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猪瀬直樹メールマガジン「日本国の研究」第721号「尖閣購入の真相」
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猪瀬直樹メールマガジン「日本国の研究」第721号「尖閣購入の真相」

2012-10-25 14:50

                      2012年10月25日発行 第0721号 特別
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     ■■■    日本国の研究           
     ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
     ■■■                       編集長 猪瀬直樹
    **********************************************************************

                           http://www.inose.gr.jp/mailmag/

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

     本日10月25日12時、動画「ビブリオバトル首都決戦2012」をアップしました!
    佐藤可士和・東浩紀・谷口忠大・猪瀬直樹のトークセッションをご覧ください。

     http://ch.nicovideo.jp/channel/inosenaoki (猪瀬直樹TV)

                    *

     新装開店した猪瀬直樹公式ホームページ(http://www.inose.gr.jp/
     には「作家の部屋」と「副知事の部屋」の二つの入口があります。

     両方の側面を持つ猪瀬ならではの構造で、少しホームページを覗いていただ
    ければ猪瀬直樹という人間の「面白さ」が伝わるはずです。
     さらに猪瀬直樹TV(ニコニコ動画・猪瀬直樹チャンネル)など、新しいコ
    ンテンツも追加。

     ツイッター、フェイスブック、ブログとも連携し、ホームページを始点に幅
    広い分野におよぶ猪瀬の活動を網羅することができます。
     是非、ご覧ください。
     http://www.inose.gr.jp/
                    *

     
     メールマガジンでは、今週も引き続き、猪瀬直樹TV掲載のインタビュー動
    画をテキスト化してお届けします。

     本日のテーマは、「尖閣購入の真相」です。

      都の緻密な交渉はいつからはじまったのか。素人政権の横やりはどのように
    行われたのか。惜しみなく語りました。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ニコニコ動画 猪瀬直樹チャンネル
    一問一答「第7回 尖閣購入の真相」

    ――尖閣諸島購入の交渉の話をお聞かせください。

    ■猪瀬□ 去年の9月、石原都知事が地権者と会いました。尖閣諸島には魚が
         たくさんいますけど、沖縄から遠い。

     石垣市の船は、5トンの小さな船で、暴風よけに、船だまりが必要なんです
    が、ありません。中国や台湾の船は2~300トンの大きな船なので、港をつ
    くったら漁場がいいので余計に来て居坐ってしまいますので港はいりません。
    それに、石垣市の船は無線が1台しかついていないので島に電波塔があったほ
    うがいい。ヤギが生息していて数が増えてしまっているので駆除も必要。石垣
    市長が困っていたんです。そういう状況がありました。

     1970年代に石原さんは前の地権者に会っています。その後、今の地権者、栗
    原さんのお母さんにも会って、絶対売らないといわれました。今はそのお母さ
    んが亡くなられて栗原さんが受けついでいますが、たまたま参議院議員の山東
    昭子さんが、栗原さんの奥さんと日本舞踊の関係の知り合いでした。それで、
    そろそろ売ってもらったらいいんじゃないかということで、山東さんの仲介で
    もう一度会うことになりました。その時の石原さんのプレゼンテーションがと
    てもよかったので、栗原さんもこの人だったら売ってもいいかなと気持ちが動
    いたようです。

    ――それから交渉がはじまったんですね。

    ■猪瀬□ 価格交渉は腹のさぐり合いでした。相手の会社のバランスシートを
         調べてみたら、10億円くらいなら負債が帳消しになるようでしたか
    ら、買収金額が10~15億円くらいでどうかというと、もうちょっとという顔を
    していた。それでも、交渉相手は石原さんだとはっきりいっていました。

    ――石原都知事が発表したのは4月でした。

    ■猪瀬□ 4月17日にワシントンD.Cのヘリテージ財団で発表しました。日
         米安保条約があるから、一応アメリカにもいっておく必要があるん
    です。それから本格的に交渉をはじめましたけど、いざ売る段になったらなか
    なか相手の気持ちがよめない。どうも手付金がほしいようでした。

     都としては納税者に説明義務があるので、現地調査が必要でした。それで調
    査の船を出しましたが、上陸しなくても水が湧いていたり滝があったり、山も、
    東京タワーの高さくらいあり、すそ野もあることがわかりました。こういうこ
    とは、価格の値付けの根拠になる大切なことです。それで民主主義の手続きと
    して財産価格審議会にかけ、客観的に価格を決めたうえでこの12月に都議会で
    議決するはずでした。2億円以上の支出は議決がいりますから。

    ――猪瀬さんの提案で寄付を募りましたね。

    ■猪瀬□ その頃はもう15億円くらい集まっていましたので、購入する額まで
         集まっていましたが、寄付は収入であって、支出は支出で議会にか
    けなければなりません。そういう民主主義のルールを守って納税者に説明責任
    をはたしながら話を進めてきました。

    ――そこに国の介入があったわけですね。

    ■猪瀬□ 7月初めに野田首相が横はいりしてきました。しかも、内閣の機密
         費には領収書がいらないので現金取引ができますから、地権者はな
    びいた。

     それで、8月下旬に野田首相と石原都知事が会談しました。知事は船だまり
    を作るように要請し、返事を後日もらうことにしましたが、いつまでたっても
    返事がこない。外務省がダメだといっていたんです。首相は外務省の上にいる
    ものなのに、外務省の言いなりだった。

    ――今の政府と官僚の力関係が見えます。

    ■猪瀬□ 鳩山さん、管さん、野田さんと首相がかわったけど、その中でも野
         田さんはマシとはいえ、民主党は官僚を使えない。自民党のころも
    大臣がよく変わるといわれていましたが民主党はそれ以上に変わるから誰が誰
    だかわからない状態です。霞が関は完全に政権をなめ切っている。

    ――それが尖閣購入にも影響しましたね。

    ■猪瀬□ 野田首相は船だまりをつくることを持ち帰って外務省に要請したら、
         外務省にダメですといわれて何もいえなかった。威光がない。それ
    でずるずる返事ができないまま、いきなり、ウラジオストックでの胡錦濤さん
    との立ち話になった。胡錦濤さんだって映像がとられているので、そこで日本
    のいうことを聞いてしまったら中国でメンツがたちません。胡錦濤さんがかわ
    いそうだった。ニコリともしない映像でしたね。

    ――国民を背負っているわけですから。

    ■猪瀬□ 立ち話でうんというはずがないでしょ。しかも、野田さんは閣議決
         定するといって2日後に本当に閣議決定した。これでは胡錦濤さん
    のメンツが丸つぶれです。こういうことはきちんと根まわしして進めればいい
    こと。

     そもそも国有化というのは、相手から分捕るのですから、相手は分捕られた
    と思うわけで、日本と中国とでは全然意味合いが違います。そういうことも分
    からないで国有化を考えるからいけない。東京都と地権者で話を進めてきて、
    時には地権者を押さえ込みながらもそろそろ手を打とうという段階まできてい
    たところへ、国が割り込んできたんです。

    ――政府の外交の仕方にも問題があります。

    ■猪瀬□ 9月2日のニュースで玄葉外務大臣が、石原さんを阻止したような
         ことをいっていましたが、あんなことをいうと、足元を見られる。
    外交でこびていますね。外交は他者と他者の渡り合いですから、それを日本人
    同士の浪花節で話してしまった。まったく分かっていません。

     今回の地権者交渉と野田政権の外交のまずさが中国ナショナリズムの暴動に
    発展したのだと思います。尖閣諸島は自分のものだということと暴動は、別の
    話です。しかし、中国が近代国家ではない姿をさらけ出したのは意味があった
    と思います。

     そして、粛々と進めていた地権者交渉を札束でこわし、しかも中国との関係
    をこわしたという素人政権の罪は重いと思います。
      
     
                                    (了)


                    *


     「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp


    猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ■掲載情報

    ・10月26日発行『一個人』12月号に、連載エッセイ「解決する力」の第15回が
     掲載されます。テーマは「“港”がもたらすものについて 気仙沼で育った
     少年がロンドンで宝石デザイナーになった」。

    ・日経BPネットの好評連載「猪瀬直樹の『眼からウロコ』」最新号。
     「『知的書評合戦』に参戦、昨年の2倍超す ビブリオバトル首都決戦2012、
     秋葉原で10月21日に開催」はこちら。
     http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20121015/326878/

    ・10月10日発行『THE 21』11月号の巻頭インタビュー「『想定外』を『想定内』
     にするメンタルコントロール術」に「『自己責任時代』の“平常心”の保ち
     方」が掲載されました。

    ・10月5日発行『潮』11月号、連載対談「日本を変える次世代の騎手たち」
     第6回に工藤 啓氏との対談「若者の雇用を守るニート支援の最前線」が掲
     載されました。

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            首都直下型地震への取り組みとは何か
        
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               「いざ」というとき、立ち止まるな!
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     ソーシャルネットワークを使った情報収集・発信・即断即決→事後承認、
     見えない恐怖を可視化する、先を見通してリスクの芽を摘む、昨日を基準
     に今日を生きない……。大震災後、東京都を陣頭指揮するリーダーが、
     首都直下型地震対策として自ら実践しているノウハウを、ビジネスマン
     向けにアレンジして紹介!   
        
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                    猪瀬直樹氏は、
          子爵夫人の日記に残された謎を解き明かしながら、
               アメリカが日本に仕掛けた
         対日占領政策の大きな構図を浮かび上がらせていく。
        それによって、現代の日本と占領期の日本との間に漂う
            霧のような薄闇を払っていくのである。

                          梯久美子(「解説」より)

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              □■『昭和16年夏の敗戦』 □■
              (中公文庫 税込680円)
                             
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     1983年に世界文化社から刊行され、文春文庫になり、『猪瀬直樹著作集』に
    入り、ロングセラーとして版を重ね昨年6月に中公文庫に収録された作品です。

     巻末には勝間和代さんとの特別対談「日米開戦に見る日本人の『決める力』」
    が収録されました。

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                   □■『天皇の影法師』■□

              (中公文庫 税込700円)
     
          天皇崩御そして代替わり。その時何が起こるのか。
      天皇という日本独自のシステムを〈元号〉を突破口に徹底考証。
             処女作が待望の復刊です。   
     
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    「天皇は実在するが、また同時に人びとの意識の底にとり憑いた幻想のひとつ
    でもある。曲がりくねった鏡張りの回廊を歩くときに歪んだ自分の姿が無数に
    映るばかりで天皇の影は見当たらない」(「あとがき」より)

     巻末には作家・批評家の東浩紀氏との特別対談「今、ここにある皇室の危機」
    が収録されました。

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    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
                           
                  大増刷出来!

          □■『言葉の力――「作家の視点」で国をつくる 』■□
                (中公新書 税込777円)

    「東京都副知事で作家の言葉論。ツイッターで文章力を鍛えるには口語体では
    なく文章語で書くことだと説く。読書は『10ページ読書』を勧める。それだけ
    で頭の中に検索のキーワードができ上がると言う。また、小泉純一郎は<俳句
    のように凝縮した1行の力強さがある>が、菅直人は<ページに言葉が埋まっ
    ているだけ>といった分析等も興味深い」(読売新聞 8月14日付)

                    *

         作家として、東京都副知事として進める「言語力再生」。
     サッカー界にも導入された「言語技術」やツイッターやフェイスブックなど
    のソーシャル・ネットワークのほか、三島や太宰の文体にいたるまで、グロー
    バル時代に不可欠なコミュニケーション力の目的・手段を独自の視点で解説。
     
      第一部 「言語技術とは何か」
      第二部 「霞が関文学、永田町文学を解体せよ」
      第三部 「未来型読書論」

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                    □■『突破する力』■□
              (青春出版社 税込800円)

                  7刷出来!  

      道路公団民営化をはじめ、作家として、東京都の副知事として、
          さまざまな世間の“壁”を突き破ってきた著者が、
         自らの体験を踏まえて綴る、人生を面白くする
              本気の仕事&生き方論。
      
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