Steamでの海外展開といったブレイクスルーが必要になる状況は当面変化がないように感じます。ここ2、3年で国内作品のSteam展開へのハードルもかなり下がったように感じますが、日本の面白いゲームは、日本でこそもっとプレイされてほしいというのも正直なところ(作者さん自身が敢えてターゲットを絞っているなら勿論それでもよいのですが)。今までにない層へのアプローチの一手段として、ぜひ本フェスを活用してほしいと思います。
また、第3回の受賞作品である「アクションモグラ」の作者さんが“ニコニコゲームマガジン”向けに制作した「ファラオリバース」の有償版が18日にSteamで配信開始され、本稿執筆時点でも“人気の新作”に載り続けているなど人気を博しているようです。このようにフリー作品で注目を集め、有償作品へと繋げるという道筋も考えられます。
いずれにせよ、クリエイターの方が活動を続けるための対価を得たいと思われた時にそれが可能になるのが理想ですし、そのためのツールとして“ニコニコ自作ゲームフェス”が活用されることを、いち関係者として期待しています。
ファラオリバース(作者:クロボン)公式サイト|無料で遊べるニコニコゲームマガジン
http://info.nicovideo.jp/gamemaga/pharaoh/
■個人的な推しゲーム
たくさんありますが、「このゲームフェスがあったからこそ出逢えた作品」を中心に語っていきたいと思います。
◆くびきの檻
倉庫番をベースにしたアクションパズルゲーム。個性的なグラフィックに格好いいBGM、言語不要の“触っ覚えていく”導入と、開始1分でハマりました。難易度やボリューム感のバランスも絶妙で、全ステージ熱中したままプレイさせていただきました。ステージによってアクション寄り、パズル寄りとバラエティに富んでいるのも飽きずにプレイし続けられる理由でしょうか。ステージ中のさまざまな仕掛けを、実際に触りながら把握していくのも楽しかったです。
また、前述したクリエイターへの対価という観点からは、itch.ioで配信されているのも特徴です。このサイトは比較的自由にゲームを登録でき、“フリーダウンロードまたは任意の値段”という価格設定を行うことも可能。本作もこの方式で、プレイヤー側からすると、プレイして面白かったらお礼代わりに支払う、ということも可能になるわけです。
また、サウンドトラックは音楽配信サイトのSoundCloudで全曲聴けた上で、同じく配信サイトのBandcampでダウンロード販売されており、こちらも気に入ったらお金を払うことができる方式。こうしたサイトの活用はどんどん広まってほしいと思います。(ちなみに筆者は両方買いました。)
くびきの檻 in KUBIKI NO ORI Original Soundtrack
https://soundcloud.com/foilverb/sets/kubiki-no-ori-original
KUBIKI NO ORI Original Soundtrack | Foilverb
https://bigbrother404.bandcamp.com/album/kubiki-no-ori-original-soundtrack
◆ひびかけ色のキセキ
ATBをベースにガードの仕組みを加えた戦闘に、パーティ共用リソースを振り分けてスキルを強化できるカスタマイズ要素など、独自システムに凝ったRPGが好きな筆者としてはたまらない作品でした。ノンフィールド形式で戦闘中心に進むため、最低限の戦闘回数でボスに挑むのも、バトル好きとしてはやり甲斐があって楽しかったです。(もちろん、経験値稼ぎなども可能で幅広い層がプレイできる作品になっています。)
またゲームパッド派として、ゲーム内でガイド表示されるボタン表記まで変更できるなどパッドコンフィグが充実しているのも嬉しいところ。RPGツクールVX Ace製ながらワイド画面を実現しており、インターフェイスもコンシューマ機を意識したかのような独自に作り込まれたもので、触り心地の良いプレイ感でした。
ストーリーもかわいい女の子達によるゆるふわっとしたもの……かと思いきや、中盤以降、存外にアツい展開も待ち受けており、心揺さぶられました。
◆ヴァルキリー・ハラング
敵・味方の行動順が明示されているなど、パズル風の戦闘が特徴のRPG。高難易度で、ボス戦で負ければ一発ゲームオーバーかつセーブなしで最初からやり直しなど、なかなか尖った作りで、万人向けとは言えない作品だと思います。しかしながら、何度もリトライしながらステータスやスキルが極端なキャラクター達やゲーム仕様を把握していき、難所を打開していくのを楽しいと感じられるなら、深く刺さるガチゲーです。
深く刺さりました。
◆ANGEL WHISPER
初リリースは1999年、リメイク版の公開からもかなり経っており、いつかプレイしようと思いつつもプレイしそびれていたアドベンチャーゲーム。旧作の投稿も可ということで、こうした過去の名作に触れる機会を得られるのもゲームフェスの良い所ですね。
実際にプレイしたところ、ADVとしての進行面では特徴である“リアルミッション”を除くと昔ながらの移動・会話でのフラグ立てが中心で古さは否めませんでしたが、ストーリーについては1999年という時代だからこその題材を取りつつも、今プレイしても色褪せない内容となっており、中盤からはとくに盛り上がって最後まで熱中いたしました。
一部はクラウド・SNS時代の今だからこそ得心がいく設定なども。スマートフォン版も好評のようで、時代を超えて読まれる作品というのはこういうものなのだろうなあと感慨深いです。
◆W-Standard,Wonderland
今回から投稿可能になった有償作品。同人ノベルゲーム界隈ではじわじわと話題になっていて個人的にも気になっていましたが、10時間以上というプレイ時間をなかなか確保できず、後回しになってしまっていました。今回、ゲームフェス投稿ということで読ませていただく機会を得られました。
長いノベルゲームをどう読んでもらうか悩んでいる皆様、とりあえずニコニコ自作ゲームフェスに投稿されるといいのではないかと思います。最低でも審査担当は確実に読みます。ノベルスフィア賞なんてのもありますしね!(今後も続くかどうかわからないのに部外者が勝手に宣伝してすみません。)
さておき、読んでみたところ、これまで読みそびれていたのを大後悔するほど、自分の好みにマッチした作品でした。世界観もテイストも大きく異なる3つの物語が交錯し、徐々にその繋がりや意味が明らかになっていく。物語を読むこと、そしてそれについて考えを巡らすことが好きな人にはきっと刺さる作品だと思います。気合いの入った演出面も見どころ。三部作の第1作ということで、続きにも期待しています。
【運営Cより】
■総評と個人的な推しゲーム
作品を見て「あのゲームっぽい」と思うことはよくあります。その上で「あのゲームっぽい」で終わってしまうか、「何かが新しい!」と評価されるか、そのあたりの"境目"を今回のフェス作品を通じて強く感じました。
例を言うと、大賞候補として挙がったフォルテさんの「言霊の迷宮」。単語をつなぎ合わせるパズルゲームという点で「もじぴったん」っぽいわけですが、「もじぴったん」が"マスを埋める"ゲームであるのに対し、「言霊の迷宮」は"道を作りゴールを目指す"ゲームと、全然異なるゲームに仕上がっています。加えて、ブラウザゲームにしたことでネット前提のプレイ環境になり、生放送のゲーム実況とも親和性が高い点も、このゲームの魅力をさらに増幅していきそうです。実際プレイすると分かるのですが、「もじぴったん」よりもキーワードの入力制約条件が少ないので、自分のイマジネーションのまま入力していける気持ち良さがあります。そして自由なイマジネーションから生まれる単語たちは、きっと生放送のいい餌食=視聴者のツッコミコメントを生むと思います。
また、shu2432さんの「アイアンスクラップ」は大賞候補から漏れたものの、ファミコン時代懐かしい「8ビット風コンバットもの」に「誘爆・連鎖パズル」という要素を加えることでスマートフォンでも快適に遊べる形に仕上げている点で、選者一個人としては非常に高く評価しております。
今回、この2作品は私の中では印象深く残りましたが、その決め手となったのは最初に述べた"境目"で「何かが新しい!」と評価することができた点でした。
【運営Dより】
■総評
今回下読みに参加させていただく中で、印象的だったのは
常連の方の作品の変化でした。作品の反応を得たことによるのか、
自分の見え方を見つけて飛躍的に伸びている方もいました。
そして、今回受賞を逃した方でも、毎回コンスタントに作品を作り
投稿できるというパワフルさには、敬意を感じずにはいられませんでした。
運営は下読みなども行いますが、評価をすることが役割ではなく、クリエイターの方が多くの人の目に触れ作り続けられる環境づくりに少しでもお役にたてることかと思っています。
物を作り続けるというのは、楽しいことばかりではありません。
一人で作り続けては意欲が下がってしまいます。まずは人に見せたい、一緒に自分の作品を自分と一緒に楽しんでほしい。
それの繰り返しによって、少しずつ作品や作者が自立していくのではないでしょうか。
受賞された作品に新しい機会が見つかることを心から願っているのとともに、結果の喜びだけでなく、作品を作り続けるという喜びに寄り添えるイベントに自作ゲームフェスがなれるよう願っています。自作ゲームフェス2016へご参加いただき、ありがとうございました。
■個人的な推しゲーム
◆ニュー・スーパーフックガール
単純にめちゃくちゃおもしろい!マウスの操作でこんなに爽快感が出るのかと思いました。
水の中のパートがやや難易度が高く、他のステージと比べて爽快感が低かったのがやや残念。
長く遊んでいたくなる作品でした。
◆ありふれたホシの終末期CP
この作品も単純にプレイしつづけて、子供みたいな気分でたのしめました。
仕事で触っては、仕事の時間をうばわれました。
はやく仕事終わったら続きをプレイしたいです。
◆Seamless Earth
Google Earthを利用した、地球がパズルになっている壮大なゲームです。
みんなでプレイできるのも、むちゃくちゃな規模にしたのもいいですし
以外とパズルの部分のぴたっとくっつく音も気持ちよく、ネタゲーだけではない
ゲームの気持ちよさがありました。
そしてタイトルがシームレスアース、と平和なかんじでとても好きです。
◆スラッシュRPG一閃勇者
今回の作品の中で個人的に最も長い時間プレイしたタイトルでした。
シンプルな構造ながら、「うれしい」という感情が短い時間の中にこつこつと起きる設計になっていて
それの積み重ねられることの大きさも、派手ではないのですがちょうどよく、
小さな達成感を感じられるところがとても好きでした。
上位ランカーのやりこみ度を見てもらっても、
一度好きになった人がずっとプレイできる気持ちよさが設計できてることが見て取れます。
とても技術が高いのに、冷たい印象を受けないところもすごく好きです。
◆Cyclopter
自転車とオキュラスリフトを使用した、意欲的な作品です!
動画を見てもらえれば、この作品の楽しさに驚くことができると思います。
ただ残念なことに、自転車とオキュラスリフトで、誰でも体験できる、というものではなかったため
今回は受賞外となりました。ですがぜひどこかで体験してみたい!
このような意欲的な作品の発表の場も、もっとあるといいなぁと思っています。
◆NoSpinOnPins
斬新な操作感のパズルゲームです。このゲームの不思議なところは、
ユニークな操作なのに、なぜできるようになったのか頭で理解する前に、感覚で覚えられるところです。
このようなゲームはどうやって作れるのだろう…と非常に制作の切っ掛けが気になりました。
◆つみヨガ
人の形をした積み上げ系のアナログゲームです。ルールとしてはシンプルで、特異性はないため
授賞はのがしましたが、物としてはとてもかわいらしく、ピースとなっている人が
いろんなポーズをとっているのがいいなぁと思いました。
有料作品を解禁にしたことで、物として魅力的なアナログゲームが投稿されたのは
非常にうれしいことでした。
◆AliasAche:エイリアスエイク
第一に瑞々しい!という感想でした。音楽の使い方が気持ちをあおってくれて、色彩もうつくしく
(プレイ画面の外の色が美しいのにも関心しました)ドキドキしました。
ただ長くプレイするにはやや疲れてしまう部分があったのと、まだ試行錯誤の途中という感じを受けました。
また次回作をぜひプレイしてみたいです!
◆スタイリッシュ怪盗ゼータ
常連の作家さんの作品です。自作ゲームフェスも、担当が何度か変わっていますし
審査でこの作家さんの作品をえらばなくてはいけないなんて空気もなにもないのですが
どうも弊社のスタッフと相性がいいようです。
仕事で疲れ、深夜にプレイした時、胸に沁みる優しさがある作品だからかもしれません。
とはいえ、もちろん次回どうなるかはわかりません!次回も初投稿お待ちしています。
【運営Eより】
■簡単な総評コメント
自作ゲームフェス2016の下読みを努めさせて頂きました。
300近い作品をプレイさせて頂きましたが、どれも作者の思い・個性がつぎ込まれた作品ばかりで、時間を忘れてプレイしてしまいました。
ゲームには、「ストーリー」「音楽」「グラフィック」「システム」「ゲームデザイン」「操作性」など複数の要素がありますが、作者によって注力するポイントが異なります。ストーリーは秀逸ながらも、イラストは個性的とか。音楽やグラフィックの演出面は目をひくが、ゲーム操作性がつらい面があるとか。そのような作品が散見されます。これは一口に悪い訳ではなく、作者や開発チームの皆様の個性・方向性だと捉え、楽しませて頂きました。
■審査を通過する為に
選考委員・下読み審査員の立場により、ゲームプレイの視点が異なります。自作ゲームフェスで受賞した作品が秀でた作品で、それ以外の作品が劣った作品であるとは思いません。とはいえ、300を越える作品をプレイする性質上、どうしてもバイアスや偏りがあります。審査を振り返ってみます。次回コンテストに挑戦し、賞を狙わんとする方は、参考になるかもしれません。
・バグは潰そう
バグがある作品、動かない作品は、ひとまず別の審査員に回され、そこでも動かない場合は審査対象外と判定されます。特にゲーム序盤の不具合や、操作性に関する不具合(キーを押しても反応しない等)は、厳しい判定になりがちです。
また、コンテスト運用フローの性質上、ゲーム本体は早い時期にダウンロードされている事がありました。審査自体は締切後に行いますが、応募の段階で致命的なエラーは潰しておく事をおすすめします。
・Readmeやマニュアルを書こう
私の場合は全てのReadmeを読みましたが、特にゲームルールが分かりにくかったり、ゲーム中にチュートリアルがない場合は熟読しました。必要に応じて作者サイトやブログ・Twitterも確認しました。ダウンロードされたゲームがアップデートしており、バグが潰されている可能性を考えてです。ゲーム単体に触れて分からない情報は、Readme・マニュアル・作者サイト等で補完されていると、助かります。
・序盤はコンパクトに
長いオープニングや、冗長な説明、プレイ開始直後からの広大なマップフィールド。これらは、なかなか辛く感じました。「その壮大さこそ、私の作品の個性である」と主張するならば、その個性を尊重したく思います。とはいえ、連日連夜何十作品もゲームし続ける中、体力・精神力が削られてきた状態で、序盤が壮大なゲームが始まると、どうしても頭にゲーム内容が入ってきませんでした。
「序盤はコンパクトに」「OPはダラダラせず、早めにプレイヤーが操作可能な状態にする」「プレイヤーが次の目標・目的がわかるサイズで」
これらを考慮して頂ければ、プレイしやすさが上昇し、ゲームの魅力が上がる事もありましょう。
一方で、この問題をインターフェースやアイデアで解決している作品もありました。「マップに次の目的地の矢印が常に表示される」「強制イベントの連続でプレイヤーが操作している感を演出したオープニング」などです。これらはとても好感触でした。
・第一印象である動画は重要
本来は全ての作品をクリアーするまでプレイしたい。しかし、期間内に膨大なゲームをプレイする事はかないません。また、ボードゲームや特殊なデバイスが必須のゲームは、動画で面白さを測るほかありません。結果、ゲームの動画に頼る事になります。
動画が低品質だからといって、プレイを疎かにする訳ではありませんが、印象が大きく変わります。また、動画を見ながら以下の事を注視していました。
・作者はこの作品で何を表現したかったのか
・この作品の魅力は何なのか
・技術的・アイデア的な新しさは何か
これらは動きのある動画である必要はありません。ゲームのスクリーンショットの上に文字を配置した、数枚のスライドショーでも、十分伝わります。逆にゲームムービーを多用した動画であっても「この作品は何を伝えたかったんだろう……?」と疑問が残る動画も散見されました。
ちょっと誇張が書かれていても、「この作品は、これを実現したかったのだな」という想いが伝われば、最大限好意的に解釈して、審査プレイに活かせるよう善処します。
動画はサブ・おまけの位置づけであり、ゲームをプレイした直の体験こそが本質である事に異論はありません。また、ゲームを動画化すると、ネタバレの心配もありましょう。とはいえ印象が左右されるものである為、受賞を狙うならば「動画で何を伝えるか」を勘案してみてください。
さて、振り返ると
・バグを潰そう
・Readmeやマニュアルを書こう
・序盤はコンパクトに
・第一印象である動画は重要
のポイントの多くは、審査員に限らず一般のゲームプレイヤーが遊ぶ際にも有効と考えます。いかに優れた作品を作ろうとも、バグがあるのはツライし、オープニングが冗長だとツライし、操作に迷った時Readmeがないとツライし、第一印象の動画(あるいは、ゲームダウンロードページ等)が迷文難読だとツライ。
今回の審査員の為だけではなく、一般のプレイヤーがあなたのゲームに出会う時、そのツラさが少ない方が、きっとゲームに集中して貰える事でしょう。
ご参加ありがとうございました。
次回もまたよろしくおねがいいたします!